東山新社長「鬼畜の所業」…ジャニーズ事務所が異例の会見 語られた内容と今後は?[2023/09/08 16:40]

 ジャニー喜多川氏の性加害問題について、7日にジャニーズ事務所が初めて会見を開き、性加害の事実を認めて謝罪しました。会見では、東山紀之新社長(56)がジャニー氏の性加害について「鬼畜の所業」と厳しい言葉で非難しました。

■東山新社長「人類史上最も愚かな事件」

 東山新社長:「(ジャニー喜多川氏が)やっていることは鬼畜の所業だと思っています。今は、愛情はほとんどありません」

 ジャニーズアイランド 井ノ原快彦社長:「なんだか得体の知れない、それには触れてはいけない空気というのはありました」

 7日に開かれた、ジャニーズ事務所の会見。詰め掛けた報道陣はおよそ300人。海外メディアの姿もあり、日本だけでなく世界が注目する会見となりました。

 会見に臨んだのは、ジャニー喜多川氏のめいで2019年からジャニーズ事務所の代表取締役社長だった藤島ジュリー景子氏(57)。そして、事務所の最年長タレント東山氏とジャニーズJr.を育成・プロデュースする会社ジャニーズアイランドの社長でもある元V6の井ノ原快彦氏(47)、顧問弁護士の4人です。

 ジャニーズ性加害問題当事者の会 平本淳也代表:「(ジュリー前社長)よく出てきたね」

 被害に遭った当事者が見つめるなか…。

 ジュリー前社長:「私、藤島ジュリー景子個人といたしましても、ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております」

 東山新社長:「本当に人類史上最も愚かな事件だと思います」

■性加害認め謝罪 当事者の会「初めて被害者に」

 会見冒頭、ジュリー氏の口から語られたのは、事務所として性加害を認めるのか?

 ジュリー前社長:「ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子でございます。本日は大変お忙しいところ皆様お集まりいただき、誠にありがとうございました。故ジャニー喜多川による性加害問題につきまして、2023年8月29日、特別チームによる調査結果と提言が公表されましたが、ジャニーズ事務所といたしましても、私、藤島ジュリー景子個人といたしましても、ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております。被害者の皆様に心よりおわび申し上げます。また、ファンの皆様、お取引先の皆様、そして今回の件でご不快に思われたすべての方々に心よりおわび申し上げます。私、藤島ジュリー景子は、特別チームの提言を真摯に受け止め、9月5日をもって経営責任を取り、代表取締役社長を引責辞任いたしました。新しい代表取締役社長は、本日同席しております、東山紀之が務めさせていただきます」

 東山新社長:「このたび、新しく事務所の代表となりました東山紀之です。まずは、喜多川氏の性加害を認め、ここで謝罪させていただきます。今後はこの事実に真摯に向き合うため、私は年内をもって表舞台から引退をします。今後は人生を懸けてこの問題に取り組んでいく覚悟であります」「大変な事件だと思いますし、人類史上最も愚かな事件だと思います。その道のりというのは大変長い道のりになると思いますが、まずはその1歩を踏み出さないといけないのかなと感じています」

 事務所として初めて性加害の事実を認めたジュリー氏と東山氏。

 この会見を見ていた当事者の会のメンバーは…。

 ジュリー前社長:「ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております」
 当事者の会のメンバー:「よしっ」

 ジュリー前社長:「被害者の皆様に心よりおわび申し上げます」
 石丸副代表:「初めて被害者になれた」
 平本代表:「うん」

■性加害の認識は? 井ノ原氏「得体知れない空気」

 会見では長年にわたる性加害について認識を問われました。

 東山新社長:「(Q.東山さんご自身は性加害が行われていたことを認識していた?あるいは、どのような行動をとられたのか?)恥ずかしながら何もできず、何の行動もしていませんでした。私自身は被害を受けたことがなく、受けている現場に立ち会ったこともなく、先輩たちからも後輩たちからも相談なかったので、噂という認識はありましたけど」「(Q.事実を認識した時期はいつごろだった?)やはり様々な暴露本が出ていましたから。そういう噂があるというのは知っていましたし。ただ、僕はやっぱり喜多川氏を信じておりましたから、暴露本というのは読んでこなかったんですね」

 井ノ原社長:「(Q.井ノ原さんいかがでしょうか?)僕は小学校6年生のころにジャニーズ事務所に入りました。その時すでにそういった(暴露)本が出ていまして、周りもみんな仲間たちもそうなのかなというような噂はしていましたね。そうなったらどうしようっていう話もしていました。ただ、やっぱり被害に遭われた方が例えば相談に乗ってくるとか、そういうことができない空気はあったと思います。言い訳になるかもしれませんけども、なんだか得体の知れない、それには触れてはいけない空気というのはありました」

 ジャニー氏のめいでもあるジュリー氏は…。

 ジュリー前社長:「知らなかったというのは、私が直接その被害について聞いたことがなかったということで、もちろん報道・暴露本が出ている、雑誌で特集が組まれていることは存じていました。それは、自分の中では、当時確かめなかったのが私の責任であり、『罪悪感がない』なんていうのは全くなく。先ほどから東山も申しておりますように、その2人(ジャニー氏・メリー氏)に、私が親族であっても物を申せなかったというのが弊社の本当にいびつなところであったと思いますし、それを親族だからこそもっと何かできることがあったのではないかというのは、もちろん反省しておりますが、当時は何もできなかったです」

 さらに、新社長に就任した東山氏自身にハラスメントがなかったか質問されると…。

 東山新社長:「もちろん覚えていることと覚えていないことがありまして。もちろん若気の至りがあったりとか、その時の自分の幼稚さであったりとか、そういうものもあったとは思うんですね。ただ、本当にあの記憶をこうたどっても、ちょっと覚えていないことも本当に多くて。なので多分僕もそうだと思うんですけど、いろんなことやっているんだと思います。やっぱりなかなか記憶を呼び起こすのが難しい作業でもあったので、実際したかもしれないし、してないかもしれないというのが本当の気持ちですね」

■新社長就任前に…木村拓哉氏や国分太一氏にも相談

 「事務所の新体制」と「ジュリー氏の今後」については…。

 東山新社長:「僕が(新社長の)打診を受けたのは8月の頭でした。(再発防止チームの)提言を受ける前ですね。大変、藤島が苦労しておりましたので、その話を聞いて。ちょっとひと晩考え、まあ引き受けるということ…受けました。僕も非常に悩みましたし、ただやっぱりできるできないじゃなく、やるかやらないかと思ったので自分の運命だなと思って引き受けることにしました」

 さらに、自身がキャスターを務める番組についても言及しました。

 東山新社長:「(サンデーLIVE!!は)来週からは出演しない。急だったんですけど、了解を得ました。平等性を持たなければいけない。会社の社長になるということですので、そういう方向で判断させていただいた」「(Q.井ノ原さんや木村拓哉さん、国分太一さんと会食。その時にどういう話をした?)こういう覚悟を持っているという話をしました」

 井ノ原社長:「もちろんビックリしましたよ。ビックリしたけど、もっとビックリしたのは(東山氏が)引退されるということですかね。それだけはやめないでほしいという思いはありましたが、そこまでの覚悟を持っているのであれば、みんなで力を合わせましょうっていうところで、会は終わったと思います」

■社名は変更しないが…「変更の余地は残っている」

 事務所の名称については…。

 東山新社長:「(Q.今後ジャニーズ事務所という名前は変更があるのか)そのことに関しては、大変議論しました。どうすべきなのかという、やはりこれだけの犯罪ですから。これを引き続き、名乗るべきなのか。いろんな解釈がみんなの中にもありました。ただ、僕が思いましたのは、『ジャニーズ』というのは、もちろん創業者の名前であり、初代のグループの名前でもあります。何より大事なのは、これまでタレントさんが培ってきたエネルギーであり、プライドだと思うので、その表現の一つでもいいんじゃないかと思ってます」

 東山新社長はこのように述べ、社名を変更しない意向を示すと…。

 取材陣:「正直言って納得できない。『ジャニーズ事務所』といえばジャニー喜多川さんの作った会社。下手をしたら数千人の人々を不幸のどん底にたたき落としてきた。その名前を今後も冠するのはあまりにも常識外れではないか」

 東山新社長:「おっしゃる通りだと思います。たくさんの人が被害に遭ったことを分かっています。(事務所の)名前を変え、再出発した方がもしかしたら正しいのかもしれません」

 井ノ原社長:「(社名が)犯罪者の名前ってことですよね。今の段階で17グループ、デビュー組でいて、ジュニアだけでも10グループいます。皆で時間をかけて(社名を)変えるんだったら変える、変えないんだったら変えない。しっかり皆の了解を得て、これからやっていかないといけない」

 東山新社長:「(Q.社名の変更は検討の余地がある?)それもあります」

■東山新社長「イメージ払拭目指す」

 社名変更の余地は残っているとした東山氏。ファンはどのように感じているのでしょうか?

 20代:「関ジャニ∞のファンで、ジャニーズの名前があった方が。残した方がいいのかな」

 20代:「名前自体に問題があるんじゃなくて、問題は別のところにあると思うので、名前は変わらないままでも別に問題ないんじゃないかなって」

 50代:「私は変えるのも1つの方法かなと思います。ジャニーさんの名前が入っているということで、今まで傷ついた人もいると思うと、その名前を新たに変えて踏み出すというのも一歩かなと思いますね」

 東山新社長:「僕らはファンによって支えられているものですから、どこまで変更することがいいのか考えてきました。今後はそういうイメージを払拭できるほど皆が一丸となって頑張っていくべきなのかなという判断を今はしています」

■海外での訴訟準備も…「法を超えて補償」

 被害者救済策の内容は?

 東山新社長:「提言を受けまして(被害者が)数百人の可能性があると。大変センシティブな問題ですので、今回は法を超えて救済・補償が必要だなと思っている」

 ジュリー前社長:「補償についてはもちろん、法を超えて訴えをいただいた方たちには真摯に向き合っていきたいと考えております。その中でも本当に在籍していたかどうかの確認作業はさせていただきたいとは思っております」

 当事者の会は、ジャニー氏による性加害が海外でも行われていたと主張。海外での訴訟も視野に入れているといいます。

 被害者への補償は今後、どのように行われていくのでしょうか?

 東山新社長:「夢や希望握り潰された彼らと、夢をあきらめた僕がしっかり対話するということがいいのかなと思ってます。ただ、時間を区切るということはないので。僕らはそういう覚悟を持って、長い道のりだという覚悟を持って今はいます」

 ジュリー前社長:「(Q.ジュリー氏個人としての気持ちは?)叔父の起こした問題でございますので、めいとしては責任を取りたいと思っております」

■ジャニーズ新体制について街の声は?

 ジャニーズ事務所の会見、街の人はどう受け止めたのでしょうか?ジュリー社長の引責辞任、東山氏を新社長とした新体制については…。

 20代:「長い歴史のある事務所だと思うので、その問題も変えていくのも、事務所の人がやっていった方がいいのかなという気がします」

 20代:「今までのイメージ的にはすごく誠実なイメージ」

 一方…。

 50代:「芸能界しか知らない人ですから、若い時から。社会人として、私たちが思う社会人として常識というか、会社がどういうものか、そんなに分かっているのかと思いますけど」

 20代:「正直、その世代で活躍していた人たちは、見て見ぬふりをしているイメージってどうしても強くなっちゃうので。現状、社長が代わっても変わらないんじゃないかなと思う」

 会見でジュリー氏が株式を100%保有し続けることが明らかになりました。

 70代:「(株式も)100%持ち主でしょ。株は株式会社って株主のものだから、社長だけ、首だけ変えても変わらないんじゃないでしょうか」

 20代:「ジュリーさんが株主としてまだいらっしゃるっていうのを見て、あんまりなんか変わる気はあるのかなみたいなのはあります」

 被害者への対応については…。

 50代:「これから訴訟になることもあると思うんですけど、可能性として。そこで誠心誠意、事務所として対応していくしかないと思いますね。被害者の方が納得いくまで」

 20代:「やっぱり一人ひとり、それぞれ人間なので。一人ひとりに対して社長が向き合うというか、そういった対応をしていけば、被害に遭われた方もむくわれるのかなと思うので」

■当事者の会 謝罪は評価も…社名には批判

 この会見を様々な思いで見つめていた被害を受けた当事者たち。訴え続けてきた性被害が、7日に初めて認められました。

 当事者の会 石丸志門副代表:「事実認定、謝罪、救済の道が開けた。その点において喜ばしく思います」

 当事者の会 平本淳也代表:「被害者の声をくんで、取り入れて、そのうえで救済案を補償案を出してほしい。あるいは相談しながら、一緒に加害者、被害者、共に被害者を救う。そういった方法・手段を取りませんか。あるいは、取ってくださいという声を届けています」

 当事者の会 大島幸広さん:「これで心の傷がなくなったりとかはないですけど、100のうち10くらいは、少しは楽になったと思います」

 一方で、会見内容について厳しい意見もありました。

 当事者の会 志賀泰伸さん:「ジャニーズ事務所という名前も、僕は変えるべきだと思っている。これだけの人類史上の性的虐待が行われたという、世界的に見ても人類史上初の出来事になっている、ジャニーの名前を残すような事務所は存在してはいけないと私は思っている」

■メディアとの関係 東山新社長「忖度必要ない」

 会見では、ジャニー氏による性加害が長年続いた背景についても質問が飛びました。

 「特別チーム」の報告書で指摘された“性加害を受けても相談しづらい雰囲気”については…。

 東山新社長:「(Q.『相談しづらい雰囲気』の改善は?)絶対的な存在がいましたので、風通しが良かったかと言われれば悪かったと思います。それを変えるべく、僕らは今後やっていくわけです」

 井ノ原社長:「(Q.『相談しづらい雰囲気』の改善は?)大きな問題なのは、大きな声が出せないというか、まだ力の弱いというか。デビュー組はもう10代の子がいない。僕が担当している子たちは6歳からいます。ですから、その子たちが僕は性加害をしませんが、権力を持ってしまうことはありえる話じゃないですか。そこは最初からすごく気をつけています」

 さらに、ジャニーズ側からメディアへの圧力については…。

 東山新社長:「ファンの人たちがいてこそなので。これはもう忖度(そんたく)とかそういうの関係なく、公平に行くべきだなと僕自身も思っております」

 井ノ原社長:「『昔ジャニーさんがこう言ったから』『メリーさんがこう言ったから』っていうのをきちんと守ってきた、ちょっと昔のタイプのスタッフがいたということも事実です。『何で?何でそれ、変えようよ』というのは毎日言っています。だから忖度なくしますと言っても、急になくなるものではないと思うんですよ。それだけ忖度って日本にはびこっているから。これをなくすのは本当に大変だと思います。だから、皆さんの問題でもあると一緒に考えていく問題でもあると思いますから。そこら辺はご協力いただいた方がいいと思います」

 東山新社長:「(Q.メリー喜多川氏の存在について)メリーさんの…守るべき対象がやはり違ったのかなと、今思っています。守るべきは子どもたちでタレントでという思いがあります」

 井ノ原社長:「めちゃめちゃ怖かったです。いい意味でも悪い意味でも怖い人だったなって印象です。そういった意味で怖さとか、そういう部分がみんなを萎縮させてしまって、忖度が働いたりとかする部分は確かにあったんじゃないかなと思います」

 「特別チーム」によれば、ジャニー氏の生前、ジャニーズ事務所の株式をジャニー氏とメリー氏が独占。取締役会も開かれず、企業ガバナンスにも問題があったと指摘されています。

 ジュリー前社長:「(Q.ジャニー氏生前の企業ガバナンスについて)私が代表取締役社長になるまでは、実際本当に2人が株主で2人が意思決定者で、私も含めて取締役というのが本当に名ばかりで、きちんと機能しておりませんでした。今後は新経営体制がきちんとそこのところはやらせていただくものだと思っております」

 東山新社長:「(Q.ジャニー氏生前の企業ガバナンスについて)やっぱり取締役会が開かれていないのは、会社としてちゃんと機能していないということ。その反省も踏まえて今回は完璧ではないですけれど、ガバナンスの問題も踏まえて、ちゃんと作っていくべきだと考えております」

■喜多川氏へ「かける言葉ない」「徹底的に排除」

 ジャニー喜多川氏に対する思いを聞かれた東山氏は…。

 東山新社長:「信じておりましたし、僕自身はやはり喜多川氏に会ってこの世界に入りましたので。その当時は大変な信頼を持っていましたけど…自分の本当に根本であったものが、すべてなくなった思いでしたね。自分の人生の中でも、これほどの落胆はなかったですね」

 井ノ原社長:「さっき東山さんもおっしゃいましたけど、なんてことしてくれたんだと思ってます。いい加減にしてほしいですね」

 一方、ファンに対する、思いを聞かれるとこんな場面も見られました。

 ジュリー前社長:「いろいろなことが起きているなかでも、全く変わらず私どものタレントを応援してくださっているファンの皆様には本当に感謝の気持ちしかございません。本当にご理解いただきたいこととしては皆がそういうこと(性加害)があって今、スターになっているわけではなく、一人ずつのタレントが本当に努力して、そしてそれぞれの地位を勝ち取っているので。そこだけは本当に失望していただきたくないし、誤解もしていただきたくない。安心してこれからも応援してやっていただきたいと心から思います」

 会見の終盤、取材陣からはこんな質問がありました。

 東山新社長:「(Q.ジャニー氏にかけたい言葉は?)かける言葉は特にありません。本当だったら、この場に彼がいるべき、皆さんからの質問を彼が受けるべきだったと思います」「(Q.子どもたちを性的に搾取する極めて権力的な人間だったと言わなければならないが?)おっしゃる通りだと思います。やってることは鬼畜の所業だと思っています。今は、愛情はほとんどありません」

 井ノ原社長:「ジャニー喜多川という名前が至る所に残っていた。ジャニーさんだったらどうするかっていう思いは、徹底的に排除したいと思っている。令和5年にジャニーさんがいないわけだから今、自分たちが考えなきゃダメでしょというのは常に思っています」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年9月8日放送分より)

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