1年で火事が最も多くなるシーズンを前に、地域の安全を守る女性消防団の技術を競う大会が開かれました。その裏には団員たちの知られざる努力がありました。
一糸乱れぬ俊敏な動きでポンプを準備したかと思うと、重さおよそ8キロのホースを持って全力疾走。
日が暮れた後、東京・八王子市の駐車場で行われていたのは地元の消防団による消火訓練です。
木村七海さん(31)
「今のめっちゃきれいでしたね」
メンバーは全員が女性で、木村七海さんは3年前に入団しました。
木村さんたちが行っているのは普通の訓練ではなく「消防操法」という競技です。1チーム5人で協力して3本のホースを伸ばし、60メートル先の的を倒すタイムや動きの正確さを競います。
木村さんの消防団は去年、都大会で優勝し、初出場となる全国大会が1カ月後に迫っています。
木村さん
「(全国大会まで)1カ月を切っている状態で(タイムを縮めるには)どうしたらいいのかなって」
しかし、非常勤の消防団員は消防士と違って日中は別の仕事があり、なかなか練習ができません。木村さんも普段は電気工事士として働いています。
「ほんとほんと過酷です。でも好きでやってるんだなって思って、(体)痛いけど訓練行っちゃうんですよね。つらいって思いながら。なんか楽しいんでしょうね、やっぱり」
平日の夜や土日などを使い、仕事の合間を縫うようにして3年間訓練を重ねてきました。
木村さん
「(Q.大会前最後の練習を終えてどう?)いつもより速く感じたので、このままの気持ちで本番行けたらいいなと思ってます」
高坂美月さん(23)
「(Q.練習の手応えは?)手応えはもう…『優勝』」
そして、迎えた全国大会、当日。
木村さん
「もう本番に賭けるしかないって感じですね」
全国大会には、各都道府県の代表44の消防団が出場。各地から集まった応援団が見守るなか、訓練の成果を披露します。
なかでも強豪は2連覇している熊本県八代市です。
いよいよ木村さんたちの出番です。流れるような動作で的を射抜き、安定してやり遂げてベストに近いタイムが出ますが、出番後、木村さんの目には涙が。
練習ではあまり出なかったミスが出たのだと言います。不安な思いを抱えたまま結果発表へ。緊張の瞬間です。
結果は、初出場で準優勝。東京都の女性消防団として史上2回目の快挙です。
木村さん
「皆とできたのは本当にうれしい。皆と勝ち取った準優勝だと思うので、そこは本当にうれしい。ただ準優勝になってしまったっていうのはうれしいけど悔しいって感じです」
この悔しさを次の一歩に、地域の安全を守るため木村さんたちは技術を磨き続けています。
火事多発シーズン目前に奮闘 地域の女性消防団“頂上決戦”
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