新米が、収穫の季節を迎えていますが、コメの平均価格は、“過去最大”の値上がり幅となりました。待ちに待った新米をめぐって、各地で“異変”も…(9月13日OA「サタデーステーション」)
■新米盛り放題が大盛況
13日、静岡県三島市の直売所にはオープンと同時に続々とやってくるお客さんの姿が。
報告・井本友理ディレクター(13日 静岡・三島市)
「新米盛り放題イベントには多くのお客さんが並んでいます」
店員
「よーいスタート」
一心不乱におコメをすくう人たち。子どもも大人も楽しめる「新米盛り放題」500円で30秒間、新米ミルキークイーンをマスの中に盛っていきます。
こちらの家族は4人でチャレンジ。2000円で4キロ以上ゲットできました。5キロの新米は去年よりも1400円高い4644円なのでかなりお得なイベントとなりました。
参加した客
「最近は備蓄米を食べているので新米がちょっと楽しみです」
コメの価格は値上がりを続けています。5キロあたり4,155円で前の週から264円値上がりしました。この値上がり幅は、集計を始めて以来最大です。この先、価格はどうなっていくのでしょうか。
■コメ集荷競争過熱…農家「こんなに高くなくてもいい」
報告・畑中彩里ディレクター(12日 新潟・見附市)
「新潟県見附市です。あちらでもこちらでも今まさに収穫作業が行われています」
コシヒカリの収穫、真っ只中の新潟県。8月、早場米の収穫では。
コメ農家 岩渕忠男さん(8月 新潟・見附市)
「クズ米になるんですよ。収量は半分くらいですよ例年の」
猛暑と水不足の影響で実が詰まっていない穂が多くありましたがコシヒカリの出来は。
コメ農家 岩渕忠男さん(12日 新潟・見附市)
「色はいい感じですね。あまり青くもないしちょうどよく実が入った」
新米の価格が上がっている背景には、JAが農家に前払いする「仮渡し金」の引き上げがあります。岩渕さんには前年よりも60キロあたり1万3000円高く支払われることになります。
コメ農家 岩渕忠男さん(12日 新潟・見附市)
「修理もできるし機械の更新も、フォークリフトのタイヤも交換しないとだめなんですけども」
雨漏りしていた壁を修理するなど、設備を整えられるようになると言います。一方で、引き上げには意外な反応も。
コメ農家 岩渕忠男さん(12日 新潟・見附市)
「こんなに高くなくてもいいんだよな、消費者の人は困るよな、というのが農家の偽らざる考え。業者との競争で高くなっているわけですので、農家が望んで高くしているわけではない」
岩渕さんは、すでにコメの奪い合いが起きていて、さらに高騰していくことを心配していました。
「JAさんが価格を決めた分に対して2000円とか3000円高く引き取るよと。業者さんがそのように買い付けに入っているというのを聞いています」
■コメ高騰続く小売店では“異変”
新米入荷でかき入れ時ですが小売りの現場では異変が起きていました。
スズノブ 西島豊造社長(13日 東京・目黒区)
「このお米の品質をさらに上げる方法それを調整しています」
13日、都内にある米穀店に産地から新米が届きました。しかし、西島社長は、不安をのぞかせます。
スズノブ 西島豊造社長(13日 東京・目黒区)
「店頭では買い控えですね、新米高いからという方が多い。去年のお米を選んでいく」
今年の新米は去年と比べて2,5倍ほど高いと言います。消費者は新米価格をどう受け止めているのでしょうか。買い物を見てみると。入り口すぐの場所に陳列されているのが新米ですが。
買い物客
「あっちにはまだ…」
店員
「新米じゃないですよ」
この日やってきたお客さんのほとんどが2024産の米を買っていきました。通常、西島社長は、新規の仕入れ先を開拓しますが、今年はそれをやめました。
スズノブ 西島豊造社長(13日 東京・目黒区)
「高すぎて仕入れができない。買い控えよりも。それのが問題ですね」
■備蓄米に殺到 探し回った客「ラッキー」
一方、備蓄米はというと。一時、流通の遅れによって販売をキャンセルする業者が相次いでいましたが。販売店を定点観測してみると意外な実態が見えてきました。
13日、2022年産の備蓄米を販売していた店舗をオープン直後から見ていると40袋あった古古古米は見る見るうちに売れていき、3時間で完売。
買い物客(13日 千葉市「ドラッグストアコスモス祐光店」)
「ちょっとどこにも置いているとこがなかったんで。来たらあったのですごい嬉しくて」
「もしかしたらあるかなと思って来たら、ちょうどあったから。ラッキーと思って」
備蓄米を探し回っているお客さんが多くいたのです。人気が衰えない備蓄米。実は、まだ3割ほどしか入荷できていないと言います。政府は、引き渡し後1か月以内に売り切るよう求めています。
コスモス薬品 店舗運営部 森翔一郎さん
「契約した2万トンは責任を持って最後の一粒まで販売したいと考えています」
◇
高島彩キャスター:
気になるコメの価格は、生産量次第というところもありますが、今年の見通しはどうなっているんでしょうか?
板倉朋希アナウンサー:
コメの生産量と需要量の推移を見てみると、2022年以降、生産が需要に追いつかない状況が続いていました。しかし今週、農水省の試算が明らかになり今年7月から1年間の需要量は最大でも711万トン。一方、生産量は728万トンから745万トンと需要を大きく上回る見通しです。にもかかわらず高騰しているのが、市場価格の指標ともなるJAが農家に支払う“仮渡し金(概算金)”で、60キロあたり、前年比1万円以上も引き上げている地域も出ています。
高島彩キャスター:
コメは豊作の見込みなのに、JAの買取価格が上がっているということですが、この状況は小売価格にどう影響するんでしょうか?
板倉朋希アナウンサー:
コメの流通に詳しい日本国際学園大学の荒幡克己教授にうかがったところ、 「今後はコメ余りで、価格は沈静化する方向。ただ農産物の場合、需要側・供給側とも反応が遅く、流通業者が豊作を実感するのは12月から1月頃。その時点でコメ余りとなれば、利益を削ってでも売りさばく可能性があり、銘柄米の小売価格は5キロで3900円台に落ち着くのではないか」とのことでした。
高島彩キャスター:
柳澤さん、小売価格に反映されるまではタイムラグがあるということですけれども、どうご覧になりますか?
ジャーナリスト柳澤秀夫氏:
確かにタイムラグがあっても、この先の見通しがはっきり見えていれば消費者は安心できると思うんです。まだ備蓄米もありますし。ただ中長期的に見たときにコメを巡る課題はたくさんあって、政府はこれまでの『事実上の減反政策をやめて増産に』という方針を出してますが、コメ農家の平均年齢は高齢化していて70歳ぐらい。さらにはコメの流通を巡る問題もありますから、そうした問題を解決してくという課題が我々にある、ということを忘れてはいけないと思いますね。
高島彩キャスター:
来年以降も安定して、消費者がお米を食べられる。そういった状況をつくっていく必要も感じますね。
社会
サタデーステーション
2025年9月13日 22:30
値上がり幅過去最大のコメ価格…新米めぐり各地で“異変”
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