「まさか盗まれるものだとは…」“価格高騰”“盗難増加”世界でブームの『軽トラ』[2024/03/12 23:30]

警察庁が今月、2023年に盗難被害に遭った車種別のランキングを発表しました。アルファードやランドクルーザー、レクサスなど高級車が並ぶなか、6位と7位はキャリイとハイゼット、いわゆる“軽トラ”です。燃費が良くて丈夫な日本の軽トラ、しかも“中古車”が狙われやすくなっています。

■27年前の中古車が110万円超

アメリカ・ノースカロライナ州。広大な土地に並ぶのは日本生まれの軽トラです。

メイベリー・ミニトラック社 トニー・チャイルズ代表
「林の中へ。小回りが利く。これが日本の軽トラックの良さなんです。軽トラの本領発揮!」

中古の軽トラを専門に販売するトニー・チャイルズさん。販売数は去年1年間で600台。州内で「公道走行」が認められたこともあって、今飛ぶように売れているといいます。

日本のオークションで落札したトラックの在庫は300台。なかには…。

メイベリー・ミニトラック社 トニー・チャイルズ代表
「(Q.これはなんですか)日本の消防団の軽トラです。中古で状態もよく、楽しく乗れるので、すぐ売れます。(Q.娯楽用なんですね)そうです」

いわゆる“アメ車”に比べてサイズは格段に小さく、右ハンドル。農業や林業などアメリカでも使い勝手が良いそうです。取材中にも即決で購入した人がいました。27年前の軽トラ、日本円で110万円以上で購入です。

軽トラを購入した夫婦
「テネシー州の小さな町に住んでいて、裏道を通るので軽トラは最適です」


■日本は“キャンプ用”で需要増

北米でわく空前の“軽トラブーム”。人気ぶりは出身地・日本でも広がっています。埼玉県にある中古車販売店で聞いてみると…。

ステラファクトリー 諸星篤志社長
「昔は農家のおじさんとかが軽トラを仕事で使っていたが、最近は結構カスタムされて、若い人でも好きで乗る人は多い。(軽トラの)需要が広まった。(Q.国内の価格は)昔より軽トラは高くなってると思う」


■世界で人気『軽トラ』盗難も増加

今やキャンプをはじめアウトドアなどニーズは幅広くなっています。しかし、人気の裏で、軽トラックの盗難件数が増えています。埼玉県にあるリフォーム会社も、防犯カメラの目の前に駐車していた軽トラが盗まれたということです。

その瞬間を捉えた防犯カメラの映像を見てみると、駐車場に現れた2人組が止めてある車を開けようとしますが、近くを誰か通ったのか隠れます。その後、窓ガラスを破壊して車内を物色。さらに、2人は軽トラを盗み、そのまま走り去りました。

盗難被害に遭った 川田賢興さん
「最初は何が起きたのか分からなくて。車上荒らしもあって、軽トラもなくなっちゃって。まさか軽トラって盗まれるものだと思っていなくて」

盗まれた車は、2カ月後に110キロ離れた茨城県内で見つかりました。発見された時、車はなぜか真っ黒になっていました。

盗難被害に遭った 川田賢興さん
「警察署から(車が)戻った時にゴミがいっぱい積んであって、もしかしたら廃品回収に使っていたのかな」


■価格高騰も…盗まれた車どこへ

警察庁によると、去年1年間で盗難された車の中で2種類の軽トラがトップ10に入っていて、その件数も増えています。

盗まれた車はどこにいったのでしょうか。過去には盗難されたハイエースが解体され、部品として海外で売られたり、高級車の車体番号が偽造され不正輸出されたケースもあります。

一方、軽トラについて関係者は、盗難の理由や背景は不明で「不正輸出の可能性もあるが、摘発された事例は聞かない」としています。

ステラファクトリー 諸星篤志社長
「私の父親も畑の作業中、鍵はつけっぱなしで目を離すことがある。軽トラの需要が昔とは変わっている。注意してほしい」

こちらも読まれています