社会

サタデーステーション

2025年9月13日 22:30

カメラが捉えた“地下浸水”の恐怖 都市襲う雨が浮き彫りにした地下浸水リスク検証

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14日にかけ、北海道や九州北部地方で、線状降水帯が発生する恐れがあります。そして3連休初日の13日
も影響が続いているのが、想定を超えた大雨による、地下空間の浸水。映像で明らかになった“地下浸水”の恐怖とは…(9月13日OA「サタデーステーション」)

■北海道・九州北部地方で線状降水帯発生か

13日夜、線状降水帯のおそれがある地域が、北海道を皮切りに次々と発表されています。北海道登別市では、夕方ごろにはすでに、雨が巻き上げられるほどの強風も吹き始めていました。北海道にはこの後も活発な雨雲がかかり続け、14日明け方にかけて大雨に注意が必要です。さらに、山口県、福岡県、長崎県の九州北部地方でも、14日朝にかけて、線状降水帯の予測情報が出されました。福岡市で13日夜に行われていた、サッカーJ1の試合が、雷で一時中断する事態も起きています。また、関東甲信地方でも、13日夜遅くにかけて、落雷や突風に注意が必要です。

■水に浸かった地下駐車場から脱出を試みる車

記録的な大雨によって、一面水に浸かった三重県四日市市の地下駐車場。両脇に駐車してある車のナンバープレートが隠れるほどの水の高さとなっています。車の警報音とともに、遠くでサイレンも鳴っています。500台以上が駐車可能な地下2階建ての巨大な駐車場で、車の持ち主は地下1階に駐車していました。細い通路に入ると水の流れが強くなっています。車の後方は、さらに激しい流れになっているのが確認できます。駐車場を出て、地上へと向かう道では前方に波ができていました。車を運転していた男性は「車高の高い車だったから、なんとか脱出できた」と振り返ります。

■駐車場を出ると街中心部も冠水

地上へ出ると視界に飛び込んできたのは、一面、水に浸かった街の中心部でした。12日から13日にかけ大雨となった四日市市では、1時間あたりの降水量として観測史上最大となる123.5ミリを記録しました。街は広い範囲で冠水。そして地下駐車場へと、ものすごい勢いで水が流れていきます。しばらくすると駐車場の入り口は水没していました。街が冠水すると、その下にある「地下空間」は、たちまち甚大な被害に見舞われる恐れがあるのです。

■3連休でも影響続く自由が丘“地下浸水”検証

東京都目黒区自由が丘の地下1階にある飲食店でも、11日の猛烈な雨により、階段から大量の水が店内に流れ込みました。

脱出を試みる飲食店スタッフたち
「ちょっとダメかも ヤバいかも店長」
「(ドア)閉めた方がいいかもしれない」
「閉めちゃうと…」
「なんかいろいろ落ちてきてる!」
「本当に出た方がいいかも 先に」

東京でも、記録的な大雨により、「地下空間の水害リスク」が表面化しています。

報告・仁科健吾アナウンサー
「自由が丘の駅からほど近い、こちらの飲食店でも浸水の被害を受けました。道路から20〜30センチほどある高さを乗り越えて、雨水は地下の店内へと流れていったといいます」

当時の映像をもとに現地で測定すると、水位は40センチほどあったとみられます。地下1階の飲食店から階段を上って避難した、店長の鈴木さんは…

「魚三四味家」鈴木拓朗 店長
「アドレナリンが出てるので、当時は。『出なきゃ』ていう。『危ない』とか、そんなんじゃない」

地上で30センチの浸水があった場合に、階段から地下空間へ水が流れ込む様子を再現した実験もあります。地上で40センチの浸水があった場合だと、階段を上れなくなる女性も出てくるといい、水深が浅いうちに、いち早く地上に避難するよう呼びかけています。

鈴木さんの店は、親子二代で50年以上、地元で愛されてきましたが、浸水被害は今回が初めて。

「魚三四味家」鈴木拓朗 店長
「1回(ドアを)開けようとしたがその時は開いた。(スタッフが)着替えて戻ってきて、開けようとした時にはもう開かなかった。その時は(水が)5センチくらい。うちに修理に来ていた業者さんが戻ってきてくれて、ハンマー持ってきてくれて、割ってもらって(脱出できた)」

その後、消防が水位を測ると、1.2メートルあったと言います。店の広さはおよそ200平米あるため、240トン、湯船1200杯分の水が店内に流れ込んだ計算になります。

先ほどの飲食店から130メートルほど離れたバーでは、店内に浸水が始まると、短時間で水位が急上昇。
わずか20分ほどで、37センチの高さまで浸水してしまいました。

GORI PERI BAR 理樹さん
「お菓子屋さん、ピザのお店もあるんですけど、この辺全部浸水で今は営業していない」

自由が丘の浸水映像が撮影された場所を地図上で見てみると、九品仏川緑道の周辺に集中していることがわかります。

報告・仁科健吾アナウンサー
「この辺りが、浸水被害があった緑道沿いです。坂道になっていてこちら側が低くなっています。反対側を見ても緩やかな上り坂になっていて、この辺りが、水が溜まりやすくなっているんでしょうか」

谷のような位置にあるこの緑道。実は、川に“ふた”をして造られたもので、現在、この川は雨水の排水も担う下水道として使われています。ただ、下水道が地面の近くあると、大雨の際に浸水被害が起きやすくなってしまいます。そこで東京都は、新たな下水道を下に作るなどして、1時間に75ミリの雨でも対応できる計画を進めています。しかし、今回、自由が丘周辺で観測されたのは、1時間に134ミリという、まさに桁違いの雨でした。

「魚三四味家」鈴木拓朗 店長
「記録的な雨って、すぐどうにかできる問題でもないですし、(浸水)対策がどうできるのかもわからない」

■異例の残暑 海水浴場では新たな課題も

3連休の初日、海でも異変が起きていました。

報告・矢谷一樹ディレクター
「午後1時半の逗子海水浴場です。3連休初日ということもあり、このように海に訪れている方もいます」

厳しい残暑が続くとされる中、逗子海水浴場では、夏のシーズンが終わっているにも関わらず、多くの人が訪れていました。しかし、問題なのが安全管理です。ライフセーバーの常駐も終了しているため、海ではある取り組みが行われていました。

報告・矢谷一樹ディレクター
「あちらにドローンが飛んでいますね」

ドローンで海水浴場周辺を監視、搭載されたスピーカーで注意を呼びかけ、要救助者を発見すると、近くにいる水上バイクが救助に向かいます。ドローンは合計で8台。神奈川の海水浴場を中心に、週に1回程度、パトロールを実施しているといいます。

日本ライフセービング協会 菊地太さん
「10月の終わりぐらいまでは海浜利用者というのはまだまだ多いです。ライフセーバーが配置されていないところでかなりの(事故の)数が起きていますので、広く全体を見ていって、事故を早期発見したいと思っています」

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