ヒグマ出没“9日連続”厳戒態勢の町[2024/03/19 20:56]

 取材中の番組スタッフが撮影したヒグマの様子です。体長は1メートル以上もあるように見えます。北海道乙部町でのクマの目撃は19日で9日連続。緊迫の町を取材しました。

■“9日連続”厳戒の町

 午前11時すぎ、北海道で取材スタッフがヒグマを目撃。カメラがその姿を捉えました。

 南部の乙部町では、今月11日から19日まで9日連続でヒグマが出没しています。すぐ近くには住宅が建ち並んでいて、19日朝から警察官が厳戒態勢を取っていました。万が一の事態に備え、クマを撃退するスプレーを握っています。

■体長1メートル超ヒグマ 取材中に突然

 静かな住宅地に緊張が走ります。ヒグマは顔を上げてにおいをかいでいるように見えます。なぜ人里の近くに連日、現れているのでしょうか。

 取材班は約70メートル離れた場所から撮影。かなり大きいサイズで、1メートル以上はあるように見えます。ヒグマは斜面を下りて住宅地の方に近付いてきます。

 クマ出没を受け、警察が警戒を呼び掛けています。

■70m先にヒグマ 住宅地に出没

 ヒグマが出没したのは北海道の南部で、函館市から車で1時間半ほどの乙部町。海沿いの国道229号に面した傾斜地です。山と海の間に住宅が広がる港町。目撃が相次いでいるのは山の斜面です。18日は午前10時半ごろに出没。

 18日に出没した時の映像では海風で雪が舞うなか、ヒグマは地面に顔を近付けて何かをしています。

 斜面の下の国道にはパトカーが。ヒグマは3月11日から19日までの9日間、毎日この辺りに出没。合わせて12回の通報がありました。町役場は同一の個体とみています。

 なぜ、同じ場所に何度も現れているのでしょうか。住民は不安を抱えています。

住民
「何回も(ヒグマを)見た。最初はもっと下の方にいた。早く捕まえてほしい。不安もいっぱい」

■警察も出動 緊迫の朝

 19日も朝から警察官が待機するなか、午前11時すぎにヒグマが出没。警察官が張り付き、ヒグマの動きに目を光らせます。

 ヒグマは急な斜面を移動し、口を動かしています。これまでも何かを食べる様子を近隣住民たちが何度も目撃していました。

■「きのうより大きい」餌を食べ…

 13日正午ごろ、住民が撮影した映像では…。

住民
「でかいね。きのうより大きいかも。下りてきている、でかいね」

 後ろ向きで急な斜面を下りています。国道に接するフェンスの辺りまで近付いてくることもあったといいます。

 この場所でヒグマは一体、何を食べているのでしょうか。3月中旬で木や草は枯れているのが分かります。

 自宅の目の前でヒグマを8度も目撃したという男性が今月18日正午ごろに撮影した映像。

ヒグマを8度目撃した男性
「寒い時にも出てくるなら、暖かくなったらますます出てくる」

■ヒグマ出没 行者ニンニク狙う?

 この斜面には春になると、ある植物が生えるといいます。

ヒグマを8度目撃した男性
「何か掘って食べている。間に土があるから、多分何か芽を出してきている」

住民
「この時期だとギョウジャニンニクが生えているのかな」

 住民によりますと、斜面にはギョウジャニンニクの芽などが生えるといいます。

酪農学園大学 佐藤喜和教授
「芽吹きというか、枯れ草の間から少し顔を出している芽があるかも。法面の斜面は雪解けが他の地域よりも早く、日当たりもある。他の所に比べると芽吹きが早い傾向があるかもしれない」

 専門家は1歳から2歳くらいのヒグマとみています。

酪農学園大学 佐藤喜和教授
「まだ若い個体なので、それほど経験も多くなくて、あまり人に追われた経験がない。車が通ったり人が見ても、あまり気にせず行動しているかも」

 19日、ヒグマは少なくとも20分ほど斜面をうろ付いた後、山の奥に消えていきました。乙部町は周辺に箱罠を2つ設置。今後、増やすことも検討しているといいます。

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