【徹底解説】道交法の改正案で何がどう変わる? スマホは青切符 モペットはバイク[2024/03/08 21:50]

 自転車の交通違反に対して罰金を設ける「青切符」の導入などを含む道路交通法の改正案が5日に閣議決定されました。

 改正案では青切符の他にも「道路で自転車が走るべき位置、車の走行速度」や野放しになっている「フル電動自転車“モペット”はバイクである」という定義も盛り込まれました。

 今回の改正案を詳しくまとめました。

■青切符とは

 正式な名称は「交通反則通告制度」というもので比較的、軽微な交通違反に対する行政手続きです。

 交通反則告知書(通称「青切符」)を警察官から交付された場合、反則金を納めれば刑事処分を科されません。

 納めなかった場合は警察が検察に事件送致して刑事手続きを行うことになります。

 飲酒運転など危険な運転は即時、刑事手続きの対象となる「赤切符」が交付されます。

 青切符で支払われた反則金は国の歳入になり、その後、都道府県など自治体への交付金となり、信号機や標識など交通安全に向けた整備の費用の一部となります。

■道交法改正の狙い

 これまで自転車は軽微な交通違反を対象に交付される「青切符」の対象となっておらず、そうした違反については、ほぼ黙認という状況となっていました。

 ところが近年、大都市を中心に「乗りたい時に借りて、行きたい場所で返す」という自転車シェアライドサービスや自転車を使ったフードデリバリーなどが広がる一方で、自転車の利用者による信号無視や歩行者の進路妨害など悪質な交通違反や事故が目立つようになりました。

 それらを防止するために「時代に沿った自転車の新たなルール」を設けようとなりました。

■「青切符」の対象となる違反

 「青切符」の対象となる違反は約115種類あり、反則金は原付バイクと同じ程度となります。

 ・スマートフォンや携帯電話などの使用 1万2000円

 ・信号無視 6000円

 ・通行区分違反 6000円

 ・遮断踏切立ち入り 7000円

 ・優先道路通行車妨害 5000円

 ・交差点安全進行妨害 6000円

 ・徐行場所違反 5000円

 ・指定場所一時不停止 5000円

 ・交差点での優先車妨害 5000円

 その他にも「傘さし運転」「イヤホンで何かを聞きながらの運転」「水たまりに侵入して泥はねを生じさせて他人にかける運転」「手信号をしない合図不履行」なども今後、違反の対象になる可能性があり、自転車を運転する人にもバイクや車を運転する人たちと同じ程度の交通ルールやマナーの順守が求められるようになります。

■「赤切符」の対象となる違反(刑事罰)

 刑事罰に問われる「赤切符」の対象となる違反は約20種類です。

 ・酒酔い運転

 ・酒気帯び運転

 ・「あおり運転など」妨害運転など

■自転車反則制度の対象となる年齢

 対象年齢は16歳以上です。

 16歳未満の違反については違反の対象にならず、違反があった場合は従来通り、指導・警告したうえでの赤切符の措置となります。

■改正案の成立後について

 警察による公平な取り締まりを行っていくために警察庁は各都道府県警察や有識者などと検討を重ね、「取り締まりの運用指針」定めていくということです。

 それらの運用方針を基に各都道府県警が地域に合わせた基準を設定し、より具体的な基準を定めて違反者の取り締まりを行っていく予定です。

■その他の改正内容

 ・「自転車の安全を確保するためのルール」

 車道で自動車と自転車などが道路脇で接触を防止するための新しい義務として、自動車が自転車の右側を通過する場合に十分な間隔(1メートルから1.5メートル)がない時は自動車は「間隔に応じた安全な速度で進行」し、自転車も「できる限り道路の左側の端に寄るように」という新しい義務が課されます。

 この場合の違反は青切符の対象となります。

■道路交通法改正案の概要

 公布から2年以内に施行されるもの

 ・「自転車の比較的軽微な交通違反に青切符(16歳以上)」

 ・「自転車の安全を確保するための道路上での車の安全な速度と自転車が走るべき位置」

 ・「普通免許の仮免許の取得可能年齢を18歳から17歳6カ月に引き下げ」

 公布から6カ月以内に施行されるもの

 ・「自転車の運転中のスマートフォンなどの携帯電話の使用、酒気帯び運転を禁止」

 ・「原動機付の自転車を『原動機付バイク』とみなす」

 ※これによってフル電動で走る「通称:モペット」は原付バイクの扱いとなります。

 政府は、この道路交通法の改正案の今国会での成立を目指すということです。

こちらも読まれています