性同一性障害の経産省職員 トイレ制限訴訟で最高裁が弁論 「適法」見直しの可能性[2023/06/16 15:58]

 性同一性障害の経済産業省の職員が女性用トイレの使用を不当に制限されたと訴えた裁判で、最高裁は弁論を開いて当事者双方から意見を聞きました。

 性同一性障害と診断されて女性として働いている経済産業省の職員は庁舎内で女性用トイレの自由な使用が認められず、2階以上離れた場所にあるトイレを使うよう制限されたことを不当だと訴え、国に処遇改善などを求める裁判を起こしていました。

 1審の東京地裁は判決で「使用制限は違法」との判断を示しましたが、2審の東京高裁は「経産省は他の職員の羞恥心や不安なども考慮し、適切な職場環境を構築する責任を負っている」などとしてトイレの使用制限は適法だとする判決を言い渡しました。

 職員側の上告を受け、最高裁はこれまでの判決を変更する際に必要な弁論を16日に開きました。

 争点は、トイレの使用制限を問題ないとした人事院の判断が違法かどうかで、職員側は「重要な法的利益とプライバシーの軽視などがあり、社会通念に照らし、著しく妥当性を欠いている」などと主張しました。

 一方、国側は「判断時点において、性自認に従ったトイレの自由な使用を認めるべきであるとの社会的な広い理解が存在したとはいえない」などと反論し、訴えを退けるよう求めました。

 判決は来月11日に言い渡される予定で、性的少数者の職場環境に関する裁判で最高裁が判断を示すのは初めてです。

こちらも読まれています