インターネットやSNSの誹謗(ひぼう)中傷に対応するために厳罰化された「侮辱罪」について、法務省の有識者検討会が報告書を取りまとめました。誹謗中傷対策として一定の効果があったとしています。
侮辱罪はSNS上での誹謗中傷によって命を絶つ人が出たことなどを受け、2022年7月に厳罰化されました。
法務省は改正して3年が経過した去年9月から施行状況などの検証をするため、外部の有識者を交えた検討会で議論を重ねてきました。
今月9日に行われた7回目の検討会では、これまでの議論の報告書が取りまとめられ、法定刑の引き上げによる悪質な事案への適切な対処が可能になったことなどを挙げ、改正法施行は一定の効果があったと評価しました。
一方、検討会の議論のなかでは「インターネット上の誹謗中傷に関する相談件数は改正法施行後も引き続き増加傾向にある」「インターネット上の誹謗中傷は匿名の多数人によって広く拡散され、消去も困難であることから被害者に生じる社会的・精神的影響が非常に大きい」「被害者は、そのような影響を受けているなかで、警察への対応や発信者情報開示命令の申立て等の手続きを取る必要があるが、それらの手続の経済的・時間的・精神的負担が大きい」「誹謗中傷の加害者の中には認知のゆがみがあり、誹謗中傷を繰り返す者がいる」など現状の4つの問題点が指摘され、さらなる刑事上の措置が必要かどうかが争点となりました。
さらなる措置として「侮辱罪の法定刑を更に引き上げるべきか」「インターネット上の誹謗中傷に関する特別な処罰規定を設けるべきか」「表現の自由との調整規定を設けるべきか」「被疑者の特定に係る被害者の負担を軽減する方策」「被害者の特定に係る被害者の負担を軽減する方策」「侮辱罪を損害賠償命令制度の対象事件に含めるべきか」「死者に対する侮辱罪を設けるべきか」など主に7つの案について議論が行われましたが、いずれも、さらなる事例や学説上の議論の集積、現在の施策の効果を待つ必要があるなどの理由から直ちにさらなる措置を講じるべきとの結論には至りませんでした。
今後、政府に対しては社会情勢や侮辱罪の運用状況に加え、民事や行政上の様々な施策の状況や効果を踏まえ、刑事上のあるべき対応について臨機応変に検討するよう求めるとしています。
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