気候変動対策で「絶対的な貧困」が世界で1千万人単位で増加も 京大教授が指摘[2023/07/14 15:38]

 地球温暖化などの気候変動の対策を進めた時、世界では今後30年で「絶対的な貧困」の人数が1000万人単位で増える恐れがあるとする研究結果が示されました。

 京都大学の藤森真一郎教授らは国際的な気候変動の取り決めである「パリ条約」に基づいて、対策を「した場合」と「しなかった場合」で2030年と2050年の貧困の状態をコンピューターでシミュレーションしました。

 その結果、パリ条約による「気温の上昇を2℃までにとどめる」対策を着実に進めた場合、1日で2ドル未満で暮らす「絶対的な貧困」の人数が2030年に6500万人、2050年に1800万人増えるとする予測が示されました。

 特にアジア・アフリカ諸国への影響が大きいということです。

 この結果の背景には、対策するための設備投資によって国や地域単位で経済損失が増えて所得が減少することや、新たな税の負担によってエネルギーや食料の価格が上がることだとみられるとしています。

 藤森教授は「気候変動対策が急務であることに変わりはないが、対策を進めると同時にその副作用をどう軽減するかも重要な課題だ」と指摘しています。

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