23日も各地でクマの出没が相次ぎました。専門家は「冬眠しないクマ」が一年中、街を出回る可能性があると注意を呼び掛けています。
■官庁街にクマ 緊迫の一部始終
草むらを勢いよく駆け抜け、川沿いへ。そして器用に泳ぎます。
午前、盛岡市を流れる中津川の河川敷にクマ1頭が現れました。現場はJR盛岡駅から約1キロ。近くには多くの住宅が立ち並び、商業施設や市役所も近くにあります。
そんな市の中心部でクマは縦横無尽に動き回ります。
厳重な装備の警察官が住宅街でクマを捜索。陸上も水中も素早く動き回るクマに現場は緊張感に包まれます。
クマはその後、住宅街の方向へ走り去り、姿を消しました。
盛岡市では今週に入り、人の生活圏へのクマの侵入が相次いでいます。
20日には県庁前の通りに親子とみられるクマが2頭。盛岡市のメインストリートを横断します。さらに、同じ日の午後には盛岡駅から程近い記念館の敷地内にクマが侵入しました。
盛岡市民
「最近までは考えられなかったが、この前、県庁前を夜、クマが横切った。きょう市役所前ということで、危険が近すぎて怖い」
しかし、不安を抱えているのは人間だけではありません。
盛岡市内にある寺の防犯カメラ映像。玄関前でくつろぐネコは何かに気付き、逃げ出します。現れたのはクマで、その後もネコを追い掛けました。
■“冬眠しないクマ”街に定着?
クマの生活圏はどこまで近くなるのでしょうか。
日中の道路を歩く3頭のクマ。前を行く親グマを2頭の子グマが追い掛けています。
北海道浦河町で幼稚園バスの中から撮影された映像。よく見ると、クマの奥には人の姿が…。同じ日にクマ3頭を目撃した人は。
クマ3頭を目撃した人
「大きいクマと小さいクマ2頭。大きいクマは、本当に大きいクマ1頭」
住民は庭の手入れ中に目撃したといいます。
クマ3頭を目撃した人
「そこに大きいクマが『グワッ』といた。あるよ、恐怖は。いまだに顔を思い出す」
クマは、まさに町を横断していました。
北海道では23日も札幌の公園にクマが。住宅や小学校の近くの場所に2頭が居座りました。
毎日のように人の生活圏に姿を現すクマ。今、懸念されていることがあります。
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「里の人間の食べ物を餌(えさ)として執着する個体が非常に多いので、その個体はなかなか寝ない。いつまでも冬眠せず、街中を徘徊(はいかい)することが起きるかもしれない」
クマは通常12月中旬には冬眠するところ、人里の食べ物を覚えた個体がいつまでも現れる可能性があります。
■400キロ級も 生活圏で被害増
たくさん食べることでこんなクマも現れました。
青森県のクリ農園では農園のクリを食べ続けた結果、本州に生息するツキノワグマとは思えない、まるでヒグマのような体型です。
北海道では果樹園に仕掛けられたわなにクマが。太く鋭くとがった爪を持つクマですが、ここではシャインマスカットの実だけを綺麗に食べています。
今月、300キロを超える体重のクマが捕獲されている苫前町では、さらに驚きの個体が…。
苫前町猟友会 林豊行会長
「(前回捕獲のクマが)約300キロだったので、わなの前で揺れるおなか、お尻の肉付きを見ると、400キロまではいかなくとも400キロに近い体重だと思う」
400キロ近い巨大グマ。もはや目の前にある箱わなにも入らなさそうなサイズにも見えます。この周辺で牛の飼料として使う「デントコーン」が食べられていました。
苫前町猟友会 林豊行会長
「1カ月もそこにいれば、太る」
■冬眠はいつ?
人里に現れるクマの冬眠はいつなのでしょうか。専門家は、ある食べ物の存在を指摘します。
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「カキの実が放置されるパターンが非常に多くて、(クマが)カキの実に依存すると遅くまで冬眠しない可能性も」
過去には寒空の下、カキを食べている姿も目撃されています。
今年は農作物の管理が例年以上に大切になってきます。
“冬眠しないクマ”街に定着?生活圏で被害増 官庁街にも…緊迫の一部始終
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