静岡・川勝知事「早く去るのが県民のため」辞職届提出で“最後”の会見[2024/04/10 23:30]

静岡県の川勝平太知事(75)が10日、辞職届を提出しました。知事として最後となる会見では、有名な「辞世の句」や「漢詩」を紹介して、歴史的な人物の最後に自らを重ねながら心境を語りました。

■辞職届で“最後”の会見

川勝平太知事
「みんな人がいい。静岡県は素晴らしいところ。ですから、なるべく早く、私が去るのが県民のためになる」

去り際に引用したのは、壮絶な最期を遂げた細川ガラシャの辞世の句です。

川勝平太知事
「死の決意の時に泣き叫ぶわけでもなく、逃げるわけでもなく『散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ』というふうに歌われたのは感動的」

細川忠興の正室であるガラシャは、関ケ原の戦いの直前、人質になることを拒否し、自害しました。

川勝平太知事
「(ガラシャは)辱めを受けないために死を決意された。それは昔から行動規範として持っているもの」

そもそも辞職の発端は、川勝知事の職業差別とも受け取れる発言です。

川勝平太知事(1日)
「皆様は頭脳、知性の高い方」

翌日に6月議会での辞職を表明したものの、その後も批判は収まらず、発言を撤回したうえで、辞職のタイミングを10日に前倒しました。

■リニア「足を引っ張ったことない」

もう1つの辞職理由として挙げているのが、JR東海がリニア中央新幹線の2027年開業を断念したことです。水資源や環境への影響を懸念する県は、県内の工事を認めていません。JR東海は「静岡工区が開業の遅れに直結している」としています。しかし、10日の会見では…。

川勝平太知事
「南アルプスの自然が守れるか。水資源が確保できるのか。この点についてずっとやってきた。早期開通に対して足を引っ張るようなことをしたことは一度もありません」

知事が辞めれば問題解決というわけではないようです。4日には、JR東海が山梨県駅と長野県飯田市の高架橋の完成が2031年になる見通しを公表。静岡以外で工期の遅れを明らかにしたのは初めてのこと。

川勝平太知事
「事業計画が破綻したということです。遅れているということが分かった。これは一事が万事、他の所もどうなってるかを関係者は全員知らなくちゃいけない」

地元の声を受けて政府や大企業と戦ってきたと話した川勝知事。自らの姿を幕末の志士、西郷隆盛にもなぞらえています。

『城山』西道仙
「孤軍奮闘 囲みを破って還る 一百の里程 塁壁の間 吾が剣は既に折れ 吾が馬は斃る 秋風 骨を埋む 故郷の山」

西南戦争に敗れて自害した隆盛の死を嘆き、詠まれた漢詩です。

川勝平太知事
「『孤軍奮闘 囲みを破って還る』還る時が来たかなと。『吾が剣は既に折れ 吾が馬は斃る』どこに骨をうずめるかという心境」

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