「昼の熱が夜に放出」就寝中も警戒“夜の熱中症”列島に厳暑再び 緊急搬送の現場緊迫[2023/07/02 23:30]

きのうまでの雨から一転、きょう2日は猛暑日を記録するなど、各地で蒸し暑い日となりました。
このあと、外の気温が下がっても油断はできません。
夜、寝ている間に起きる熱中症とは…

■炎天下の別れ 「中野サンプラザ」歴史に幕

(佐々木一真アナウンサー)「ここ中野サンプラザは今日をもって50年の歴史に幕を下ろします。炎天のもとではありますが、皆さん思い思いに記念撮影を楽しんでいます」
特徴的な外観で1973年の開業以来、様々なジャンルのアーティストがコンサートを開催してきた『中野サンプラザ』。手持ちの温度計で34℃を超えるなか、別れを惜しむ人は、こんな記念撮影も…
「コンクリートの建物でありながら、こんなに愛着を感じる建物って今まであったかなって思うと、そういう面ではすごくみんなから愛された建物であり施設なのかなと」

ひと時の涼を求めて、こんな行列も…
(佐々木一真アナウンサー)「行列の先ではアイスの無料配布が行われています。発売50周年を記念して、8000本が無料で配られているということです」
縁日体験もできる、アイスの無料配布会場。この時間は、1000本が用意されましたが…わずか20分で配布終了!
「おいしいー!!」

■列島に暑さ再び 真夏日続出…猛暑日も

きょう2日は全国的に天気が回復し、30℃以上の真夏日が続出しました。全国で最も気温が高くなったのは愛知県豊田市と三重県松阪市で、ともに35.3℃。それぞれの県内でことし初の猛暑日となりました。
記録的な大雨の影響で土砂崩れが起き、行方が分からなくなっている男性の捜索が続く大分県。大分県内は、沖縄県以外では全国でことし初めてとなる「熱中症警戒アラート」が発表されました。
「じめじめして暑いです。サウナ状態ですね、町中。」

■80代男性が路上で…緊迫の熱中症搬送

34.8℃を観測し今年一番の暑さを記録した埼玉県久喜市。正午過ぎ、救急搬送を要請する通報が指令センターに入りました。
「もしもし救急車来てください!」
Q.救急車の要請でよろしいですか?
「今人が倒れたから」
「おじいちゃんが倒れているんです」
Q意識はありますか?
「意識はちょっとありますけどちょっと危ない状態です…」
救急車は現場へ急行。80代の男性が路上で動けなくなり倒れている所を通行人が見つけ通報、男性は買い物をし、歩いて帰宅途中だったといいます。
(救急隊員)「(体温)39.4℃」
(救急隊員)「なんで倒れちゃったんだろ?暑くて倒れちゃった?」
(患者)「うん…」
39℃以上の高熱、右手のしびれなどの症状を確認。病院に搬送します。
(救急隊員)「気持ち悪くない?大丈夫?」
男性は軽度の熱中症の疑いがあるとして治療。命に別状はありませんでした。

■就寝中も要警戒…梅雨に増加“夜の熱中症”

さらにこの時期、意外な熱中症が増えているといいます。
(いとう王子神谷内科外科クリニック伊藤博道院長)「正確にいうと梅雨の時期の“夜の熱中症”」
“夜の熱中症”とはどのような症状なのでしょうか?倦怠感など体調に違和感を覚え診察にきたAさん、29歳。伊藤医師が注目したのはこの言葉でした。
(医師)「水分や食事も取って、夜はエアコンも付けて?」
(Aさん)「寝る1時間前くらいはつけてたんですけど、寝るときはいつも消す」
(医師)「間違いなく“夜の熱中症”の様相が大きいと思いますね」
何故発症したのでしょうか?
(Aさん)「水とかスポーツ飲料を…水分を取るようにしていたんですけど、それでこういう状況になったというのは?」
(医師)「梅雨だからですね」
通常、就寝中は汗をかくことで、その汗が蒸発し、体温を下げてくれます。しかし、梅雨の時期など室内の湿度が高いと、かいた汗が蒸発しにくく、体温を下げにくい状態になり、体内に熱がこもることで、熱中症を発症するのです。当時の状況についてAさんは…
(Aさん)「体調面の方が優先ではあるんですけども、最近電気代の高騰の話とかもあると…つける必要はないかなと消してることが多かったです。エアコンを活用して温度を管理するところまで徹底する必要があるんだってのが今回学んだ」
Aさんは中度の熱中症と診断されました。誰にでも起こりえるという夜の熱中症…
夜、エアコンをタイマーで切った場合、室内の温度や湿度はどの様に変化するのでしょうか?
エアコンをかけ、部屋の温度は25.2℃、湿度68%。サーモカメラ映像で見ると室内は温度の低い青色の部分が多いのが分かります。1時間後エアコンのタイマーで電源がオフに…すると、わずか30分後…サーモ画像でも室内は一面赤く反応しています…
結果、26.2℃まで温度は上昇、湿度にいたっては85%まで上がりました。
「梅雨の時期の夜の熱中症は、温度も湿度も両方管理することが重要。温度は25〜27℃、湿度は50〜60%を目標にするといいと思います」

■「昼の熱が夜に放出」就寝中も熱中症警戒

では、どうすれば夜間の室温を効率よく下げることができるのか?
(慶応義塾大学(建築環境工学)伊香賀俊治教授)「外壁とか屋根に強烈な日射が外側に当たって(熱を)蓄える。それが室内にじわじわ入ってくるんですけど特に、コンクリート(建築)の場合だと1回暖まるとなかなか冷めない。昼間の一番暑い時の太陽の熱がちょうど夜になって室内に大量に出てくる」
伊香賀教授によると、日差しによって暖められた壁や天井が熱を蓄積し、夜間になって室内に放出、その結果、部屋の温度が上昇するというのです。
夏の1日の気温と室温の変化を見ると、木造住宅の場合、気温の変化と共に室温も下がっていくのに対し、コンクリート建築の場合は、翌朝5時まで31℃前後と、ほとんど変わっていないのです。
「例えば、窓のところにすだれを垂らす。強烈な日射を窓から入ってくるのを窓の外で抑える。それで少しでも室内に入ってくる熱を減らすことで、エアコン付けても電気代を安く抑えることはできる」

7月2日『サンデーステーション』より

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