生活保護の支給額引き下げ 富山地裁が「違法性」認め取り消し[2024/01/25 01:00]

 生活保護受給者らが国による支給額の引き下げは不当だと富山市を訴えた裁判で、富山地裁は引き下げの違法を認め取り消す処分を言い渡しました。

 生活保護費を巡っては2013年以降、物価下落などを理由に国が食費や光熱費などを算出する基準を見直し、支給額が平均6.5%引き下げられました。

 富山県内に住む生活保護受給者ら5人は国が生活保護の基準額を引き下げたのは、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障した憲法に違反すると国に慰謝料を請求、実際に保護費を減額した市には取り消しを求めて2015年に訴訟を起こしました。

 24日の判決で富山地裁は生活保護の基準額を算定する際の手続きなどについて、「厚生労働大臣の判断は可処分所得の実質的増加分を過大に評価していて裁量権の範囲の逸脱、濫用に当たる」として、支給額の引き下げ処分の違法性を認め引き下げを取り消しました。

 国への賠償請求は認めませんでした。

 生活保護の基準引き下げを巡る裁判は全国29の都道府県で27件行われていて、支給額引き下げが取り消された判決は15例目です。

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