ジュリー氏…A4×4枚の手紙で告白 母・メリー氏との関係「従順な時は優しいが」[2023/10/03 15:17]

 ジャニーズ事務所が2日、会見を開き、事務所名を変更した上で、将来的には廃業すると発表しました。現時点で325人が保証を求めているということで、東山社長は「これほどだったのか」と話しました。

■井ノ原氏 ジュリー前社長の手紙代読

 詰めかけた報道陣はおよそ300人。2日、ジャニーズ事務所が創業者である故・ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり、2度目の会見を開きました。

 東山社長:「改めて謝罪をさせていただきます。すみませんでした」

 前回の記者会見に出席した、ジャニー氏の姪・藤島ジュリー前社長の姿はありませんでした。
 
 そのため、会見ではジャニーズJr.を育成プロデュースするジャニーズアイランド社長・井ノ原快彦氏(47)がおよそ10分にわたりジュリー前社長の手紙を代読しました。

 ジュリー前社長の手紙:「この度、叔父ジャニー喜多川により性被害にあわれた方々に、改めて心からお詫び申し上げます。ジャニーズ事務所は名称を変えるだけではなく、廃業をする方針を決めました。叔父・ジャニー、母・メリーが作ったものを閉じていくことが、加害者の親族として私が出来る償いなのだと思っております」

 報道陣に配られた手紙はA4で4枚。そのなかに綴られていたのは謝罪の言葉や、ジャニーズ事務所の行く末だけでなく、これまで語られることのなかった叔父と母との関係性でした。

■「実質的な経営は母・メリー氏」

 ジュリー前社長の手紙:「私は4年前に母親であるメリーからジャニーズ事務所を相続いたしました。ジャニーズ事務所はジャニーだけではなく、私の母であるメリーも権力を握っていたと思います。ジャニーはメリーからお小遣いをもらうという形でしたので、経営的なことは全てメリーが決めていたと思います」

 実質的に会社の経営を担っていたのは、母・メリー氏だといいます。

 ジュリー前社長の手紙:「メリーからの命令でジャニーズ事務所の取締役にされておりましたが、事実上私には経営に関する権限はありませんでした。そして、2008年春から新社屋が完成した2018年まで一度もジャニーズ事務所のオフィスには足を踏み入れておりません。これは性加害とは全く違う話で、私が事務所の改革をしようとしたり、タレントや社員の環境を整えようとしたこと等で、2人を怒らせてしまったことが発端です」

 叔父であるジャニー氏との関係については、ジャニー氏とは会うことも少なく、深い関係ではなかったといいます。

 ジュリー前社長の手紙:「ジャニーと私は、生まれてから一度も二人だけで食事をしたことがありません。会えば普通に話をしていましたが、深い話をする関係ではありませんでした。2008年ごろから2016年ごろまで、ライブ会場ですれ違うことがあっても会話はしておりませんでした。その後、ジャニーの稽古場に呼び出されて久しぶりに話しましたが、それ以降もジャニー本人に会ったのは数回です。その期間のJr.からのデビューや管轄外のグループの解散のプロセスにも関わっておりません」

 母・メリー氏との関係については、次のように書かれていました。

 ジュリー前社長の手紙:「母、メリーは私が従順な時はとても優しいのですが、私が少しでも彼女と違う意見を言うと気が狂ったように怒り、叩き潰すようなことを平気でする人でした。私の娘である孫に会いたいと切望され、1年に数回一緒に食事をすることや、お正月には孫と旅行することを決められておりましたが、私自身はメリーと話をすることを極力避けて生きてきた人生でした」

■「洗脳」ジュリー氏の手紙が明かす

 1999年、ジャニー氏の性加害などを報じた週刊文春の発行元をジャニーズ事務所が名誉毀損で訴えた裁判にも言及しました。

 ジュリー前社長の手紙:「ジャニーが裁判で負けた時も、メリーから『ジャニーは無実だから、こちらから裁判を起こした。もしも有罪なら、私たちから騒ぎ立てるはずがない。本人も最後まで無実だと言い切っている。負けてしまったのは弁護士のせい』と聞かされておりました。当時メリーの下で働いていた人たちも同じような内容を聞かされていて、それを信じていたと思います。そんなはずはないだろうと思われるかもしれないですが、ジャニーがある種、天才的に魅力的であり、みんなが洗脳されていたのかもしれません。私も含め、良い面を信じたかったのだと思います」

 「洗脳」という強い言葉を用いて、その時の心境を告白しました。また、自身が患っている病気についても説明しました。

 ジュリー前社長の手紙:「20代の時から私は時々過呼吸になり、倒れてしまうようになりました。当時、病名はなかったのですが、今では『パニック障害』と診断されております。心療内科の先生に『メリーさんはライオンであなたはシマウマだから、パニック障害を起こさないようにするには、この状態から逃げるしかない』と言われ、自分で小さな会社を立ち上げ、そこに慕ってくれるグループが何組か集まり、メリー、ジャニーとは全く関わることなく長年仕事をしておりました」

 さらに、記者会見を欠席する理由も伝えられました。
 
 ジュリー前社長の手紙:「きょう記者会見に出席せず、このようなお手紙を出すことで『逃げた』『卑怯だ』と言われることは重々承知です。今回初めて公にお話ししたメリーは本当にひどい面も多くあったのですが、優しい時もあり自分の母でもあり、皆様の前でお話ししたいことを過呼吸にならずにお伝えできる自信がなく、このようなお手紙にさせていただきました。誠に申し訳ございません。改めて被害者の皆様、ジャニーのしたことを私も許すことが出来ません。心から申し訳ないと思っております。ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族としてやり切らねばならないことなのだと思っております。ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたいと思います」

■街の人「本人の口から言葉を聞きたかった」

 会見を欠席したジュリー氏に対し、街の人からは同情する声が上がりました。

 60代女性:「兄弟でも親子でも、厳しい人に対しては子どもって言えない。それと同じ状況だったんじゃないか。そこは同情する部分がある」

 一方で、厳しい意見も聞かれました。

 30代男性:「逃げてるなって感じました。正直どこまで本当か信用できないですよね。今までこんなに隠してたのに」

 20代女性:「個人的な意見としては出席してほしかった。本人の口から言葉を聞きたかったです」

■新社名は「SMILE-UP.」 変更の理由

 そして、会見でもっとも注目されたのが、ジャニーズ事務所の社名変更でした。

 東山社長:「故喜多川氏と完全に決別する決意を示すため、社名を10月17日付で『SMILE-UP.(スマイルアップ)』と変更していきます」

 ジャニー喜多川氏によって1962年に設立されたジャニーズ事務所が、半世紀以上掲げてきたジャニーズという看板を下ろし、社名を変更することを発表しました。

 「SMILE-UP.」という名は、ジャニー氏が存命の時から、事務所が行った社会貢献活動のプロジェクト名でも使われていました。

 東山社長:「スマイルという言葉に違和感を感じていらっしゃる方もいると思いますが、まずは被害に遭われた方々の支援や補償を少しでも早く進めていくことが、SMILE-UP.社の社会的責任と考えております」

 社名を巡っては、先月7日の会見でも問われていた東山社長。変更の余地は残っているとしながらも、「社名は残す」と発表していました。

 東山社長(先月7日):「(Q.今後、ジャニーズ事務所という名前は変更があるのか?)そのことに関しては大変議論しました。ただ僕が思いましたのは、『ジャニーズ』というのはもちろん創業者の名前であり初代のグループの名前でもあります。何より大事なのは、これまでタレントさんが培ってきたエネルギーでありプライドだと思うので、(ジャニーズは)その表現のひとつでもいいんじゃないかと思ってます」

 しかし、一転、変更を決断した理由について、東山社長は「前回の記者会見ではジャニーズ事務所という社名を残すとしましたが、それこそが、まさに私たちが内向き体制であったと批判されて、当然のことだと感じていました」と説明しました。

 さらに、関ジャニ∞やジャニーズWESTなど「ジャニーズ」が入るグループについては今後グループ名などは変更され、新しい名前はそれぞれが検討していくとしました。

 東山社長:「本当にみんな、たくさんのファンの方に愛されてきた名前ですから、本人たちもすごく葛藤はあると思うんですね。ただ、やはり変えていくということは聞いております。すべてジャニーズと付くものはなくなります」

 ジャニーズの名称がなくなることについて、ファンからはさまざまな声が聞かれました。

 ジャニーズWESTのファン歴6年(19):「えー…ちょっと嫌だけど、変わるのさみしいなって感じだけど。でも変えないと、批判を本人が浴びるなら、変えた方がいいかなって」

 関ジャニ∞のファン歴6年(21歳):「そのままでもいいと思います。自分的には。新しい名前になっても、頑張ってほしいです」

■新会社はジュリー氏が一切関与せず

 ジャニーズ事務所は社名の変更だけではなく、その役割も変わります。

 東山社長:「タレントマネジメント及び育成の業務からは完全に撤退させていただきます。被害に遭われ、今もなお苦しんでいらっしゃる方への補償業務のみを行っていくこととします。そして被害を受けられた方の補償をきちんと最後まで行い、廃業をいたします」

 新社名の「SMILE-UP.」には、藤島ジュリー氏が取締役として残りますが、補償業務のみを行い、補償が完了した後は廃業するとしています。

 一方、所属タレントのマネジメントや育成業務などについては、新たに別の会社を設立して行うといいます。

 東山社長:「新会社は(所属を)希望するタレント個人やグループが設立する会社と個別に契約を結ぶエージェント会社といたします。この新会社の立ち上げにあたっては、僕自身が代表取締役社長に就任させていただき、そして井ノ原が副社長に就任する予定です。藤島氏は一切出資を行わず、取締役にも入りません」

 新会社はジュリー氏が一切関与せず、全く新しい組織として、今後1カ月以内に設立。社名について、ジャニーズアイランド・井ノ原社長は「新会社の社名については、ファンクラブの皆様からの公募で決めていきたいと考えております」と述べました。

 さらに、ジャニーズの関連会社として2020年に設立された「株式会社TOKIO」の代表取締役をジュリー氏が務めていましたが、城島茂さんが先月30日付で代表取締役に就任したことを発表しました。

■岡田准一さん退所 記者から問われる場面も

 新たな体制が次々と明らかになる一方、2日の会見の後、元V6の岡田准一さんが11月30日をもってジャニーズ事務所を退所することを明らかにしました。

 この発表の前、会見では岡田さんの退所について記者から問われる場面もありました。

 ジャニーズアイランド・井ノ原社長:「(Q.岡田准一さんの退所について)岡田准一に関しまして、別途連絡とっています。こんな言い方は、あれなんですけど何も変わらないんで、我々の関係性は。これからしっかりと発表してくると思いますので、本人からそれはさせてあげてください」

■井ノ原社長 冷静な対応を呼び掛け

 2日の会見では、会見が進むにつれ、質問の順番が回ってこない記者の不満がヒートアップする場面もありました。

 ジャニーズアイランド・井ノ原社長:「ちょっとお待ちください。みなさん、冷静に。冷静に話し合いしていきましょうね」

 すると井ノ原社長は、次のように訴えました。

 ジャニーズアイランド・井ノ原社長:「ちょっといいですか。こういう会見の場は今、全国に生放送で伝わっておりまして、小さな子どもたち、自分にも子どもがいます。ジャニーズJr.の子たちもいますし。ルールを守っていく大人たちの姿をこの会見では見せていきたいって僕は思ってますので、どうかどうか落ち着いてお願いします」

 一方で、新会社の経営に東山社長が携わることについて、記者から次のような指摘もありました。

 東山社長:「(Q.外部の例えば利害関係のなかった経営に明るい方を経営陣に入れるとか、そういうご検討はされなかったのでしょうか)社長という意味では、本当にふさわしい人がもっといっぱいいると思うんですね。経営のプロだったり、経営のプロの人は会社の経営としては多分素晴らしいんだと思います。そういう被害者の方たちの気持ちをくんだり、今いるタレントさんの思いが分かったり、そういうことを多分僕に望んでくれたのかなと。僕自身も夢としては90歳くらいまで舞台に立ちたいなと思ってましたけど」

■東山社長、被害者に謝罪 再発防止策も

 前回の会見後、被害補償の受付窓口として被害者救済委員会を設置したジャニーズ事務所。

 東山社長:「9月30日までにこちらの委員会には478人の方が申し出があっ
たと。そのうち被害を申告して補償を求めている方は325人であります」

 被害を申告し、補償を求める人数は実に325人です。

 東山社長:「あの…これほどだったのかという思いがちょっと強いですね」

 実名で被害を訴えてきた元ジャニーズJr.の橋田康さん(38)は「これだけの人数が申告をしていて、補償を求めているという現実が、この時点であるというのは非常にびっくりしたし、増えていく前だと思っているので今の段階って」と話しました。

 連絡のあった478人のうち、およそ150人がジャニーズ事務所への在籍が確認できたといいます。

 東山社長:「補償は11月からスタートさせていただきたいと思っています」

 さらに、先月21日以降、被害者と直接会い、謝罪と再発防止策について話したという東山社長。

 東山社長:「3名の方にお会いしました。僕自身、どこまで踏み込んでいいのかということを考えながら対話させていただいておりますが、来年からはしっかりと、もっともっと時間をかけて皆様に会えると思いますので、温かい目で見ていただければと思います」

 これに対し、ジャニーズ性加害問題当事者の会・石丸志門副代表は、次のように述べました。

 石丸副代表:「(3名に会ったというのは)やはり足りないと思いますね。東山氏についてはこれから舞台を控えているとかあるのかもしれませんけど、その舞台があろうとなかろうと被害者の救済をするのが優先されるべきものなので。ですので、1日何組でも会ってほしいと思っています」

■東山社長「僕が向き合っていかなきゃいけない」

 さらに、ジャニー喜多川氏による性加害問題については、井ノ原社長は次のように述べました。

 ジャニーズアイランド・井ノ原社長:「絶対的な支配の中にいたんだと思います。それは巧妙な手口だと思います。やっぱり、その本当にえたいのしれない恐ろしい空気感というものを僕は知ってます。きっと東山さんも知ってると思います」

 前回の会見で東山社長は、ジャニー喜多川氏による性加害問題について知っていたのか聞かれると、「恥ずかしながら何もできず、何の行動もしていなかった。ただ、噂としてはもちろん聞いていた。先輩たちからも後輩たちからも相談もなかったので、噂という認識はあったが、自ら行動することはできずにいた」と説明していました。

 「あくまで噂として認識していた」と話した東山社長ですが、2日の会見では次のように述べました。

 東山社長:「結論的に、やはり僕は見て見ぬふりをしていたということになるのかなと思います。なので、やはりこれだけの問題が起きているというのは、子どもたちの弱いところをつかんでいたということだと思うんですね。もし、あそこで本当に勇気を出して僕が言ってたら、僕自身はここに座ってないと思いますし、だからこそ僕が向き合っていかなきゃいけないなと思ってるわけですね」

 およそ2時間の会見を終え、当事者の会の石丸副代表は「ファンの方、スポンサー、テレビ局、マスメディア向けに重点を置いた会見だったんだと思います。少なくとも被害者の方々に向けたメッセージ性はかなり薄かったんじゃないかなと思います。不満足ですね」と述べました。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2023年10月3日放送分より)

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