東日本大震災で生じた断層崖を世界初発見 ビル8階建て相当 高精度の災害予測に貢献[2023/12/26 19:00]

 新潟大学らの共同研究グループは、東日本大震災によって日本海溝の底にできた断層の崖を世界で初めて発見したと発表しました。崖の高さは26メートルにも及ぶということです。

 2011年の東日本大震災は東北地方があるプレートと、その下に沈み込む太平洋プレートとの境界で発生しました。

 その後に発生した津波は海底地形の急激な変化によるもので、海溝で起きた地形の変動を正確に知ることは重要とされています。

 しかし、日本海溝は水深6500メートルを超え、現地を調査する手段が限られるため、震災から10年以上経った今でも地震の際に海溝で何が起きたのかは詳しく把握されていませんでした。

 こうしたなか、研究グループの発表によりますと、有人潜水艇によって東日本大震災の震源域である宮城県沖の水深約7500メートルの日本海溝を調査したところ、この地震によって隆起した海底に断層の崖を発見したということです。

 東日本大震災によって隆起した日本海溝の地形と断層の崖を記録したのは世界で初めてです。

 また、海洋プレートが沈み込む境界がずれて発生する地震で生じる断層の崖を観察・記録した報告も世界で初めてだということです。

 一般に内陸部での地震に伴う断層の崖は数十センチから数メートルと言われますが、今回観測された崖は26メートルになり、8階建てのビルに相当するということです。

 この崖は地震が発生した時に日本海溝の底が断層に沿って東に80メートルから120メートル動いた結果、地盤の先端部分が急激に60メートルほど持ち上げられて崩れたことによって生じたと推定されています。

 日本では巨大地震や大規模な津波の発生が想定されていますが、今回の報告のように津波を起こした海底の地形がどのように変わったかを知ることは災害予測の高精度化に役立つと期待されています。

 この研究成果はNatureが出版する科学誌に掲載されます。

画像:Caladan Oceanic/Inkfish LLC

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