同じ場所に出没!冬眠明けのクマ“強い執着心”[2024/03/27 19:25]

 冬眠から目覚め、餌(えさ)を求めて市街地に出没するクマ。顔や腕をかまれるなど人への被害も出るなか、専門家は「今の時期は特に執着心が強い」と警鐘を鳴らしています。

■犬の前でドッグフード食べるクマ

 クマが冬眠から目覚める季節。住宅地では緊迫の事態が…。

 新潟県長岡市に住む83歳の男性は23日、自宅にクマがいるのを2度、目撃したといいます。

自宅でクマと2度遭遇した人(83)
「夜中、そこに寝ていたが聞こえてきた」

 寝静まった午前0時ごろ、自宅で飼っている秋田犬が突然、激しくほえ始めます。犬の鳴き声を聞いて犬小屋の様子を見に行くと…。

自宅でクマと2度遭遇した人
「ほえた。犬がほえたから来てみた。クマがいた」
「(Q.クマはどこにいた?)ここ。あそこに餌が入っている。あれをあさっていた」

 犬小屋の前に体長1メートルほどのクマがいるのを目撃。ドッグフードや煮干しなどの餌を食べていたといいます。

■警戒!冬眠明けのクマ“強い執着心”

 クマは犬や人の気配を感じた時、攻撃してくることも。新潟県では今年度、クマの目撃や痕跡などが1449件。クマに襲われ、けがをした人は10人に及んでいます。

 生態調査の映像。激しく威嚇する母グマ。近くで犬の鳴き声がした瞬間、子グマを守るためか鋭い爪で何度も攻撃します。

 冬眠から目覚めたクマは食べ物を求めて市街地に現れ、人に危害を与える恐れがあります。

自宅でクマと2度遭遇した人
「(Q.見たのは何頭?)クマ1頭。そこの山に登るやつ。いつもそう」

■警戒“冬眠明け”人への危害も

 自宅前の山から食べ物を求めて来たのでしょうか。とっさに取った行動は…。

自宅でクマと2度遭遇した人
「棒がある。これを持って、ぶったたいた。あっちに逃げていった」

 クマは山の方に去っていきましたが、その6時間後の午前6時ごろ、同一個体とみられるクマが再び現れ、犬の餌を食べていたといいます。

自宅でクマと2度遭遇した人
「(Q.怖くなかった?)毎日、見ているから。クマに慣れちゃった、言い方が悪いけど」

 この地区ではクマの出没が例年よりひと月以上も早く、不安の声が…。

地区の区長
「去年、この近くで人身事故。自宅の畑で作業をしていたら後ろから抱き付かれた感じ。危険、怖い」

 実際に人への被害が出ています。島根県の現場にはクマとみられる足跡が。22日、森林組合に所属する50代の男性がクマに顔や腕をかまれて重傷です。

 直前には子グマの鳴き声が聞こえたため、襲ったのは冬眠明けの母グマとみられます。冬眠から目覚めるこの時期、各地で同じ場所での出没が相次いでいます。

 北海道では今月、住宅の目の前の斜面にヒグマが10日連続で出没する異例の事態。町役場は同一の個体とみています。ヒグマは春に生える「ギョウジャニンニクの芽」などを食べていたとみられます。

 秋田市でも高校のすぐ近くで数日の間に度々、子グマが出没。専門家は冬眠明けのクマが食べ物に執着して同じ場所に繰り返し出没する恐れがあると警鐘を鳴らします。

石川県立大学 大井徹特任教授
「去年はドングリ類が凶作で十分、餌を取れなくて栄養状態の悪いクマがいると考えられる。そのため、人里で食べ物を見つけた場合そこに執着し、その場所を記憶して何度も出没することになる。家庭から出た生ごみ、ペットの餌、家畜の飼料などに引き付けられ出てくる。クマを人の生活する場所に引き付けないように餌になるものをクマの手の届かないように除去したり、電気柵で囲ったりしておく必要がある」

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