ドラレコに残された倒壊の瞬間 リアカメラには津波[2024/02/02 20:39]

 能登半島地震の発生直後、大きな揺れによって住宅が崩れる様子を捉えた映像。この後、津波の映像が流れます。ストレスを感じる場合は視聴を控えて下さい。

■住宅くずれ砂埃 自転車も倒れる

 石川県珠洲市を走る車。運転していた女性は直前に震度5強の地震が来たため、車を道路脇に止めます。すると、地面が横に大きく揺れ始め、車内に悲鳴が響きます。時間は珠洲市で震度6強を観測した午後4時10分です。大きく揺れる電線。揺れが始まって約20秒後には奥の住宅が倒れ、砂ぼこりが上がります。さらに、右側の住宅も屋根から大きく崩れます。次々と倒れる住宅。画面は砂ぼこりで真っ白に。

 地震から1カ月経った今月2日の様子。今も道路沿いの建物は倒壊した状態で残されたままです。

 車は介護施設の送迎をしていて、運転していた女性を含めて7人が乗っていました。車内カメラにはすぐ横の建物が崩れる様子も…。

車を運転していた女性
「もう立っていられない。しゃがむこともできなくて、一緒に支えあって踏ん張っていたんですけれど。そのうちメキメキメキメキと家が倒壊していって」

 さらに、車の後方のドライブレコーダー。歩道にいた人は自転車を支えられず倒れてしまいます。その直後、左の白い建物が崩れ、1階部分が潰れてしまいます。それでも続く揺れ。画面右側の住宅も前後に大きく揺れます。道路と敷地の境界がひび割れる瞬間も。

車を運転していた女性
「メキメキと折り重なって砂煙というか、揺れが長い。いつ収まるんだろうという感じ」

■「必死に上がった」高齢者と避難

 地震から3分すぎには住宅街に警報が鳴り響きます。大津波警報です。自転車の人も住民が逃げてくるのを見て、反対方向に逃げ出します。高齢者をおぶって避難させようとしますが、中々うまくいきません。

車を運転していた女性
「頑張って歩こうといっていたら大津波警報の放送がかかった。絶対津波が来ると思って必死に上がりました。現実的じゃない感じでした」

■津波に車が流され「現実的ではない」

 そして、地震が起きてから30分以上が経った午後4時47分の映像です。車は津波にのみ込まれていきます。後方のカメラを見ると、車は住宅にぶつかって止まっていたことが分かります。

車を運転していた女性
「駄目だと思う。廃車になったと思う」

■「非常に長い」能登地震の特徴

 建築の安全や防災を研究する大阪工業大学の吉村英祐特任教授に映像を見てもらいました。

大阪工業大学 工学部建築学科 吉村英祐特任教授
「一番注目したのは地震の揺れの継続時間が非常に長い。揺れる回数が多いので、接合部が緩み耐え切れず倒壊」

 映像では木造とみられる住宅が複数、倒壊しています。

大阪工業大学 工学部建築学科 吉村英祐特任教授
「揺れの周期が木造に一番危険な周期1秒から2秒で揺れていた可能性」

 木造家屋に最も被害が出やすいとされる周期1秒前後の揺れが長く続いたとみられます。

大阪工業大学 工学部建築学科 吉村英祐特任教授
「2階建ての建物は1階が崩壊するのが一般的。右側の2軒については1階が先行して崩壊している」

 一方、左奥の建物は2階部分から崩れているように見えます。

大阪工業大学 工学部建築学科 吉村英祐特任教授
「2階の壁の量が少ないとか大広間みたいなのがあるとか、そういうことが考えられるので、ただ1階と2階の崩壊する時間差はそんなにない。数秒の差で2階が先に崩壊したように見える。見た感じ現在の(耐震)基準、あるいはそれに近い基準で建てられたものは、大きく揺れても倒壊には至っていない。加速度も大変大きい、2800ガルを超えているということですので、根本的な耐震性を高めないと耐えられないレベルの地震動」

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