【311の現在】「反射」で長引く津波警戒 気象庁は情報発信見直し[2024/03/09 12:34]

 シリーズでお伝えしている「311の現在」。東日本大震災や能登半島地震では津波に関する情報が長い間、出されました。長時間にわたる津波情報はどう出すべきなのか、今、見直しが進んでいます。

 能登半島地震では、大津波警報など広い範囲で津波に関する情報が出て、津波の警報や注意報が全域で解除されたのはおよそ18時間後でした。

気象庁地震情報企画官 下山利浩氏
「(中国)大陸側に伝わった津波が『反射』してくる可能性がある。それも含めしっかりと監視して(いる)」

 注意報が長引いた理由について、気象庁は、津波が日本海の対岸に当たって再び戻ってくる「反射」の影響を見極める必要があったなどと説明しました。

 「反射」によって、同じ場所で何度も津波が押し寄せたり、時間が経っても高さが増すことが起こり得ます。

 13年前の東日本大震災では全域での注意報の解除は51時間経ってからでしたが、大学教授などのシミュレーションからは、津波が太平洋を渡って南米など他の大陸に当たって反射し、丸2日経って日本に戻ってきた様子が分かります。

津波に詳しい常葉大学教授 阿部郁男副学長
「対岸に津波が届いて『反射』してきて1日、2日経って津波が観測されるのはごく自然に起こり得る現象。他の所で『反射』した津波が重なり合い高くなって来るかも。津波警報などが長引いた時にぜひ気を付けていただきたい」

 気象庁は、現在の津波警報では「長引く時に避難を続ける必要性が伝わりづらい」として、情報の見直しを進めています。

 発表の回数を増やして津波の最新の高さを伝えたり、その時々で呼び掛けの内容を見直すという案が出ています。

 しかし、情報が増えたり逆に分かりにくくなるという意見もあって、今月中の取りまとめを目指して議論が続いています。

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