イプシロンSでの燃焼試験の爆発、エンジン覆う圧力容器が高温で破裂か JAXA[2023/07/31 21:38]

 小型固体燃料ロケット「イプシロンS」のエンジン燃焼試験中に起きた爆発の原因について、JAXA(宇宙航空研究開発機構)はエンジンを覆う圧力容器が高温になり、破壊された可能性が高いことを明らかにしました。

 7月14日午前9時ごろ、秋田県能代市にあるJAXAの「能代ロケット実験場」で「イプシロンS」の第2段モーターの燃焼試験をしていたところ、開始から57秒後に異常が発生し、爆発による火災が発生しました。

 JAXAはその後の調査でエンジンを覆う「モーターケース」と呼ばれる圧力容器が何らかの影響で高温になり、破壊した可能性が高いと文部科学省の有識者会議で報告しました。

 爆発が起きる前に「モーターケース」が強度を維持するための許容温度を超えたとみられ、燃料である推進薬の燃焼異常や「モーターケース」を熱から守る断熱材である「インシュレーション」の断熱不良が原因とみられています。

 2024年度中としていた「イプシロンS」の打ち上げについては、これより前の去年10月に打ち上げに失敗した「イプシロン6号機」に関する分析などを経て、2024年度下半期を目指すことが決まったということです。

 JAXAは今後、「モーターケース」の設計や製造などに問題がなかったか調べるとともに、打ち上げ時期についてもさらなる検討を進めます。

 爆発を伴う火災によって損傷した「能代ロケット実験場」の真空燃焼試験場について、復旧を目指しているものの、相当な時間が必要になるということです。

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