漁師悲鳴!東京湾に大量クラゲ “高い海水温で成長”専門家指摘[2023/08/18 17:50]
■「ぬるぬるが付いて魚が死ぬ」
今年の記録的な猛暑。海では異変が起きています。神奈川県横須賀市、東京湾に面する港。地元の漁師たちにとって死活問題となる事態が…。
タイやスズキなどが取れる漁場で網を揚げると現れたのは目当ての魚ではなく、なぜかクラゲだらけ。
佳栄丸 栗山義幸さん:「5月からずっと悩まされている」
漁師の栗山さんは飲食店や鮮魚店の注文を受けてから新鮮な魚を捕まえています。ところが…。
佳栄丸 栗山義幸さん:「魚の入りは良くない。クラゲで網が膨らむから魚が回って逃げてしまう」
かろうじて網に掛かった魚も…。
佳栄丸 栗山義幸さん:「クラゲがいっぱいいる網の中から魚を拾うと、エラにクラゲのヌルヌルが付いて呼吸がしにくくなって魚が死んでしまう。締める前に死んでしまった魚は商品にならない。締める段階で生きていないと『活け締め』にならない」
■“高い海水温で成長”専門家指摘
今、このミズクラゲが全国的に大量発生しているといいます。
佳栄丸 栗山義幸さん:「40年近くやっているから過去に1例2例あるが、それ以来のレベル」
一体なぜ…。
専門家は今年の異常な暑さが影響している可能性を指摘します。
黒潮生物研究所 戸篠祥主任研究員:「今年は日本各地、ミズクラゲが多いという知らせは入っている。1つ大きな要因として海水温が考えられる。今年は春から夏にかけて全国的に海水の温度が高かった。それがミズクラゲの大量発生の要因につながっている」
気象庁のデータを確認すると、東京湾周辺の海水温は今年4月、平年より1℃から2℃高かったのが分かります。
黒潮生物研究所 戸篠祥主任研究員:「クラゲは冬の寒い時期に稚クラゲ(赤ちゃん)が生まれる。そのほとんどは大きくなる前に食べられたり死んでしまう。生き残るのは1%くらいと言われている。諸説あるが、海水温が高いことでクラゲの成長が早くなってクラゲが例年より多く生き残り、成長したクラゲたちがあちこちにたくさんいる状況」