長野・白馬村の“村ガチャ” 人生激変も!? 魅力は「特典」「村民との触れ合い」[2023/05/28 11:00]

長野県白馬村の喫茶店にあるカプセルトイ、その名も「村ガチャ」。1回500円で回すと出てくるのは、人気料理の無料券や乗馬体験など様々な特典チケットです。さらに特典チケットの裏面には、特典を提供する村民に直接会うこともできるのです!

「回してつながる旅」がコンセプトの村ガチャ。「町おこし」だけではない、仕掛け人の意外な狙いとは?さらに、村ガチャがきっかけで人生が“激変”した人も取材します。

■“村ガチャ”最大の魅力「村民との触れ合い」 

北アルプスの麓に位置し、雄大な山々を望める白馬村。今、注目されているのが、カウンターに置いてあった“村ガチャ”です。「500円」で1回、回せます。

村ガチャを設置する店の人は、次のように話しました。

大石学店長:「“宝物”を見つけるという人が多い」

カプセルの中の“宝物”とは一体?

店内で利用客を待つことに…。すると、村ガチャに近付く女性の姿。

観光客:「あ、出た」

黒いカプセルの中に入っていたのは、「酸素カプセル20分無料」と書かれた特典チケットです。

観光客:「酸素カプセル20分!すご〜い、うれしい!」

群馬県から観光に来たという女性が引き当てたのは、1050円のハンバーガーの引換券です。その横には、女性の写真。「アニー」という名前に、「美魔女」の文字。そして裏面には、「スキー場に篭り、白馬の山々に魅了され移住」とのプロフィールが記載されています。

実はこのチケット「村民カード」と呼ばれ、特典だけではなく、紹介されている村民に直接会うこともできるのです。

群馬県からの観光客:「アニーさん?」

“美魔女” アニーさん(39):「そうです!美魔女をやらせてもらっています」

群馬県からの観光客:「スキーをしていたんですか?」

アニーさん:「スノーボードなんですけど」

群馬県からの観光客:「まだ滑るんですか?」

アニーさん:「きょう滑ってきて(今シーズン)最後かな」

「村民カード」に書かれたプロフィールがきっかけで弾む会話。

群馬県からの観光客:「おいしい物を食べられるなら、お得かなと思いますし、村の人ともお話しできるので楽しいですね!」

半額以下で味わえるだけでなく、直接会わなければ経験できない「村民との触れ合い」が“村ガチャ”の最大の魅力です。

■乗馬体験やジャンプ台見学…多種多様のレア体験も!

去年7月に2カ所からスタートした村ガチャ。現在では白馬村に6カ所設置されています。中には、たった500円でできる“レア体験”もあります!それは、「白馬村で白馬に乗れる」というものです。

カウボーイハットをかぶった男性が、白馬村で白馬を育てる、雨宮康平さん(48)です。実際に、乗馬体験をさせてもらうことに!

桝田沙也香アナウンサー:「うわぁ〜すごい。特別感がありますね、道を歩いてくれるって。山がすごくきれいで、本当に景色が最高ですね!」

他にも、現役のJR白馬駅長が披露する自慢のDJテクニックや、スキージャンプの選手によるジャンプ台見学ツアーなど、村ガチャには多種多様のレア体験があります。

現在、村ガチャで会える村民は、およそ40人。その中の最高齢が、“白馬の祖母”こと伊藤直さん(86)です。

「村民カード」の特典内容は「コーヒー1杯」を提供するというもの。しかし、伊藤さんにとってうれしいことも…。

伊藤さん:「(観光客が)『おばあちゃんに会えて…』と喜んでくれて。色んなお客さんとね、お話ができて、うれしいです」

■“移住者”が仕掛け人 村ガチャを始めた狙いは?

観光客と村民の双方にとって魅力的な村ガチャ。その“仕掛け人”が、ウィンタースポーツ用品店を営む佐藤敦俊さん(42)です。

“村ガチャ”を始めた狙いは2つ。1つ目が…。

佐藤さん:「白馬村自体が観光業の村なので、地元の人とたまたま関わる旅行は、すごく記憶に残ると思うんですよね」

冬と夏以外は観光客が少ない白馬村。村ガチャを通して村民と触れ合うことでリピーターとなり、1年を通して白馬村に来てもらいたいといいます。

そして2つ目の狙い。実は、村ガチャは観光客だけでなく、移住者にとっても大きな存在になっているといいます。

佐藤さん:「移住してもなかなか地域のコミュニティーに入るきっかけや、友達ができるきっかけはなかなかない。“村ガチャ”を通じて移住者も村民の人と話をするきっかけになる」

実は佐藤さんは、9年前に千葉県から移住。近年、白馬村は移住者が増加傾向にあり、地元民と触れ合える場を増やしたいと考えていたのです。

■財布から“村民カード12枚” 一体なぜ?

そんななか取材を進めていると、村ガチャの意外な使い方をする男性と出会いました。

煙山貴紀さん(50):「新しいやつ増えてるのかな?」

何やら村ガチャの中身を気にしている男性。50歳の煙山貴紀さんは、東京に家族を残し、白馬村に単身赴任中です。

財布から取り出したのは、なんと12枚もの「村民カード」。一体なぜ?

煙山さん:「休みの時には『なんかちょっと寂しいな』という感じがあるんで…」

家族と離れて一人で暮らす寂しさを紛らわせるため、休日の村ガチャ利用に密着しました。

やって来たのは、森の中にある小さなケーキ屋さん。60代の上村さん夫婦が営んでいます。「村民カード」で、ケーキ2つと交換。そしてここからが、煙山さんの“真の目的”!

煙山さん:「せっかく“村ガチャ”で当たったんで、お話ししてもいいですか?」

30年以上前に白馬村に移住 上村清次さん(69):「はい」

煙山さん:「白馬村の人なんですか?」

清次さん:「私は北陸の福井のほうなんですよ」

煙山さん:「なぜ白馬村に来たんですか?」

清次さん:「親戚が白馬村でペンションをやっていて、手伝っていた…」

そして、椅子に座ると、さらに質問攻め…!

清次さん:「最初、働いていたんですよね。真面目に」

煙山さん:「ケーキじゃなくて?」

清次さん:「名古屋で飛行機を造っていたんですね」

煙山さん:「飛行機!?急になぜケーキ?」

清次さん:「知り合いがきっかけで…」

これまで日本各地を転々としていたというお互いの共通点。新天地での寂しさを埋めてくれる“新たな相談相手”が見つかったようです。

■村ガチャがきっかけで“移住を決断した人”も

さらに、仕掛け人も驚く事態も起きていました!

佐藤さん:「“村ガチャ”で人生が大きく変わってしまった人がいる」

村ガチャで人生が激変したという人物を追跡しました。

白馬村にあるグランピング施設で働く、27歳の横田隆弘さん。

横田さん:「神奈川にいた時は会社員をやっていたんですけれども、簡単に言いますと“村ガチャ”がきっかけで白馬村に移住を決めました」

なんと村ガチャがきっかけで、移住を決断!去年7月、観光で白馬村に訪れ、村ガチャを体験した横田さん。当たったのは、グランピング施設の「村民カード」。その時、代表の大塚栄青さん(25)と意気投合したといいます。

その後も横田さんは村ガチャを回し続け、白馬村の魅力にドップリはまり、移住を決断しました。

その直後、グランピング施設への就職も決まったのです!さらに…。

横田さん:「今年の3月29日に籍を入れまして。自分が先に移住して(妻は)1年後に来る」

移住と同時に、白馬村役場に婚姻届を提出。来年には妻も白馬村に移り住む予定だといいます。そして、新たに芽生えた“かなえたい夢”。

横田さん:「(“村ガチャ”は)もう人生の分岐点ですね…。私自身も次のステップとして“村ガチャ”に入りたいというのがありますので、そこを目指して、今は突き進んでおります」

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