読字に困難「ディスレクシア」に読みやすい「UDフォント」広がる[2023/06/10 12:32]

 文字が崩れて見える「ディスレクシア」という症状を抱える人がいます。そうした人にも見やすい「フォント」の文字の利用が広がっています。

 「ディスレクシア」の大学生・西川幹之佑さん(20):「あー見づらいですね。あー細いな…」

 東京都内の大学に通う西川幹之佑さんは、文字が崩れて見えるディスレクシアという症状があります。

 ディスレクシアは学習障害の一つで、文字を素早く理解することができないということです。

 西川さんの場合、「山」という漢字は縦線3本に見え、「返」という字は細い線が消えているように認識されることもあるそうです。

 また、文字のバランスが取れていないように感じて気分を悪くすることもあるといいます。

 「ディスレクシア」の大学生・西川幹之佑さん:「(小学生の頃は)読み取るのが精いっぱい。1ページ(読む)だけで授業1回分(約45分)です」

 文字を理解するのが難しいと文字を覚えて書くことも難しく、小学生時代はテストの点数が伸びませんでした。

 「UDフォント」は文字の形が分かりやすくデザインされていて、より認識しやすいのが特徴です。

 西川さんはUDフォントと出会い“人生が変わった”と言います。

 「ディスレクシア」の大学生・西川幹之佑さん:「太さが一定なのでこれなんて部分なの?と悩むことがない。中学校の時に『UDフォント』と出会って小説1冊を1日で読み切れるくらいになった」

 このフォントを手掛けたのはフォント開発・販売会社の高田さんです。

 モリサワ、「UDデジタル教科書体」開発担当・高田裕美さん:「シュッと細くなってとがって見えるところが自分に刺さってくるようで、『ストレスになる』『怖い』っていうお子さんもいました。『これは丸いから読みやすい』と言ってくれたり、そういう反応も聞くことができました」

 細いところを太くしたり、手書きの文字に近い形にしたりすることで、誰にでも見やすく設計されました。

 ヒアリングや改良を重ねて、フォントのリリースまでにおよそ8年かかったそうです。

 そんなUDフォントを商品パッケージや文書に使う企業などが徐々に増えています。

 『富士通』ブランド戦略部・松田善機さん(38):「お客様の目に届くものすべてにおいて(UDフォントを)使うようにしています。いろいろな方から『読みやすくなった』といった反応を受け取っています」

 モリサワ、「UDデジタル教科書体」開発担当・高田裕美さん:「多様な人がいるなかで求められるものはちょっとずつ違う。そこも研究していけたらいいなと思う」

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