社会

ABEMA NEWS

2025年10月20日 09:54

大ピンチに“発想の転換” 絵本作家・鈴木のりたけさんの「待つ」子育て

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 今月発売された絵本「きれてる」。今大人気の絵本作家さんの新作なんです。ご自身も3人のお子さんの父親であるその人に、お会いしてきました。

 今回、番組がお話を伺ったのは鈴木のりたけさん。大ヒット作「大ピンチずかん」などを手掛ける大人気絵本作家です。

絵本作家 鈴木のりたけさん
「子どもがトウモロコシ食べて歯が1本黄色くなってるのずっと分からずに真面目にいい話をしてた時は面白かった。どうにかして笑わないでずっとそのままにしようと思ってましたけど『英語ってやっぱりさ、結構品詞とか分かってないと難しいよね』『トウモロコシ詰まってますけど』みたいな」

 鈴木さんのユニークな発想の源はどこにあるのでしょうか。新作の絵本「きれてる」では、1本のおいしそうなロールケーキがページをめくるたびに、驚きの展開を迎えます。

鈴木のりたけさん
「うちは結構ケーキ切ったり、ロールケーキを切る時に、『ああもうそれ切れてるからいいよやんなくて』『ああ切れてなかった』『切れてる』『切れてない』『うるさいから』とか、子どもと一緒にもめることが多くて」

 子どもたちとの日常で起きたささいなピンチも絵本の格好の題材に。3人の子どもの父親でもある鈴木さんですが、その子育ては、常に順風満帆とはいかなかったそうです。

鈴木のりたけさん
「(Q.世の中にはたくさん子育てで苦労している方もいらっしゃると思うんですが鈴木さんご自身は?)自分は子育ても楽しめると、親になりたてのころはそう思ってたんですけど、なかなかうまくいかなくて。長女が小学校2年の時に学校行かなくなって、なんで行かないんだろう行ってよと思って、どうやって行かせようか、じゃあきょうは学校まで送っていこうか保健室まで一緒にいこうか、そういうことを毎日考えていて。家の中全体が暗くなっていくんですよね」

 しかし、「大ピンチ」だと思っていた出来事は、「発想の転換」によって捉え方が変わったんだそうです。

鈴木のりたけさん
「もう行かないでいいじゃん。もっと楽しい事に目を向けようよ。フリースクールとか面白いところを見つけて、自分から行きたいと思うようになったし、いい方向にぐるぐる回るようになってから、随分楽になって今まで苦労だと思ってたことって勝手に枠にはめようと思って、それがうまくいかないことで勝手に苦労だと親が勝手に思ってた」
「(Q.『大ピンチずかん』とつながるところがあるのかなと思って。考え方を変えたりすることで、ピンチじゃなくて他の人にもあることだし、それを楽しんだりどう乗り切っていくか)皆それぞれ大ピンチっていうものに対してネタとして捉え方次第で面白くできる。またそれが人と経験が共通してる。発想の転換にね一つなってるっていう。子育てもねそういうことが起こると“一気にパーンと楽しくなる”ことがあると思う」

 そして、鈴木さんが子育てで大切にしていることとは。

鈴木のりたけさん
「『待ち』、ウェイト。待ちですね。待ち、忍耐。子どもたちにとってすべての経験って初めてなわけじゃないですか。親は『それをするとこうなるよ』っていうのを全部知っていて、『だからこれした方がいいよ』って先回りして全部答え用意しちゃう。それが良かれと思ってやってる、成功への近道だと思ってやってるんだけど、失敗して足踏みしたり、スタックしたりハマって何度も同じ失敗を繰り返してっていうことがすごく成長する、一番の瞬間だと思う。もっと長いスパンで考えて多分大丈夫なんですよね。長いスパンで考えられるぐらいの思考的な柔軟性とか芯の強さとか自分はどう生きるかっていうことに対する自分への信頼感とか、そういうものが育っていくのはそれは時間かかりますよ」
「(Q.つい言いたくなっちゃう。『それ違うから』とか)わざと『なんかもっと失敗しろ』と思いますけどね。言わないでね。それズボン前後ろ逆だけどいつ気づくかな」
「(Q.前歯にトウモロコシ詰まってるけどいい話してるから)きょう一日結局前後ろずっとそのままだった。お風呂入るときに脱ぎ終わったときに『きょう一日前後ろだったよ』って伝えてウケるとかね。その方が面白いじゃないですか」

 鈴木のりたけさんは絵本作家さんなので、黙々と日々、絵を描いてらっしゃるのかなと思ったら、とってもお話が面白くて楽しいインタビューとなりました。「待つこと」が非常に重要であるということ、そして何度も同じ失敗を繰り返すことが一番成長する瞬間だということは、本当に私に新しい視点を下さいました。

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