G7広島サミットは「パトカーの祭典」 北海道警はフェリーで数十台移送[2023/05/21 17:45]

 G7広島サミットは「パトカーの祭典」 北海道警はフェリーで数十台移送 

■車両には「北海道とヒグマ」

 「あ、北海道って書いてあるよ!」。広島市中心部の平和公園で、見慣れない車に男の子が声を弾ませます。視線の先にあるのは北海道警察のパトカーです。
 G7首脳がそろって訪れた平和公園には連日、警備のために全国各地の警察官が集まっています。街頭には「大阪府警」「沖縄県警」など、見慣れない制服が続々。警察庁によると、広島サミットの警備人員は最大で約2万4000人にのぼり、その大半の約2万1000人が広島県外から集まった「特別派遣部隊」です。
 中でも、はるばる北海道から参加した道警は、北海道小樽市や苫小牧市などからフェリーを使って、数十台ものパトカーなどを広島に運び込みました。一部の車両には、「北海道とヒグマ」を描いた力強いイラストも貼られています。こうした多彩な警察車両は、SNSなどでも評判で、一部ではサミットは「パトカーの祭典」とも言われています。

■サミット警備の「舞台裏」

 地元の警察にとってサミットは一大イベントです。北海道警では、2008年に開催された「北海道洞爺湖サミット」がいまも語り継がれています。「当時は、周辺のほぼすべてのホテルを警察官の宿泊場所にした。宴会場を使って雑魚寝した人たちもいた」。洞爺湖サミットの警備に携わった警察関係者は懐かしそうに振り返ります。
 会場は札幌から100キロほど離れた丘の上にある「ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」。実はG7伊勢志摩サミット(2016年)などと同様、こうしたリゾート地の方が、要人の警備はやりやすいとされています(「リトリート方式」と呼ばれます)。それでも北海道には全国から約2万1000人もの警察官が投入されました。
 道警は北海道中から警察官をかき集め、人手が薄くなった交番は通常の「3交替制」を「2交替制」にしてしのいだといいます。
 このときは現在の「G7」各国に加え、ロシアもメンバーに加わっていました。呼び方は、いまではなじみが薄くなった「G8」。期間中は首脳だけではなく、違う国のシークレットサービスが互いに会話を交わしたり、それぞれの国のピンバッジを交換したりと、「お付きの人たちにとっても『外交の場』だった」と北海道警の通訳は振り返ります。

■最高レベルの警備

 今回の広島でのサプライズは、何といってもウクライナのゼレンスキー大統領の登場です。戦争中の国の要人が来日することについて、「初めてだと思う。少なくともサミット中は初めて」(警察庁)。ゼレンスキー大統領の車の周りには、警視庁の特殊部隊SATなどが加わっているといい、警察は最高レベルの警備で臨んでいます。
 サミットの日本開催は7回目。警察官たちの努力のおかげで、日本の安全は高く評価されています。3日間の日程を無事に終えるため、各地の警察が総力で警備に当たっています。

ANN取材本部(HTB) 喜多和也

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