“詐欺犯を更生へ”被害総額3000万円超の受刑者「居場所欲しくて」 撲滅するには?[2024/03/20 19:43]

 特殊詐欺犯を更生へ。変わる刑務所を取材しました。

■“詐欺犯を更生へ”変わる刑務所

特殊詐欺で懲役4年半 受刑者A
「警察官や関東財務局などを名乗ったり、被害者のクレジットカードをすり替えてお金を引き出す。かなり大きな(犯行)グループだったんだろうなって」

 インタビューに答えたのは20代前半の受刑者。10件ほどの特殊詐欺事件を繰り返し、懲役4年半の刑期で服役して1年ほどが経ちました。

受刑者A
「自分は正直こういう場所(少年刑務所)が楽だなと。“駄目なこと”は駄目って言われるし、“良いこと”は良いって言われるし」

 埼玉県川越市にある少年刑務所。現在、約800人が収容されています。

 個別指導が必要と判断された受刑者たちには担任が付いて定期的な面談や日記のやり取りなど、他の刑務所にないきめ細かい処遇がされています。

■20代の過ち「居場所欲しくて…」

 今から月1回行われている受刑者と個別担任との面接が始まるところです。

 なぜ犯行に至ってしまったのでしょうか。

受刑者Aの個別担任
「詐欺をしてお金を得て、それで生活できる場もそっちの方が楽みたいな感じ?」

受刑者A
「“自分の居場所がほしい”みたいなのがあって、(犯行グループに)かなり褒めてもらったり『いいね』とか、その実際良くないんですけどやっていることは。でも当時の自分からすれば“自分を認めてもらえている”“自分を必要としてもらえている”。自分としては素直にうれしかった」

 しかし、根本的な問題は親との関係にあるといいます。

受刑者A
「何で“俺はこれだけ親のことを考えている”分かってくれないんだろう。“何で認めてくれないんだろう”という気持ちが奥深くにあって、その“不安定な自分を隠すため”の応急措置みたいな。応急措置でとりあえず“認めてくれる人”がほしい」

 また、受刑者は担任とのやり取りのなかで被害者への思いも変わってきたといいます。

受刑者A
「先生と面接を重ねていくなかで自分がこうして考えている間も被害者は苦しんでいて、忘れようとしているかもしれないし、それで忘れられていないかもしれないし。申し訳なかったで済ましてはいけない」

 そして、最も重要なのが受刑者の出所した後の生活です。出所後も詐欺グループの誘いがあるといいます。

埼玉県警 生活安全部 成川諒平巡査部長
「出所後(詐欺グループから)誘引が結構きます。万が一、出所後に誘引があった場合は絶対に乗らないように。脅される・困るようなことがあったら必ず警察に通報、相談して下さい。友人や知人から誘われたら断れる?」

受刑者B
「(詐欺グループには)断るというか縁を切りますね」

埼玉県警 生活安全部 成川諒平巡査部長
「もし困ったことがあったら警察に相談してください。あんまり警察って信用できないですか?」

受刑者C
「そんなことないです」

■母との面会で…詐欺撲滅するには?

 親が認めてくれないと話していた受刑者がある心の変化について話してくれました。

受刑者A
「母親が1年半ぶりくらいに面会に来て、今まで色んな葛藤を抱えていたんだなと改めて気付けて。自分が受刑者としてどういう姿勢で生活するべきなのかな。そういうことを考えるきっかけになった」

 最後に、どうしたら特殊詐欺を撲滅できるか聞きました。

受刑者A
「特殊詐欺起こす起こさないというのは“ホント紙一重な状況なんだよ”と。そういうのを皆で拡散していくしかないのかなって逆に。それだけ“自分の身近に犯罪が潜んでいるんだよ”ということをやっていくしかない」

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