なぜ?2月も相次ぐクマ出没 “寒暖差”が影響 冬眠から覚醒か[2024/02/21 19:42]

■冬眠しないクマ 目撃相次ぐ

 冬眠時期の2月にもかかわらず、福島県ではクマの出没が相次いでいます。会津地方の北部・喜多方市で19日、体長約1メートルのクマが住宅近くで目撃されました。

近隣住民(82)
「クマは本当にたまげた、2月に出るなんて。今まで生きてて初めて。普通は冬眠する。クマ冬眠しないで」

 喜多方市では去年、年が明けてからの最初の目撃情報が4月10日でした。つまり「春」になってからです。ただ、今年は2カ月近く早い「冬」に目撃されています。

■緊迫!真冬の倉庫にクマ侵入

 隣接する西会津町でも、かつてない異例の事態が…。

西会津町 有害鳥獣対策の専門員 飯田優貴主査
「2月の目撃や捕獲の事例については、本町では確認はなかった」

 「真冬」の2月上旬に住宅の倉庫にクマが侵入しました。

自宅でクマと遭遇した住民(93)
「その辺に真っ黒い部分があって」
「(Q.黄色っぽい容器の所?)顔を上げたらクマだと分かった」

 倉庫に灯油を取りに行って、クマと鉢合わせした93歳の男性。緊迫の一部始終を語りました。

■クマと遭遇“緊迫の一部始終”

自宅でクマと遭遇した住民
「こんなところにクマがいたと思って。普通、クマは人に向かってくるけど、その時、クマはそういう気配がなかった。見ているうちに方向を変えて出口の方に歩いて行った」

 倉庫に置いていた米ぬかを食べていたといいます。

自宅でクマと遭遇した住民
「ここにあった米ぬか。米ぬかは紙袋で5つくらいあった」
「(Q.クマはどれくらい食べていた?)1つと半分くらいかな」

 クマは倉庫から立ち去り、男性にけがはありませんでした。その後、周辺を見回りしていた猟友会がクマを捕獲。体長1メートル、体重70キロの雌だったといいます。

西会津町 有害鳥獣対策の専門員 飯田優貴主査
「2月は冬眠時期だが出没したので、非常に危険な状況があった。人的被害の恐れもあるのでやむなく捕獲した」

■“寒暖差”でクマ 冬眠から覚醒か

 本来、2月は冬眠しているはずのクマがなぜ人里に出没しているのでしょうか。

自宅でクマと遭遇した住民
「雪が降らないから」
「(Q.ここまで雪が少ない年は?)初めて」

 豪雪地帯が多い福島県の会津地方。西会津町では2月の最深積雪の平均が91センチでした。しかし、21日の最深積雪は0センチです。

 さらに、専門家が注目するのは“寒暖差”です。

福島大学 望月翔太准教授
「暖かくなったり、またきょうからぐっと冷え込んだりしているので、そうしたジグザグ感、寒暖差がクマの冬眠に与える影響は少なからずある」

 今年1月、2月の最高気温とこれまでの平均を比べると、この冬は暖かい日が多いだけでなく、気温の急上昇、急降下を繰り返しているのが分かります。

福島大学 望月翔太准教授
「暖かいことによって春と勘違いして冬眠を明けてしまう。ただし、寒い期間が一定数続くとまた再び冬眠することもあり得る」

 ただ、この2月は寒い日が続かずに暖かい気温にすぐに戻っているため、クマが活動を始めている可能性があると指摘しています。

福島大学 望月翔太准教授
「目が覚めたまま人里の方に出てきて、餌(えさ)を求めて歩き回っているような個体もいるかもしれない」

 自治体は警鐘を鳴らしています。

西会津町 有害鳥獣対策の専門員 飯田優貴主査
「意識的にこの時期は冬眠中という地域の人の思いもあり、油断が生じる。しっかり周知したうえで地域の皆さんも危機感を持ちながら行動してもらいたい」

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