100年以上“猛暑日知らず”の街「エアコンいらず」涼求め旅行客殺到 移住者続々[2023/07/19 15:05]

 18日の東京都心は37.5℃と今年1位タイを記録し、3日連続の猛暑日です。全国的にも猛暑日が続出するなか、100年以上一度も35℃を超えたことがない、関東の街が話題になっています。

■うだるような暑さから一転…ゲリラ雷雨

 18日午後4時すぎ、埼玉県の越谷駅前に降り始めたゲリラ雷雨。激しい雨が、車に打ち付けています。突然の雨に、雨宿りする人たちや走る人の姿も見られました。

 越谷市内を走行するドライブレコーダーの映像です。フロントガラスに雨粒が打ち付けているのがよく分かります。

 地面に打ち付けるように降った雨が、強い風にあおられています。

 関東では、暖かく湿った空気が流れ込み、猛烈な暑さの影響で大気の状態が不安定になりました。

 ゲリラ雷雨が発生する1時間前の越谷市は、手元の温度計が40.9℃を示していました。うだるような暑さに、町の人はうんざりの表情でした。

 18日の越谷市では、最高気温が38.8℃と、今年最高を観測し、3日連続の猛暑日となりました。

 町の人:「(Q.(越谷)38.8℃)はっ!?ハッハッハッ…。ちょっと異常ですよね」「もう、生きているのがやっとな感じです。戦いに行くような感じですね」

■“3日連続”100地点超で「猛暑日」

 午後3時ごろの皇居前は、日差しが強く焼けるような暑さで、手元の温度計は40.5℃を示していました。

 東京都心は、この夏最も早い午前9時すぎに猛暑日を記録、その後37.5℃まで上昇し、今年一番の暑さとなりました。

 18日、全国で一番暑かったのは、三重県・桑名の39.0℃。日本列島は163地点で猛暑日となり、3日連続で100地点を超えました。

■“100年以上猛暑日知らずの街”千葉・勝浦

 首都圏各地で、災害級の暑さが猛威をふるう一方で、午後3時ごろのJR勝浦駅前は、手元の温度計が30℃を示していました。涼しい風が吹いているので、体感的にはこれよりも涼しく感じます。

 太平洋に面した千葉県勝浦市。観測史上一度も35℃以上の猛暑日を記録したことがない、“100年以上猛暑日知らずの街”として注目を集め、地元も「涼しい街」を売り出しPRしています。

 都心の同時間帯の手元の温度計と比較すると、一目瞭然。「およそ10℃」の温度差がありました。

 18日、勝浦の最高気温は29.3℃。首都圏の最高気温と比較しても、いかに勝浦が“涼しい”かが分かります。

 地元の人:「私はクーラーもつけないし、扇風機もつけないし、窓も開けない」「めっちゃ涼しいですよ、朝晩寒い」

 なぜ勝浦は、こんなにも涼しいのでしょうか?

 勝浦市地域おこし協力隊 倉橋定良さん:「隣町とか隣接している所と比べて囲まれている崖が多い。勝浦市は小高い崖が多くて、そこに入り込む風がどんどん通り抜ける道なんですね」

 勝浦には、陸のすぐ近くに深い海があり、そこで上の温かい海水と、下の冷たい海水が循環しやすく海面温度が下がります。

 その海上で冷やされた空気が陸に吹き込み、街も涼しくなるというのです。

■至るところで“長袖を着る人”の姿

 東京からの旅行客:「夏でも35℃以上になる日がないというので来ました」

 神奈川からの旅行客:「涼しくてすごくリゾート地っぽい」

 埼玉からの旅行客:「埼玉とも違いますし、帰りたくないです」

 涼しさを求めに来る人たちは、早朝から…。3連休最終日の17日午前6時半すぎ、無料の市営駐車場は朝から「満車」になっていました。

 その後も続々と、車は途切れることなく入ってきます。止まっている車を見ると、「京都」や「福島」ナンバー。なかでも、首都圏ナンバーが目立ちます。

 午前7時すぎ、1台空いたスペースに止め始める車。車から出てくると、女性は「長袖」を着ています。さらにその隣の車の女性も長袖を着ています。街中にも至るところで、長袖を着て歩く人の姿が多く目立ちます。

 東京からの旅行客:「(Q.(長袖は)耐えられない感じではない?)全く全く、全然。カラッとしていて過ごしやすい」

■移住者続々「エアコンいらず」「冬の毛布」

 海は多くの家族連れなどでにぎわい、かき氷を求め行列ができていました。

 30分並んだ男の子:「いちご」
 お母さん:「おいしい?」
 男の子:「うん」

 港こおり屋MUGEN 店員:「(例年)8月に入ると、大体きょうみたいな感じ。今年に入ってからは一番並びました」

 地元の人も驚くほど、にぎわいを見せる「勝浦」。

 地元の人:「すごい涼しくて、すごい有名になりましたよね。すごい人が多いですよ」

 移住してきた人も、過ごしやすさに驚いていました。

 おととし、東京・目黒区から勝浦市に家族4人で移住してきた森永さん一家。今年、夫婦の夢だったキャンプ場をオープンしました。

 森永慧美さん:「(元々)エアコンはもうこれ壊れちゃっていて、使ってもいないし、直さなくてもいいかなみたいな」

 家では、これまで一度もエアコンを使用したことがないといいます。さらに…。

 森永さん:「(Q.ご家族みなさんここで寝ている?)そうです。こんな感じで寝て。夜になると、これ(毛布)を引っ張りだすと」「(Q.それ冬用の毛布…)そうです。冬のそのまんまで。綿毛布も一応出してはいるんですけど、『これじゃあ寒いからいいや』って…」

 夏の時期でも、長袖・長ズボン、そして冬の毛布をかけて寝ているといいます。

 森永さん:「都会では暑かったと思います。基本、爆睡しているので、暑くて起きることはない。寒いとなって(子どもたちと)毛布の奪いあいになる」

 まさに“猛暑知らず”の街「勝浦」。市によると、「移住したい」という問い合わせが今、増えているということです。

■95歳女性 エアコンをつけず“こたつ”に

 危険な暑さとなった関東各地。一方、熱中症も相次ぎました。

 看護師:「ここ、どこか分かりますか?」
 患者:「病院です」
 看護師:「きょう一緒に来た人いますか?」
 患者:「弟です」

 18日正午ごろ、埼玉県戸田市の公平病院に搬送された、95歳の女性。弟が家を訪ねると、倒れていたといいます。

 看護師:「部屋、暑かったですか?」
 患者:「部屋の中?私はたいして感じない」

 看護師:「いつも家の中では薄着?」
 患者:「家の中エアコンないから」
 看護師:「エアコンないの?」
 患者:「風通しがいいから。ベランダと玄関を開けておくと」

 さらに…。

 患者:「おこた(こたつ)使っているの」
 医師:「今も?」
 患者:「今も。足が冷えるから」
 医師:「冷房かけていても暑いくらいだから、おこた(こたつ)使っていたら、たぶん家の中すごく暑かったんだと思う」

 エアコンをつけず、こたつに入っていたという女性。体内の水分が不足し、熱中症と診断されました。幸い、意識ははっきりしています。

 公平病院 奈良江梨子医師:「口の渇きとか暑さとかも感じにくいうえに、水分の摂取自体もかなり少ないのが高齢者の方だと多いのかなと。家の中でも熱中症は本当に起こりうることを自覚して、できるだけ涼しい環境でこまめに十分水分をとって注意していくことが大切」

 18日の東京では救急要請の増加を伝える「救急車ひっ迫アラート」が発表されました。

 都内では、午後9時までの速報値で、4歳〜97歳の男女合わせて156人が熱中症の疑いで救急搬送されました。

■冷感グッズが好調「在庫を集めるのに苦労」

 この猛暑の中、都内の量販店では、冷感グッズが飛ぶように売れているといいます。

 携帯扇風機のコーナーには、次々と人が来て、商品を手に取っていきます。

 こちらの方は、携帯扇風機を見てから、移動式クーラーのコーナーへ。冷感グッズコーナーをはしごする人の姿も目立ちます。

 冷感グッズを買いに来た客:「(携帯扇風機が)壊れてきちゃったので、買いたいなと思います」「みんな持ってます。朝来ると、みんな顔にこうやって」

 ドン・キホーテ 中目黒本店 大溝誉也さん:「ハンディーファン(携帯扇風機)、サーキュレーターに関しては、かなり商品は枯渇しています。毎日奔走してます、在庫を集めるのに苦労しています」

■携帯扇風機の破裂事故 5年で45件

 街中でも使っている人の姿が多くみられる携帯扇風機。熱中症対策にも有効な便利グッズですが、こんな注意点があります。

 地面に落とすなどして、強い衝撃が与えられた携帯扇風機のバッテリーが破裂した際の実験映像です。爆発音が響き渡り、部品が辺り一面に飛び散っています。

 こうした事故は過去5年間で、少なくとも全国で45件発生。けが人も出ています。

 専門機関は、強い衝撃を与えてしまった場合は、使用を中止するよう注意を呼び掛けています。

■“スマホ熱中症”高温で爆発の恐れ

 体温超えの危険な暑さは「生活必需品」にも影響を及ぼしています。

 携帯修理店にやってきた男性、手には一台のスマートフォン。

 店員:「あっ、電池…」
 客:「膨らんでいる」
 店員:「膨らんじゃってますね」
 客:「けさ気付いたんだけど、これはまずいなと」

 暑さによる熱で、スマホのバッテリーが膨張し不具合が生じる“スマホ熱中症”。

 スマホを修理しに来た客:「充電器が窓際だった影響があったかもしれない」

 男性は、スマホを日差しが入る部屋の窓際に放置し、充電していたといいます。

 スマホ修理王 渋谷店 藤山敏彦店長:「ご依頼件数が、通年に比べて1.5倍くらい。暑いところにずっと放置してしまう、充電をつなげっぱなしにしてしまうことが1番多い原因ではあります」

 バッテリーの膨張を放置するとどうなるのでしょうか。

 高温になった車に、バッテリーを放置した実験映像です。しばらすくすると、膨張して白い煙が噴き出し、爆発してしまうこともあります。

 藤山店長:「バッテリーの適正温度が大体0〜35℃くらいと言われているので、炎天下で長時間使い続けるというのは、本体そのものには大変危険な状態」

 人にも、機械にも影響を与える災害級の猛暑。ピークはいったん過ぎたものの、真夏の暑さは当分続く見通しです。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2023年7月19日放送分より)

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