社会

サタデーステーション

2025年9月6日 22:30

「命があっただけでも」突風被害から一夜 酷暑と停電の中での復旧作業

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台風15号が列島を横断し、静岡県では突風による大きな被害が出ました。一夜明け、復旧作業の妨げになっているのが、厳しい暑さです。停電が続くところもあり、市民生活にも影響が。(9月6日OA「サタデーステーション」)

■酷暑復活も静岡で約1万戸停電

報告・仁科健吾アナウンサー(静岡・牧之原市・午後7時すぎ)
「午後7時すぎです。このあたりは住宅街になるんですが、まだ停電が続いているためほとんど電気がついていません。こちらの住宅など、住んでいる様子もありませんね」

被害にあった住民
Qまだ作業されている?
「いややっていないです。いまちょっと雨戸を閉めに来た」
Q夜にこの暗さの中、過ごされることについては?
「いや厳しいね、お風呂にも入れないし」

静岡県内では約1万戸で「停電」が発生し、懸命の復旧作業が行われていますが、見通しは絶っておらず、長期化する可能性も。浜松市では5日、水路に落ちた80代の男性が行方不明になっていましたが、6日に発見され、死亡が確認されました。

■台風15号”突風の瞬間”新たな映像

「サタデーステーション」が新たに入手した、ドライブレコーダーの映像。
静岡県・牧之原市内を走行していた車の後方を映したものです。突風とともに、一瞬あたりが光ると、物置きのようなものが道路を滑りながら移動。前方を映したカメラには、吸い込まれるように消えていく様子が映っていました。その間、わずか2秒。

運転手
「前が全く見えない状態になったので、徐行してハザードをたいて停止した。今度は風が一気にきて色んなものが舞って、これは竜巻だと思った。電線が切れているんですよ。ショートした光だと思いますね。その時は恐怖でしかなかった、早く収まってくれと思って。車が横転しないように祈っているだけでした」

茨城県・日立市では、「竜巻」が発生しました。駐車場に突如現れた白い渦。一瞬で車が持ち上げられるように横転すると、白い渦は右へと移動。もう1台の車もひっくり返りました。警察などによると、当時この車に人は乗っておらず、幸いけが人はいないということです。5日、日本列島を直撃した台風15号。各地で突風による被害が相次ぎ、その爪痕があらわになりました。

報告・仁科健吾アナウンサー
「こちらの住宅、窓も割れていますし、屋根も一部壊れています」

■屋根が吹き飛び骨組みが丸見えに

被害にあった住民の家にあがらせてもらうと、木の骨組みが丸見えに。屋根が吹き飛んだあとの部屋の映像では、モノは散乱し、雨が部屋の中に。強風でカーテンがなびいているもわかります。5日の牧之原市の最大瞬間風速は、22.6m。今年2番目の強さの風が吹いていました。

被害にあった住民
「地震みたいにガーって。揺れたというかすごい衝撃で。あっけにとられて唖然とするしかない。屋根が飛んじゃって、天井(の板)が落ちてきた」

6日の牧之原市の最高気温は30℃を超える真夏日に。住民は厳しい暑さの中での片づけを余儀なくされています。

被害にあった住民
「自然って怖い。とりあえず命があっただけでも」

■暑さで立ち往生!?成田空港で緊急補修も

台風被害が少なかった地域では「史上最も暑かった夏」による影響が出ていました。

報告・畑中彩里ディレクター
「あちら成田空港では、連日の猛暑の影響で誘導路がでこぼこになってしまったといいます」

成田空港では、先月下旬、貨物機や旅客機の車輪が、誘導路にできた「轍」にはまって動けなくなり、一時、滑走路が閉鎖される事案が4回も発生。誘導路の表面温度が50度を超え、アスファルトが柔らかくなったところに、航空機が走行と停止を繰り返したことで、轍ができたとみられています。すでに緊急補修はしてあるものの、6日朝にかけて、遮熱性を高める舗装を行う予定です。
関東では7日、8日と35℃前後まで気温が上がる予報になっています。

一方、台風一過で6日、再び厳しい残暑に見舞われた西日本。大阪府和泉市で盛況だったのは、住宅展示場で行われた雪のイベントです。

イベント運営会社「Bigforest」大森正雄さん
「お子さんが夏に涼みながら楽しめるイベントはないかとずっと探していた」

およそ3トンの雪は、6日朝、兵庫県のスキー場で作られ、運びこまれたもの。近隣では最高気温33.9℃を記録する中、100人以上が参加しました。

参加者
「どこか行って遊ばせないと子どももストレス溜まるので、ありがたいです」

■相次ぐクマ出没も酷暑が一因か「暑さで果実実らず」

各地で相次いでいるクマの出没。これも今年の酷暑が一因になっていると指摘する声もあります。

福島大学 望月翔太 准教授
「山のエサ資源の変化。6〜8月ずっと暑かったので、果実がなかなか実らず、山にエサが無くて(クマが)降りてきてしまう」

宮城県では、半月ほどの間に飼っていた七面鳥やニワトリ13羽がクマに次々と襲われ、秋田県では、3カ月の間にモモおよそ3600個がクマに食べられました。地面を掘って電気柵を潜り抜けるなどして、侵入したとみられます。今年度のクマによる人身被害も、すでに全国で69人、このうち5人が死亡していて過去最多ペースで増え続けている状況です。
さらに、秋に実るクマのエサ、ブナの実が今年は東北の5県で「大凶作」と予測されていて、心配の種は尽きません。

福島大学 望月翔太准教授
「ブナの木は標高の高いところにあるので、ブナが実をつける場合はクマたちは、標高の高いところでご飯を食べているので、あまり人里の方に降りてこない。一方でブナが無ければ標高の高い所からだんだん降りてくるので、人との接触の機会がどうしても増えてしまう」

ブナの木は暑さに弱く、夏の高温傾向が今後も続くと悪循環が生まれやすいといいます。

福島大学 望月翔太准教授
「暑くなることによって、 標高の高い所のブナの生育が悪くなり、ブナ自体の本数が少なくなる。それによってクマのエサ資源が無くなって、より人里に出てきやすくなるといった悪循環が生まれやすくなる」

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