超多忙! 外国人観光客の“駆け込み寺” 知られざるスタッフの奮闘を追跡[2023/09/23 17:00]

 外国人観光客の駆け込み寺である「観光案内所」は、かつてないほどの忙しさです。知られざるスタッフの奮闘を追跡しました。

■カナダ人家族が大満足したスポット

 先月、浅草に新たな観光案内所がオープンしました。この観光案内所があるのは、浅草寺の裏手に位置する奥浅草です。

 観光案内所を運営する「IKIDANE」マネージャー 越川麻衣さん:「下町の風情が残る場所。日本の粋な部分を発信していけたら」

 午前9時半ごろ、女性が訪れました。カナダから来た家族は「日本ならではの場所に行きたい」といいます。3日前に来日した家族は、なぜ日本に興味を持ったのでしょうか。

 カナダから:「娘の夢は日本を訪れることだったの」「第2次世界大戦のときは野蛮な印象だったけど、今では世界で一番優しい国だとされているし、美しい文化に触れられるでしょ。まあ、ただのアニメ好きなんだけどね」

 家族が訪れたのは、奥浅草にある一軒家です。中で、一体何が…。

 家族の他にも外国人が訪れています。実は、ここは茶道教室です。英語が通じることから、外国人観光客の人気スポットだとか。

 初めて味わう抹茶に「エナジードリンク」「まさにコレがやりたかったのよ。こんな体験ができるのは世界中どこを探しても日本だけだわ」と話していました。

■なぜ? イタリア人夫婦は2度来る

 宿泊施設を管理する会社がオープンした新たな観光案内所。スタッフはホテルのフロント経験者など5人で、6カ国語で対応しています。

 この日やって来たのは、イタリアから来たカップル。まさか再び会うことになろうとは…。

 イタリアから:「東京には2日間しかいないんだけど、どこに行くべきかな?」

 2日間で東京観光ですか…。慌ただしいですね。

 スタッフ:「ここが浅草寺です」
 イタリアから:「なるほど」「さっき行って来たんですよ」
 スタッフ:「そうなんですね」

 どうやら、すでに浅草観光をした様子です。

 イタリアから:「日本っぽい、伝統的な演劇はないかな?」
 通訳:「歌舞伎とか知っていますか?」
 イタリアから:「いや、知りません」

 歌舞伎に興味を持った夫婦。すぐさまスタッフが歌舞伎座に問い合わせます。

 スタッフ:「本日の歌舞伎のチケット直接行って買うことができますか?」「当日券を買えそうです」

 浅草から歌舞伎座までの行き方を説明しました。

 「夫婦の力になれて良かった」と思ったら1時間後、再び夫婦が訪問。一体、どうしたのでしょうか。

 イタリアから:「2日間しか東京にいないので、いろいろ回るなら、きょうしかないと思って」

 歌舞伎は公演時間が長いことが分かり、またの機会にしたといいます。

 「短時間で日本の伝統的なモノを見たい」。皆さんなら、どこを紹介しますか?

 イタリアから:「この中には何があるんですか?」
 スタッフ:「この中には、日本の伝統的なモノが展示されていますよ」
 イタリアから:「伝統的で歴史のあるモノがあるのね」「ここに行ってみたくない?ここに行ってみるよ」「そうね」

 どうやら夫婦の要望を満たす場所があったようです。浅草の案内所から20分かけてたどり着いたのは上野。向かった先は、東京国立博物館です。

 確かにここなら自分たちの都合に合わせた時間で、日本の伝統的なモノを堪能することができます。

 イタリアから:「国立博物館に行くというアイデアは最高でしたね。彼がいなかったら、ここに来られていないですからね。『ありがとう』と伝えたいです」

■フランス人男性が欲しい中古品

 実は、上野にも観光案内所があります。京成上野駅の改札前に位置する「東京観光情報センター」です。

 成田空港から東京へ出る玄関口とあって、多い日には、およそ500人もの外国人観光客が訪れます。

 この日やってきたのは、フランス人の兄弟。「どうしても欲しい中古品がある」といいます。

 カメラマンだというお兄さんがわざわざ日本で中古レンズを探すのには、ワケがありました。

 フランスから:「中古のレンズが欲しいんです」
 スタッフ:「日本で何かいい写真は撮れました?」
 フランスから:「コレがお気に入りなんだけど、子どもたちが赤い帽子をかぶっていて、良い構図だなと思って撮りました」

 スタッフ:「3つ良いお店を見つけましたよ」

 スタッフが案内したのは、秋葉原にある3店舗。お目当てのモノはあるでしょうか。

 販売員:「これは特別な商品ですよ」
 フランスから:「いい感じになりますかね」

 求めているのは、柔らかい雰囲気が出せる日本製の古いレンズ。さすがプロ。こだわりが強いようです。

 4時間悩み抜いて納得したレンズを購入し、観光案内所に感謝していました。

 フランスから:「こんなお店、世界中探してもないよ。紹介してもらったお店は最高でした」

■なぜ? コインロッカーが開かない

 この日、観光案内所のスタッフが慌てていました。

 トラブルに見舞われたのは、台湾から来た女性です。なんでも「3日前にコインロッカーへ預けた荷物が取り出せなくなってしまった」といいます。

 台湾から:「もしかしてやり方が分からなかっただけかも」

 案内所の近くにロッカーがあることから、助けを求めて来る人が多いとか。

 ICカードでも料金を払えるロッカー。なぜか一向に開かないと思ったら、どうやらICカードの残高が不足していたようです。

 台湾から:「困っていたけど、運が悪かっただけね。ありがとう」

■台風でも楽しめる穴場スポット!?

 台風13号の影響で激しい雨に見舞われたこの日、香港から来たという女性は大雨で仕事にならず、骨休めすることにしたそう。

 上野にも温泉はあるようですが…。

 香港から:「一番オススメのところは何ですか?」
 スタッフ:「上野と言ったら…」

 この後、スタッフのアイデアが女性を大喜びさせることに。

 香港から:「すごく近いね。良かった、良かった」

 上野で創業して71年の「寿湯」。実は温泉ではありませんが、外国人にも人気のある味わい深い銭湯なんです。

 「初めて銭湯に来た」という女性は日本ならではの文化に触れ、感動したようです。

 香港から:「地元の人ばっかりだったから、ホッとする。(案内所スタッフ)すごく優しい。もう一回会いたい。まだ知らないことあるから、またお願いします」

 観光案内所は、きょうも大忙しです。

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