「一言わびが欲しかった」“指名手配”直前に会った同級生 桐島容疑者とみられる男[2024/01/30 23:30]

死を悟って「自分は桐島聡だ」と名乗った男の潜伏生活の一端が新たに見えてきました。

■弾き語りで騒音トラブル…警察も

桐島容疑者とみられる男
「携帯はいらない。テレパシーでどうにかなる」

桐島容疑者を名乗る男は、馴染みのバーで、携帯電話を持っていなかったことを冗談混じりに話していたといいます。

常連のバーの店長
「呼び名は『うーやん』。25年間にわたり、週1回くらいで通っていた」

普段の生活は、つつましく送っているようにも見えたといいます。

常連のバーの店長
「お金がない感じはした。安い卵など買いに行ってた。基本的に自炊。弁当を毎日作って現場に行っていた」

しかし、自宅周辺では、過去に警察沙汰になるトラブルを起こしていたことも新たに分かりました。

桐島容疑者とみられる男の知人(80)
「もう10年以上、経つだろうな。酔っぱらって帰ってきて、ラジオギャンギャンかけるから。自分で下手なギター弾いていたよ。下手なギターを。歌も歌うんだもん。オレ夜中の12時ごろ起きて、怒鳴りつけたんだ」

こう話すのは、以前、桐島容疑者とみられる男と騒音トラブルになったという男性です。

桐島容疑者とみられる男の知人
「本人に言っても分からないから、警察に電話して。それで来たんだから、警察が。(Q.警察が当時、接触していた)そうだよ。警察だって分からないだろ、たぶん。顔がまるっきり違うもの」

桐島容疑者を名乗る男の身元は、まだ特定されていません。しかし、病院で捜査員から「後悔しているのか?」という主旨の問い掛けをされ「はい」と答えたといいます。さらに、連続企業爆破事件を起こした『東アジア反日武装戦線』のメンバーだったことを認め、「逃亡中は誰の支援も受けていなかった」という趣旨の話もしていたといいます。

■指名手配直前に会った同級生は

桐島容疑者の故郷は広島県。高校3年の時に同じクラスだった男性に話を聞くことができました。

桐島容疑者の同級生 岡田龍太郎さん(70)
「(Q.高校時代の印象は)おとなしいタイプ。人を追いかけるというか、影響を受けやすいようなタイプ。(自分は)免許を高校3年でとっていたから『そこまで走りに行くか』と言うと、のってきた。(Q.政治的な話は)全くなかった」

別々の大学に進んだ2人。しばらく音信不通になっていましたが、偶然再会します。男性の大学では当時、左翼系団体による学生運動が続いていて、大学側と学生らの団交が行われていました。

桐島容疑者の同級生 岡田龍太郎さん
「(大学で)偶然会った。こっちから『おい桐島』と声をかけた。むこうもびっくりした。『お前、よその大学で何をしている』と言ったら『総長団交の傍聴に来た。よその大学だから入れてもらえない』と。『それなら俺が入れてやる』と。帰りに自分のところへ礼を言いに来た。『きょうは色々ありがとう』と。その時に『お前、こんなことに興味を持っていたのか』と。そういう気配は高校時代はなかったから。『深入りするなよ。ほどほどにしておけよ』と声をかけた」

桐島容疑者が指名手配されたのは、その直後のことでした。

桐島容疑者の同級生 岡田龍太郎さん
「指名手配があった日くらいに、すぐ警察が来た。アパートに。『最近、桐島に会ったことはあるか』とか(聞かれて)『この間会った』と。(Q.その時、指名手配の写真とは)全くこれと一緒。(Q.高校時代と雰囲気は変わらず)一緒よ。特に東京にいた同級生は相当やられた。警察・公安含めだろうけど。相当マークされて、就職を棒にふったやつとか、内定消されたやつとかいっぱいいる。恨みつらみがあるやつもいる」

かつて親しかった桐島容疑者を名乗る男が、50年の時を経て現れ、そして、死亡しました。

桐島容疑者の同級生 岡田龍太郎さん
「しまいには寂しくなったんだろう、わびしかったんだろうと。偽名のまま死ぬは、あれやったのかな。それならせめて、被害者や同級生に一言のわびが欲しかった。突然現れて、突然死んでしまった。やるせないところもあるわな」

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