歴史的暑さで開花急加速“絶景の桜”に花見客感動 専門家分析「桜咲かない未来」とは[2024/03/31 23:30]

きょう31日は都心で28℃を超えるなど、3月として記録的な暑さとなりました。
この暖かさで高知県ではソメイヨシノの満開も発表されました。

■東京都心で28℃超 “史上最も暑い3月”

春を飛び越え、初夏を先取りしたような日差しが照りつけた列島。まるで夏のような光景が各地で見られました。東京では都心で最高気温が28℃を超え、観測史上、3月として“最も暑い日”になりました。
「暑いですね。ちょっとミスったなと、上着を持ってきたの」
「冷たいものが食べたいです。かき氷食べたい」
(菅野富美ディレクター)「午後3時のお台場海浜公園です。手元の温度計を見ますと30℃超えと、真夏のような気温となっています」
「暑い」
「もう夏みたいな感じですよね」
「夏になってる。冬から夏」
Q.夏を先取りですね?
「はい。太陽を浴びるのが好きなので」
Q.3月ってどんなイメージでした?
「こんな格好ではない」
夏の日差しに誘われて、桜の開花も進んでいます。30日から31日にかけ、全国で桜が開花したのは11地点。桜の名所・目黒川には、多くの花見客が訪れていました。
「きれいですねぇ。満開の時に来たかったですけど」

■満開“一番乗り”は高知 花見客うっとりの絶景

(佐々木一真アナウンサー)「1週間前、日本で最も早く桜の開花宣言をした高知県では、気温は20℃を超え、桜が満開となりました」
高知県を代表する花見どころ『牧野公園』。日本の桜名所100選にも選ばれ、佐川町出身の植物学者、牧野富太郎博士から送られたソメイヨシノの苗を、この地に植えたことをきっかけに桜の名所として整備されました。園内には、ソメイヨシノなど、およそ350本の桜が来園者を魅了します。
(佐々木一真アナウンサー)「きれいですね。見てください、少し離れたところから見ると、山の一部がこのように桜色に染まっています。まるで絵画のような美しさです」
(花見客)「もう感動ですね。なんというか感無量です。やっぱり日本人だから桜が一番いいと思います。はかなさがいいですね」
(花見客)「本当に少しの間しか見られないので寂しい気持ちもあるが、この時期だけなので見られて良かったです」
(香港から来た観光客)「ここでこんなに多くの桜を見られて最高ですね」
香港から来たという2人。日本の桜を見るのは初めてで、当初は大阪で花見をする予定でしたが、桜が咲かず、急遽、高知県にやって来たといいます。
アメリカから来たこちらの旅行者も、桜の開花が遅れ、東京から高知へ駆けつけたといいます。
(米カリフォルニアから来た観光客)「最初に桜が満開になるのが高知と聞いてやって来ました。(満開は)当初の予測より遅いんですよね」
Q.桜を見ていかがですか?
(米カリフォルニアから来た観光客)「満開の桜を見たのはここが初めてで、とても気に入りました」

(佐々木一真アナウンサー)「牧野公園から700mほど離れた場所に位置する川沿いに咲く桜も、週末の暖かさでこのように一気に開花が進みました」
街を流れる春日川沿いに、およそ100本の桜が500mに渡り続く桜並木…街では古くから植樹をしてきたといいます。日が暮れ始めると、ライトアップされ、周囲はより一層、幻想的な雰囲気に…
“酒の国”高知県で花見といえば…
(佐々木一真アナウンサー)「ぼんぼりに明りが灯り桜のライトアップが始まりました。すっかり暗くなった今もほとんどの座席がうまる程の賑わいです」
「かんぱーい!」
(地元の花見客)「司牡丹のお酒を飲みながら、(桜を)見ながらの、上を見て美味しいお酒をいただくという」
Q.お酒と桜の割合は?
「お酒が7の桜3。コロナから久々やな。5年ぶりや」
Q.5年ぶりのお花見はどうですか?
「最高やね!」
(さかわ観光協会 山崎正和さん)「来場者数は去年比6〜7倍で推移している。佐川町にはたくさんの桜の木があります。自分の好きな桜の木を見つけていただきたいと思います」

■関東は“遅咲き”でイベント関係者が四苦八苦

満開の桜の一方、関東では…
(千葉市観光協会 木村雅英 職員)「ご覧頂きます通り、やっとですね、きのう桜が花開きまして」
『千葉城さくら祭り』およそ100本のソメイヨシノが植えられており、桜とお城を同時に楽しめる抜群のシチュエーションなのですが…
去年満開だった桜は、いまだ見られず。わずかに咲いた桜の横では…
(花見客(30代))「ここの裏側にちょろっとだけ咲いてる。先々週ぐらいから、見頃かなと思って計画したんですけど、ある体で楽しもうかなと思って。微妙にあるんで一応お花見です」
(千葉市観光協会 木村雅英 職員)「桜が咲いて見頃を皆さんにご覧いただけずに祭りを終わるわけにはいかないので」
西日本や東日本では遅い開花となった今年の桜。急遽31日までだった祭りを4月5日まで延長することに決めました。開花を待ち望んでいたのは、花見客だけではありません。
(富士見横丁レトロ 渡邉裕子 代表)「去年は桜も満開でお客様も通れないぐらいいらっしゃったんですけど、やっぱり桜が今まだ咲いてないからちょっと少ないかな」
キッチンカーを出店している渡邊さん。1日当たりの売上は去年と比べ1/10以下だと言います。
(富士見横丁レトロ 渡邉裕子 代表)「早く咲いてくれたらやっぱり人が出てきてくれるから、頑張ろう、巻き返そうと思っています」
期待がふくらむ中、延長の影響も…
(富士見横丁レトロ 渡邉裕子 代表)「来週もなんか延長になるっていうことなので、ちょっと多めに買いに行きたいんですけど」
延長が急遽決まったため、食材が不足する事態に…
(富士見横丁レトロ 渡邉裕子 代表)「もう準備がさ、間に合わなくて食材とスタッフの確保は大変ですね」
一番大変なのは、延長分のスタッフの確保だと言います。
(富士見横丁レトロ 渡邉裕子 代表)「予定を組んでるので、そこから5日間、人を来てくださいっていうのは、結構今シビアにすごく振り回されてます。本当にちょっと桜早く咲いてって」

■「温暖化で桜咲かない未来」も 専門家が分析

古より、花の美しさ、可憐さから日本人に愛されてきた“桜”。中でも、江戸後期から栽培され、咲き乱れるように花をつける『ソメイヨシノ』は、その短い花の時期と相まって、ニッポンの春の象徴にもなってきました。
しかし専門家は、今後、ソメイヨシノが見られなくなる可能性があると言うのです。
(九州大学 伊藤久徳 名誉教授)「種子島とか屋久島とか それから九州の南部の海岸線ですね。そういうところでは開花しないというのが起こり得る」
伊藤名誉教授が、温暖化の傾向を元に、開花予想を行ったシミュレーション。すると、およそ60年後には、東北南部から九州北部が、ほぼ一斉に開花。一方、九州や太平洋沿岸を中心に、満開にならない地域や開花しない場所もでてくると言います。
(九州大学 伊藤久徳 名誉教授)「これまでは咲き方がさっと咲いていたのが、だらだら咲く、きょうの桜は咲いたけれども、(咲いた桜は)もうすでに散ってしまって、その後、新しい桜がまた開花するというようなことになりますので、全体が一斉に咲いている状態にはならない。つまり満開にはならない。最終的には開花しないということが起こる」
こうしたソメイヨシノを守り続けている人がいます。
(くにたち桜守 大谷和彦さん(74))「この15番の桜はですね、桜の種類からいうとソメイヨシノです。木の感じとしては、ずいぶん弱っているなという感じです」
“くにたち桜守(さくらもり)”として、地域の桜の管理などを行う、大谷和彦さん。
およそ30年、ここ国立の桜を見守っていますが…いま、大きな異変が起きているといいます。
(くにたち桜守 大谷和彦さん)「木の下を見てわかるように、根がずいぶん腐っているんですよ。このままだとどんどん弱る一方かなと思います。1番古いのは(樹齢が)90年超えてるんですよ」
およそ90年前、上皇さまのご生誕を記念し、通りの両脇を埋め尽くすように植えられた桜。そのほとんどが、ソメイヨシノでした。一般に、60年から80年ともいわれる寿命を超え、病気にもかかりやすくなっているのが、現状だと言います。
Q.こういった木はどれくらいある?
(くにたち桜守 大谷和彦さん)「3分の1は更新の必要があるかなと思っています」
そこで大谷さんは、地元の子どもたちと共に桜の根元に花を植え、土壌改善で桜の回復をはかるなど、治療を行っています。
(くにたち桜守 大谷和彦さん)「(花を)植えることによってだんだん根元の方にミミズも来てくれるし、葉っぱとか茎は細かくして肥料にしますので、桜にとっては大事」
こうした中、期待されているのが…
(くにたち桜守 大谷和彦さん)「これはソメイヨシノと違って、ジンダイアケボノ。色もきれいですし、最近街中でも増えています」
ソメイヨシノ系の品種で、花の形や咲き方も似ている『ジンダイアケボノ』。病気にも強いことから、植え替えが必要になったソメイヨシノに代わる桜として、世代交代が進んでいます。
(くにたち桜守 大谷和彦さん)「伝統でみんな楽しんできたソメイヨシノも当然大事にしてあげる。その中でこういった新しい品種を、また新しい街づくりにも必要かなと思うので、将来を見据えて、これから5年後10年後にこういった街にしよう、と考えて植えることが大事かなと思います」


3月31日『サンデーステーション』より

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