天守にナイトラウンジ 城に宿泊も 姫路城「二重価格」 地域の魅力をどう守る?[2024/06/23 10:45]

■「二重価格」持続可能な“観光地”目指し

 まるでシラサギが羽を広げたような優美な姿、世界文化遺産姫路城。16日、国際会議での姫路市長の発言を巡り、物議が。

姫路市 清元秀泰市長
「(姫路城は今)7ドルで入れる。もっと値上げしようかなと思っている。外国の人は30ドル払ってもらい、市民は5ドルくらいにしたい」

 現在、姫路城の18歳以上の入城料は1人1000円ですが、市長はオーバーツーリズム対策などを理由に、今後、外国人観光客の入城料を現在の4倍、4000円に値上げすることを検討している、と明らかにしたのです

 翌17日、姫路市長はライトアップされた姫路城をバックに改めて緊急会見を行いました。

姫路市 清元秀泰市長
「姫路市民にとっては象徴的なお城ですから 市民のお金(入城料)と、外国から来られる方とはグローバルスタンダードの中で2種類の料金設定があっても良いんじゃないかと議論になった」

 姫路城の2023年度の総入城者数は約148万人。そのうち外国人観光客は過去最多の約45万人と全体の3割、過去最多です。

姫路市 清元秀泰市長
「 二重価格(2種類の価格)っていうことを悪いことのように言われますけれども、持続可能性のある観光地の在り方としては非常に大切な考え方ではないかなと思っている」

 姫路城の入城料値上げについて大阪府・吉村知事は…。

大阪府 吉村洋文知事
「大賛成です。やったらいいと思います。世界各国でも様々な寺院であったり建築物について、外国人の費用が高いっていうところはもう僕らも経験している通りですし、それを持ってしてもなお外国人のお客さんが見たいと思うかどうかだと思うんで」

 観光客はどうみているのでしょうか。

アメリカからの観光客
「外国人観光客だけ値上げかい?来場者全員から少しずつ値上げするのがいいと思う。もちろん姫路城の維持費がかかることは理解できるけど、多くの外国人を美しい姫路城から遠ざけることになるんじゃないかと思ってしまうよ」

イギリスからの観光客
「少し不公平ですね 平等な料金であってほしいと思います」

オーストラリアからの観光客
「多少観光客が高いお金を支払うことで、地元で暮らす人の生活が成り立つなら、それはいいことだと思う。よほどひどい金額じゃなければ納得できますね」

アメリカからの観光客
「納得はできます。訪日観光客が増えている状況で、自治体も収益化したいのは当然です。でも4000円は高い気もしますね」

 この問題、姫路城周辺の飲食店は。

姫路城周辺の土産物店
「4倍はちょっと大きい、高すぎるかなと思ってます。他の国もそうされてるところがあるからといって、急に4倍あげるのはちょっと、簡単に考えすぎかなと。他にもうちょっとやるべきこと。ホテルを増やしてもらって、 で、するべきことが手前に1つも2つもあるんじゃないかなと思います」

姫路城周辺の飲食店
「二十歳そこらで来た(外国人の)お客さんが、昔は結構高いもん食べてくれてたんやけど。今ね、1番安いもんしか食べないの。1番安いもんとって、飲み物は取らないの。だからいっぱい入ってても売り上げは上がらないの。この上でまた入城料が上がったら、もう入ってくる人が少なくなるん違うかなっていう気持ちはあります」

■1泊126万円!「城泊」で地域活性化ねらう

 一方、“異なる方法”で城を守っていこうとする動きも。

ABCテレビ 増田紗織アナウンサー
「香川県丸亀市に来ています。この美しく積み上げられた石垣が印象的な丸亀城ですが、来月から城に泊まるいわゆる“城泊”が始まるということなんです」

 丸亀城では姫路城などと同様に、訪日観光客の数は年々増えています。安定的な維持管理費の確保は課題であるものの、入城料の「二重価格」の検討はしていないと言います。

 丸亀市は城を観光産業の中心に据えつつも、城だけでなく“地域全体”が潤うことを重視。“地域全体”の活性化が結果的に城など、文化財の“持続的な保全”につながるという考えです。

 その戦略の一つとして来月から始まるのが地域全体を巻き込んだ「城泊」です。

丸亀市観光協会 山田哲也事務局長
「1670年に建てられた『大手一の門』なんですけど、こちらで城泊のチェックインを」

 チェックインの際には丸亀で継承されている和太鼓で歓迎の演出も。

 さらにこんな仕掛けが…。

丸亀市観光協会 山田哲也事務局長
「これも全部『石落とし』普段は閉めていて敵が来た時に開けて(石を)落とす。防御施設が残っていますね」

 400年を越える歴史の息遣いを随所に感じられるプログラムに。チェックインを終え、四層全体の高さで日本一を誇る石垣を間近に見ながら天主へ向かいます。

 ここでは歴史とモダンの融合も。

丸亀市観光協会 山田哲也事務局長
「ここに狭間(さま)があってこれが開きますので、これで(銃が)パンパンパンと。本物が残っているので、この本物がどういうところが本物なのかというところをできるだけお伝えしたい」

 さらに、夜にはナイトラウンジとしてこの空間を独り占めできるそう。そして、見どころの一つが「客室」です。

丸亀市観光協会 山田哲也事務局長
「この建物自体が京極家のお殿様の御屋敷を移築したもの」

ABCテレビ 増田紗織アナウンサー
「おじゃまします〜わーこれは凄い!!え!!一面に(城下町の)景色が広がっています!!なんかもう『私の景色』って感じがします。大名気分というか…大名!」

 宿泊プログラムには「丸亀うちわ作り」や「讃岐のり染体験」など、城を出て、地域の魅力に触れるものも準備していると言います。

丸亀市観光協会 山田哲也事務局長
「地域との関わりのなかで丸亀城がありますので、それを忘れずに。こういう城泊をして、少しでも丸亀城のことを全世界に知ってもらって、こられる方を増やすことによって、(城の)維持管理費に充てていきたい」

 それぞれの尺度で文化財を守る方法を模索する自治体。

(2024年6月23日「サンデーLIVE!!」)

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