【報ステ】内戦から逃れ…「日本に残りたい」難民申請者と企業をつなぐNPOの挑戦[2023/06/20 23:30]

6月20日は『世界難民の日』です。

9日に成立した改正入管法。先進国の中でも認定数が著しく低く、“難民鎖国”といわれる現状は変わるのでしょうか。

朝5時、東京・銀座のイタリアンレストランで働くFさん(45)。9年前、エチオピアからやってきました。

18歳のとき、父親が当時の政権に反逆したとして殺害され、自身も8カ月、収容されました。その後、一旦はエチオピアで就職しましたが、内戦が激化。命の危険を感じ、2014年、日本に渡ってきました。
エチオピア出身・Fさん(仮名):「私の母が『いま、帰ってくるのは危険だ』と伝えてきました。私が日本に来た後、兄は、再び、捕まって収容所に入れられました。その瞬間『エチオピアには帰りたくない』と思いました」

行き場を失った彼は、2018年に難民申請をしました。今は、週5日バイトをして食いつなぐ日々です。

Fさんには家族がいます。妻と幼い長女とともに日本に渡り、長男は日本で生まれました。家族を守るためにも難民申請をしましたが、申請から5年経った今でも認定には至っていません。

通常は、難民認定の申請をすると、結果がわかるまで平均4年4カ月。時間をかけても、難民として認定される人はわずか2%ほどです。

認定されなかった場合、これまでは何度も申請することができました。しかし、今回の改正入管法では、新たに「申請は原則2回まで」という制限が設けられ、3度目以降の難民申請者を強制送還することが可能になります。

エチオピア出身・Fさん(仮名):「もし、難民認定がおりなければ、別の国に行きます。(Q.子どもたちは日本で生まれて日本語しか話せないのにですか)この国に残りたいと思っていますが、安全が第一です」

そんななかで、認定に頼らずに日本に居続けられる取り組みを行っている団体があります。

NPO法人『WELgee』の渡部代表(32)は、難民申請をしている人たちと、日本の企業をつなぐ活動をしています。
NPO法人『WELgee』・渡部カンコロンゴ清花代表:「今の日本では難民認定を待ったとて、ほとんどが不認定なので、この待っている期間に良い企業とつながって、企業による雇用スポンサーの元で自分の未来を切り開いていこう」

去年12月に福岡で開かれた就活セミナー。
日本での就職を目指すアフガニスタン出身者:「私は9カ月間も就職活動をしていますので、もちろん履歴書も持っています」

彼らは日本の企業で働くことで、日本に滞在するビザをもらうことができます。そのため、難民認定をされなくても、安全に暮らすことができるというのです。

実際に、アフガニスタンから逃れてきた難民を受け入れた企業は、こう語ります。
アダワープジャパン・安谷屋樹代表取締役:「難民だからといってサポートしたわけでもなく、ただ彼にすごくチャレンジ精神があったから。いま、彼がいなかったら、うちの会社は回ってないくらいのエンジニアになってくれました」

『WELgee』が難民申請者と企業をつないだ事例は、まだ20件ほど。それでもこの活動を通して、日本の社会で難民への理解が深まることを渡部さんは期待していると語ります。
NPO法人『WELgee』・渡部カンコロンゴ清花代表:「もうやむを得なく、最後に逃げてきた先が日本だった人もいる。『あのとき、日本とつながったから、自分の人生がつなげたんだ』『変わったんだ』という希望をつなげて、難民問題に関してリードできる国になっていけたらと強く思います」

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