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再審制度の見直しの議論が進められるなか、大学教授らが法務大臣の諮問機関、法制審議会に意見書を提出しました。刑事法の研究者らも「冤罪被害者のためになっていない」とする声明を出しました。
再審法の改正については大学教授や弁護士、裁判官や検察官らがメンバーとなり、4月から今月2日までに12回、法制審議会の部会で議論されています。
部会では証拠開示の対象範囲について、限定する案を支持する委員が多い一方で、弁護士の委員はより範囲の広い案を支持していて、意見に隔たりがあります。
こうしたなか、青山学院大学法学部の葛野尋之教授などの再審制度を研究する大学教授らが2日に都内で会見を開き、法制審議会の部会に意見書を提出したことを明らかにしました。
意見書では「通常審との整合性を重視して再審の機能の強化に消極的な姿勢を取ることは誤判を発見・是正されないまま残すことになり、刑事司法は全体としての健全性を失う」と指摘しています。
また、刑事法の研究者ら135人も法制審議会の議論の進め方について「方向性が違う」とする声明を発表しました。
元福岡大学法学部教授の新屋達之さんは、証拠開示の範囲の議論について「再審法改正問題が無辜の救済のための制度という前提を本当に踏まえた意見なのか」と指摘しました。
そして、検察官による「不服申し立て」が再審開始の決定に影響を与えていることも見直すべきだとしたうえで、法制審議会の議論が「冤罪被害者にとってパンの代わりに石を与えるものとなりかねない」と懸念を示しました。
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