【独自】“2方向から同時に津波”映像で初観測 被災した珠洲・飯田港[2024/04/02 12:47]

 能登半島地震から3カ月。珠洲市の飯田港では津波により防波堤が破壊されましたが、津波が、2方向から同時に押し寄せる様子が、映像で初めて観測されました。専門家は「他でも起こりうる」としています。

 能登半島地震の発生からおよそ30分後、珠洲市役所のカメラには沖側からと波打ち際に沿っての2方向から同時に津波が押し寄せる様子が日本で初めて映されていました。

港湾空港技術研究所 鈴木高二朗特別研究主幹
「沖から来る津波と横(沿岸部に沿って)から来る津波がちょうど重なって大きな力になっている」

 通常の港は、沖からの津波を想定した設計になっていますが、今回は沿岸部に沿って横から来た津波の方が大きく、防波堤が傾くなどの被害が出ました。

 研究グループによりますと、2方向からの波はいずれも第1波の引き波によって生じたもので、1平方メートルあたり30トンほどの力が防波堤にかかったと試算しています。

 2方向からの津波は、湾の深さなどの複雑な地形次第で発生するとみられ、日本の他の沿岸部でもこうした条件を満たせば発生する可能性はあるということです。

 研究グループは、秋ごろまでに論文を発表する予定です。

 また、沖側の防波堤を越えた津波が新たな津波を生み出し、被害を与えることも映像から初めて分かってきました。

鈴木高二朗特別研究主幹
「沖の防波堤を越え、その内側の水面にぶつかり津波が新たに発生」

 飯田港では、発生した新たな津波によって内側の防波堤に10トン以上の力が加わり、防波堤が消失するなどの被害が出ています。

 今後実験などによる研究を重ね、津波に強い港の設計に生かしていきたいとしています。

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