【北極ノート】『前編』幻のクジラ“イッカク”猟に密着! 受け継がれる伝統狩猟[2023/08/25 18:25]

幻のクジラとも呼ばれる“イッカク”
体長は5mほどで、北極の海にしか住んでおらず、名前の由来ともなっている角のような1本の長い牙が特徴です。
カナックに住む人たちにとってこのイッカクは特別な存在で、5月以降、夏の狩猟シーズンになると猟師は狩りへと繰り出し、夏の食糧としてはもちろん、冬の保存食としても重宝され、貴重なビタミン源になります。
また「マッタ」と呼ばれるイッカクの皮の部分は、グリーンランド全土でお祝い事には欠かせない食べ物として需要があり、猟師にとって数少ない現金収入の源にもなっています。

このカナックでは北極で唯一、いまも伝統的な猟法を用いてイッカクの狩りが行われています。
狩猟に使われるのは手作りのカヤックと先端部分が外れるようになっている銛、そしてアザラシで作った浮き袋の3つです。
イッカクは音に敏感なため、ボートでイッカクが現れそうな場所まで行くと、エンジンを切ってひたすら待機。
姿が見えたらカヤックに乗って静かに近くまで移動し、海面から体を出したタイミングで銛を投げます。
上手く当たれば銛の先端が刺さって外れ、ロープで繋がっているアザラシの浮き袋によって海中へと潜れなくなるのです。
そのあと最後にボートで近寄り猟銃で仕留めます。
他の地域では、ボートで追い回して銃で撃つ方法で狩りをしますが、弾が当たってもそのまま海に沈んで無駄に殺してしまったり、そもそも逃げられたりしてしまうそうです。
またイッカクの数を減らしすぎない観点からもこの伝統的な猟法が優れているのだと地元の猟師は話していました。

猟師は基本的にイッカクが獲れるまで村に戻らず狩りを続けます。長い時は2週間〜1か月、村に戻らずに狩りを続けることもあるそうです。
今回は地元の猟師フランクさんとフリドリッキさんのイッカク猟に同行!
長さ6m、幅2mほどのボートに4人で乗り、猟に出発します。

果たして幻のクジラ“イッカク”に出逢うことはできるのか…

テレビ朝日報道局 松本拓也 屋比久就平

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