【311の現在】「震災遺構」保存への葛藤 南三陸町の旧防災対策庁舎[2024/03/11 12:22]

 宮城県の南三陸町では津波の悲惨さを伝える「震災遺構」の保存を巡り今も葛藤が続いています。

 (阿部美里アナウンサー報告)
 海岸からおよそ600メートル。大津波に襲われ43人が犠牲になった南三陸町の旧防災対策庁舎です。

 津波は3階建てのこの庁舎の屋上を越えました。鉄骨が大きくゆがみ、そのすさまじさが伝わってきます。

 11日は遺族らがこの場所を訪れ、花を手向けて手を合わせていました。

東京から訪れた人
「亡くなった方を悼むことはこれからも続け、(教訓を)伝えていくことが大事」

 津波の悲惨さを伝えるこの庁舎は、震災後、保存か解体かで町民の意見が分かれ、県が2031年まで所有することで、結論を先送りしていました。

 ところが今月1日、自らもこの庁舎で被災した佐藤町長が「多くの人が訪れるこの庁舎は未来の命を守る役割を担っている」として震災遺構として残す考えを表明しました。

 一方で、今でも「庁舎を見たくない。解体してほしい」という町民の声もあります。

 震災の教訓をどう伝えていくべきか、被災地では、今も模索が続いています。

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