来年度の「診療報酬改定」に向けて「医療経済実態調査」公表 厚労省[2023/11/24 09:35]

 厚生労働省は来年度の診療報酬の改定に向けて、医療機関などの経済状況を調べた「医療経済実態調査」を公表しました。

 厚労省は2年に1度行われる診療報酬の改定に合わせて、病院や診療所、薬局などの経営状況を調査しています。

 24日に公表された「医療経済実態調査」によりますと、国公立を含む一般病院の2022年度の利益率は6.7%の赤字で、新型コロナ関連の補助金を含めると1.4%の黒字となりました。

 2020年度もコロナ補助金を除くと6.9%の赤字で、厚労省は「厳しい結果が続いている」と評価しています。

 コロナの影響で減っていた入院率などが回復しつつあるものの、その収益の伸びを水道や光熱費などにかかる費用が上回っていると分析しています。

 一方、一般診療所の2022年度の利益率は8.3%の黒字で、コロナ補助金を含めると9.7%の黒字です。

 コロナ報酬特例やワクチン接種による収益が大きく寄与したとみています。

 財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、来年度の診療報酬改定について、診療所の経営状況が良好であることから診療所の報酬単価を5.5%ほど引き下げ、一般企業の利益率の平均と同程度とする意見書を出しました。

 引き下げが実現すれば保険料の負担は、年間2400億円ほど軽減され診療報酬全体で、「1%ほどのマイナス改定」に相当します。

 この意見書に対し日本医師会などは、物価高騰や賃金上昇に対応するため、診療報酬の引き上げを強く求めています。

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