また!温泉街にクマ出没 “住民vsクマ”攻防一部始終[2024/04/02 20:10]

 2日もクマが出没しました。冬眠から目覚めたとみられるクマが温泉街で目撃されるケースが相次いでいます。なぜ、温泉街に出没するのでしょうか。

■小屋開けた瞬間! クマが出没

 2日午前6時40分ごろの映像。温泉街の駐車場に隣接するごみの集積所。警察官が2人、猟友会のメンバーが3人、小屋に近付いて中の様子をうかがっています。警察官は盾を構えて厳戒態勢です。

 小屋の扉を開けた瞬間、ごみ袋の脇からクマが飛び出てきました。警察官が盾で防ぐと、クマは小屋の中へ。一度、扉を閉めた後、安全を確保するため十分に距離を取ります。

 再び扉を開けて様子をうかがいます。クマは警戒しているのか姿を見せませんが、さらに距離を取った、その時。飛び出してきて、駐車場の奥へ。

 パトカーが追跡を始めます。猟友会の会長も急いで車へ。

 岩手県花巻市にある大沢温泉。通りには温泉宿や住宅が立ち並んでいます。クマは駐車場を抜けて建物がある方へ。

花巻市猟友会 藤沼弘文会長
「行った行った」

 茂みの方へ去っていきました。

花巻市猟友会 藤沼弘文会長
「(クマは茂みに)行った。向こうへ行った。山の方に行った」

警察官
「分かりました」

■住民vsクマ 早朝の攻防劇

 クマの対応にあたっていたのは花巻市猟友会の藤沼会長です。2日、小屋の前にわなを仕掛けました。

花巻市猟友会 藤沼弘文会長
「これ(クマが)壊しちゃったから従業員の方が直した。けさ、これを壊して中に入っていった」

 わなを仕掛ける前の映像では木の扉が壊れているのが分かります。

花巻市猟友会 藤沼弘文会長
「これ爪痕、クマの爪痕。爪でガリガリやっているから開けようとして。これなんかガリガリ歯でかんだりして。この間もこの中に入ったから同じ所を壊した」

 このごみ集積所には先月26日と31日にもクマが現れ、扉が壊される被害が起きていました。その時も体長1メートルほどの成獣とみられるクマが集積所の中のごみを荒らしていたといいます。

 8日間で3度も同じ場所に出没。

花巻市猟友会 藤沼弘文会長
「大体、同じ個体だね。2頭いる。それが行ったり来たり。匂いがするからつられて来る。クマは学習している。ここに物があると」

■カメラが捉えた住宅への“侵入”

 花巻市と猟友会は周辺に複数のわなを設置。取り付けたカメラがクマの姿を捉えていました。

 先月29日夜、住宅の小屋に侵入するクマが映っていました。その2日前には物音に気付いた住民がクマを発見。体長1.3メートルほどの成獣で、小屋の隙間に居座っていました。

花巻市猟友会 藤沼弘文会長
「もうやられますよ。私は上から飛び掛かられた。いないと思ったら天井から飛び降りてきた。大変だった。びっくりした。やられたと思った。ここに擦り傷。結構、血が出た」

■なぜ温泉街に何度も出没か

 なぜ温泉街にクマが何度も出没しているのでしょうか。

 福島県でも先日、温泉街にクマが現れて捕獲されたばかり。専門家が指摘するのはクマのルートになっている川です。

岩手大学農学部 山内貴義准教授
「温泉街は町中よりも山に近い方に建物がある。そのそばには大体、川が流れていて、山からクマが里に下りる通路にそれらの原因が合わさって(温泉街に)クマが出やすい」

 さらに、今年ならではの事情が…。

岩手大学農学部 山内貴義准教授
「通常の年であれば、この早い時期に人里に出てくるのはほとんどない。恐らく去年からの流れでかなり餌(えさ)に困って特に若い個体が里に依存して、ウロウロしていた。どこかで冬眠して、また里に依存。生息環境のシフトが影響している可能性」

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