親族4人をボウガンで撃って3人を殺害した罪などに問われた男の初公判が開かれました。裁判では「責任能力」が争点となりました。
■被告の男「責任能力」は?
兵庫県宝塚市の住宅街の一角に捜査員が集まります。この場所で起きた、親族4人が死傷した事件。使われた凶器はボウガンでした。
野津英滉被告(28)供述から
「家族全員を殺すつもりだった」
捜査段階でそう供述していた野津英滉被告。母親、弟、祖母をボウガンで撃ち殺害した罪などに問われています。
25日から神戸地裁で始まった裁判員裁判。髪の毛を短く刈り上げた野津被告は、濃紺の上着にグレーのマスク姿で出廷します。
裁判長
「起訴内容に間違いはありませんか」
野津英滉被告
「はい」
起訴内容を認めたうえで、弁護側は「犯行当時、心神耗弱状態にあった」と主張しました。
■検察側「完全責任能力が認められる」
裁判の争点の1つは、責任能力です。
事件は2020年6月、2階建ての住宅で起きました。1階に倒れていた祖母と母親と弟。頭にボウガンの矢が刺さった状態で見つかり、死亡が確認されました。近所の家に逃げ込んだ叔母の首にも矢が刺さっていて、重傷を負っています。
野津被告は、家から出たところを駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。
検察は事件に至った経緯について、精神状態の悪化から大学に通わなくなり除籍処分になった2019年ごろから「将来の展望を奪われた」と、家族に強い不満を抱くようになったと指摘。
検察側 冒頭陳述から
「野津被告は、恨みを晴らして自分も死刑になって死にたいと思うようになった。家族3人では死刑にならないかもしれないと考え、伯母も殺害しようと決意した」
そのうえで、検察側は凶器となったボウガンは殺傷能力が高いものを調べて購入したものだと説明。自宅のブロック塀に試し打ちも行っていたことなどから、完全責任能力が認められると主張しています。
野津被告にどの程度責任能力があったのか、判決は来月31日に言い渡される予定です。
ボウガンで親族4人を殺傷 初公判 被告の男の「責任能力」は?
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