予報士のつぶやき「台風と富士山 意外な関係!?」[2023/10/02 13:44]
先日、およそ3週間ぶりに台風が発生しました。14号は10月3日から5日ごろに先島諸島に接近する恐れがあります。
沖縄は台風に注意が必要な一方、本州付近は記録的な暑さがようやく収まり、今週は季節が進む1週間になりそうです。
きょう10月2日は富士山の初冠雪の平年日です。今年はまだ便りが届いていませんが、
今週は初冠雪となる可能性が出てきました。寒気が流れ込んできます。
その富士山と台風の意外な関係をご存じでしょうか?
かつて富士山頂には気象レーダーが設置されていました。
台風の接近をいち早く知るために1964年に設置されたものですが、
現在は気象衛星が発達したため、運用を終了しています。
古くから関係がある富士山と台風ですが、地元ではこのような言い伝えがあるのです。
「富士山に雪が積もる(初冠雪)と、その年はもう台風が来ない」と言うのです。
これは私が静岡でキャスターをしているときに地元の方に教えてもらった言葉です。
実際に調べると、それがあながち間違っていないのです。
この10年、富士山の初冠雪の記録と、その年、台風が最後に上陸した日を調べると
このような結果です。
<その年 最後の台風上陸> <初冠雪>
2022 9月18日 9月30日
2021 9月17日 9月26日
2020 上陸なし 9月28日
2019 10月12日 10月22日
2018 9月30日 9月26日
2017 10月23日 10月23日
2016 9月20日 10月26日
2015 9月9日 10月11日
2014 10月13日 10月16日
2013 9月16日 10月19日
初冠雪のあとに、台風が上陸したのは2018年のみ、2017年は台風が上陸した日に初冠雪という珍しい年でしたが、
80%以上という高確率で、初冠雪のあとは台風が上陸していません。
富士山に雪が積もり始めるというのは上空に寒気が流れ込み始めて季節が進み始めている証拠。
夏の高気圧は弱まり、その縁を沿うように進む台風は日本に近づきにくくなっていることが想像できます。
それを裏付けるような結果です。
今年の9月は台風シーズンにも関わらず、発生数が2個のみという珍しい月でしたが、
10月は対流活動が活発になるため、台風が発生しやすくなる可能性があり今後の動向が気になるところです。
今年は異常な暑さで疲労が溜まっているところ。秋は穏やかに過ぎてほしいものです。
テレビ朝日気象デスク 手塚 悠介