南海トラフ地震、新重点施策は「災害関連死対策」と「事前復興」[2023/07/27 17:47]

 南海トラフ沿いで想定される巨大地震を巡り、新たな防災対策を検討する専門家らの会議で、避難生活中に死亡する「災害関連死」や発生する前の復興計画の実行について重点的に取り組む方針が確認されました。

 対策検討部会の主査・福和伸夫名大名誉教授:「超広域で甚大な被害があるということは普段、使えている介護や医療が破綻する可能性。(支援・被支援の均衡が)破綻した瞬間、一気に関連死の人は増える」

 南海トラフ地震を巡り、政府は2014年に定めた防災政策の目標について、専門家らによる検証や次の防災対策の検討を今年から始めました。

 27日の検討会では、避難生活中に死亡する「災害関連死」と災害から立ち直りやすい街づくりを事前に行う「事前復興」などについて、新たな防災対策で重点的に取り組む方針が確認されました。

 会議のまとめ役を務める名古屋大学の福和教授は「『関連死』の問題は、これまで行政の努力で何とかなるように見えていたが、現状は厳しいと思われる」「国民全体の意識が変わらないと『事前復興』につながる街の高台への移転も建物の耐震化も進まないだろう」と指摘しました。

 検討会では今後、通信インフラなど他の問題の議論も深める方針で、福和教授は「この10年の間にコロナ禍では医療の限界、通信障害の大変さなど学んだことが多い」と近年の知見を新たな対策に反映したいとしたうえで、「多くの人が不幸にならないような施策を作って実践されるようにしたい」と述べました。

こちらも読まれています