罵詈雑言から“ですます調”に…LINE文言に変化 現役社員語るビッグモーターのいま[2023/07/29 23:30]

保険金の水増し請求問題を受けて社長らが辞任し、企業風土の一新を誓ったビッグモーター。現役社員を取材したところ、謝罪会見の前と後で上司たちの対応がガラッと変わったようです。

■苦境のなか…新規オープンする店も

小山颯ディレクター(秋田市 29日)
「ビッグモーター秋田店がきょうからオープンしました」

保険金不正請求などの問題をめぐり、28日、国土交通省が全国にある34の事業場に立ち入り検査に入ったビッグモーター。そんな中、29日、秋田市に新たな店舗がオープン。開店前から客の姿が…

小山颯ディレクター
「車の買い取り査定でしょうか、車をチェックしています」

ビッグモーターに来た男性は車の買い替えを検討しているそうです。

車を見に来た男性
「イメージ的にはあまりよくないんですけど、店員と話した限りでは優しそうな感じで、(車を)売るってなれば買い取り額を頑張ってあげるよって話をしていました」

店の前の歩道は…

小山颯ディレクター
「秋田店前の歩道は雑草が生えていたそうですが、県の許可を得て抜いたそうです」

■LINEの文言に現れた“変化”

調査報告書でいびつな企業風土と指摘されたビッグモーター。サタデーステーションはビッグモーターの現役社員に話を聞くことができました。

ビッグモーター現役社員
「私の店舗では店長が営業に対して『消えろ』『クソ』『死ね』という発言をしたりとか、機嫌が悪くなると本当にタイピングの音とかがすごく荒くなるんです」

店長が部下に対して送ったメッセージには…

「ヘラヘラ喋ってんじゃねーぞ 殺すぞ」

別のメッセージには、レスポンスの意味を示すレスの文字を画面いっぱいに送りつけることもありました。しかし、謝罪会見が行われた後は、態度が一変します。

ビッグモーター現役社員
「LINEでの罵詈雑言が毎日あったのが、今回の報道を受けたあとは敬語で、ですます調で」

これまで部下からのメッセージに対し、高圧的な態度で返信していましたが…

店長から送られてきたメッセージ
「了解です!」
「有難う御座います!」

ただ、これまでの会社の対応に不信感を持った現役社員は、退職も考えているといいます。

ビッグモーター現役社員
「この会社で働き続けるのはいけないと考えています。転職先とか決まり次第すぐ辞めようかなと」

■「店長から言われて…」除草剤使用の実態

ビッグモーターをめぐっては、今週新たな問題が浮上しました。各地で店舗の前の街路樹が枯れるなどしているのです。

矢谷一樹ディレクター (佐賀市 29日)
「ビッグモーターが見えてきました。街路樹が1本、2本とあるんですが、その後は不自然に街路樹がありません」

ビッグモーター佐賀大和店のオープン後、店舗前の11本の街路樹が枯れて伐採されたといいます。過去の画像を見ると2017年ごろまでは等間隔に街路樹が並んでいます。しかし、2018年には4月だというのに、街路樹に葉はなく枝もほとんどない木が見られます。そして、2019年には街路樹がなくなりました。佐賀県はきのう街路樹があった場所の土壌調査を開始しました。他の自治体でも…

森嶋萌記者 (埼玉・八潮市 28日)
「県の職員などが今、八潮店の前に来ました。埼玉県による土壌調査が始まります」

埼玉県八潮市や兵庫県加古川市などで店舗前の植樹帯の調査が行われました。ビッグモーターは28日に発表したコメントで「過去に店舗で清掃活動の際に使用した除草剤等による影響により、街路樹や植え込みが枯れた可能性が高いことが判明いたしました」としたうえで、「原状回復に向けた手続きを行ってまいります」としています。

番組では実際に除草剤を使っていたという元社員に話を聞くことができました。

ビッグモーター元社員
「実際に僕が2年前に撒いたので。店長から(除草剤を)買ってこいみたいな感じで言われて、ホームセンターに買いに行きました。5リッターぐらいの容器のやつを2つほど買ってました」

九州地方の店舗に勤めていたというこの男性は除草剤を使った理由について…

ビッグモーター元社員
「環境整備の1週間前ぐらいに除草剤を撒いたりして。草むしりを楽にするためにやってました。草1本でもあると環境整備の点数が引かれる、もしくはなくなる」

除草剤を使うタイミングは決まっていて、毎月行われる環境整備の1週間前だったといいます。本社の幹部らが店舗を点検する環境整備は恐怖のイベントだったと言います。

ビッグモーター元社員
「エリアマネージャーが来たり、時には(前)副社長が来る。かなりピリつきますね。従業員、店長含め、ベテランの方も…」

■ダッシュで出迎え…厳しい“環境整備点検”

厳しい環境整備の背景には、26日付けで引責辞任したビッグモーターの兼重宏一前副社長の存在が指摘されています。早稲田大学を卒業後、損保ジャパンの前身の保険会社に入社。その後、ビッグモーターに入り、2015年、副社長に就任した宏一氏。調査報告書によると、宏一氏ら幹部の判断で47人の工場長が降格処分を受けています。

ビッグモーター元店長
「結構前から待ち構えていて(前副社長の)車が見えた瞬間にダッシュして大声であいさつ、お出迎え。これが出来ていないと険悪なムードでスタートする」

今年4月までビッグモーターの店長を務めていた男性は、前副社長の宏一氏ら幹部が環境整備点検のため店舗に訪れたとき、異様な光景を目の当たりにしました。

ビッグモーター元店長
「お客様がいらっしゃる中でとんでもない声を張り上げて挨拶するわけです。お客様がいるのにですよ。『おはようございます」と。全員がですよ」

環境整備点検はいくつかのパターンがあり、特に注意しているのは、3カ月に1度、前副社長の宏一氏ら幹部3人が来る『ロイヤル』と呼ばれる点検だったそうです。

ビッグモーター元店長
「『ロイヤル』は副社長のご機嫌次第なので。鶴の一声でクビが飛ぶので、現場は前日・前々日から戦々恐々としていました」

一連の問題を受けて損保ジャパンは、ビッグモーター社との保険代理店の委託契約を終了するとし、損害賠償請求を行う準備に着手。他の損保大手も代理店契約の終了を検討しています。

サタデーステーション 7月29日OA

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