トラックを片手で運転する男。後に車内からは酒の空き瓶が見つかっています。この直後に起こした衝突事故で亡くなったのは53歳の男性と26歳の息子、さらに2歳の孫でした。男は14日の初公判で「酒を飲んだ記憶がない」と主張しました。
■トラック衝突で3世代死亡
事故直前、片手でハンドルを握る被告の映像がドライブレコーダーに記録されています。後ろを走る車にも残されていました。
おととしのゴールデンウィーク最終日、突如奪われた、祖父とその息子、孫の命。酒を飲んで事故を起こしたとされる被告の初公判が始まりました。
事故が発生したのは、おととし5月。群馬県伊勢崎市の国道です。
目撃者
「トラックが信号を過ぎて縁石を乗り越えてきた。ドーンと音がして」
被告の運転していたトラックのドライブレコーダーの記録。車両は中央分離帯に乗り上げ、対向車線を走っていた車に衝突します。
衝突された車には一家3人が乗っていました。祖父の塚越正宏さん(当時53)と孫の湊斗君(当時2)。湊斗君の父親・寛人さん(当時26)です。
3人はレジャー施設に出掛けたまま帰らぬ人となりました。
祖父・正宏さんはガードレールに挟まれた状態、息子の寛人さんは車外の側溝の中で見つかり、孫の湊斗君は後部座席でチャイルドシートに座ったまま発見されたといいます。
塚越正宏さんの母親
「声も上げられないで亡くなったんですもんね。悔しいでしょうねきっと。でも孫(寛人さん)が一瞬でもハンドルをよけたんですよね。かじを左へ。間に合わなかったんですね」
■初公判で飲酒否認「酒を飲んだ記憶がない」
トラックを運転していたのは鈴木吾郎被告(71)。
運転前に酒を飲み、的確な操作が困難な状態のままトラックを運転して事故を起こし、一家3人を死亡させた罪などに問われています。
今月14日の初公判で鈴木被告は…。
鈴木吾郎被告
「アルコールを飲んだ事実はありません。酒を飲んだ記憶がない」
より罰則の重い「危険運転致死傷罪」などについて起訴内容を否認。弁護側は被告の「過失」で発生した事故だと主張しています。
一方の検察側は…。
検察側
「(被告は)直前に飲酒していて、基準の5倍以上の高濃度アルコールがある状態で運転した。職業運転手であるのに飲酒運転を繰り返していた」
検察によりますと、当日の午前6時前、被告はカップ焼酎を3本購入。事故後、被告の血液からはアルコールが検出され、「中度の酩酊状態」にあったとしています。
対する弁護側は出発前の呼気検査でアルコールは検出されなかったと主張。出発後のドライブレコーダーには飲酒の様子は映っていないとしています。
空白の時間は呼気検査後、ドライブレコーダーの録画が始まるまでの20分間。飲酒の有無について、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立しています。
事故直前のドライブレコーダーには片手でハンドルを握った鈴木被告。急速に右に逸れ、中央分離帯に乗り上げる様子が映っていました。
3人が乗る車に衝突した時、被告は「酩酊状態」にあったのか。
■被告の妻「夫の運転はいつも安全運転だった」
法廷では、被告の妻の供述も読み上げられました。
鈴木被告の妻
「私が車に乗る時、夫の運転はいつも安全運転という感じでした。夫が中学生の時に父親を交通事故で亡くしたからかもしれません」
妻によりますと、鈴木被告は長男、次男、長女の3人の子どもの父親。休日前以外は基本的に飲酒しないはずでしたが、隠れて飲んでいるような様子もあったそうです。
実は事故の2日前にも夫婦間で「酒」の話が出たといい…。
鈴木被告の妻
「車にワックスを掛けると言って出て行って飲んでいたようで、『何しているの』って聞いたらごまかされた。その後、警察立ち会いで捜索したらワンカップ(酒)が出てきた」
■家族3人を失った遺族は
事故で3人の家族を失った遺族はやりきれない思いを抱えています。
塚越正宏さんの母
「本当になんでしょうね。理不尽ですねこの世の中。あんな事故起きなければ良かったのに。1年間はあっという間に色んなことがあったので過ぎたけど、悲しいのは本当にこれからだと思います」
「酒飲んだ記憶ない」初公判で飲酒否認 トラック衝突3世代死亡 遺族やりきれない思い
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