【イチからスッキリ解説】自民党政治資金問題ってなに?
[2023/12/31 17:00]
![](/articles_img/900001073_1920.jpg)
12月19日、自民党の政治資金パーティーをめぐる問題で、最大派閥の安倍派と二階派の事務所に東京地検特捜部が家宅捜索に入りました。その後も、年末まで連日のように複数の議員の事務所などが捜索を受けています。
たびたび浮上する「政治とカネ」の問題…
何が問題になっているのでしょうか?
これまでの流れを一緒に振り返ります。
■そもそも政治資金パーティーとは?何のために開催?
現在、自民党には安倍派(清和政策研究会)や二階派(志帥会)、岸田派(宏池政策研究会)などいくつかの派閥があります。
各派閥は、支持者や関係企業などに参加を呼びかけ、政治資金パーティーを開きます。
派閥の所属議員らは、参加者らにパーティー券を販売し、その収入が各派閥の政治資金になります。
安倍派現職議員の関係者の話によりますと、1枚2万円のパーティー券を数百枚売ることもあり、販売ノルマも課せられているということです。
政治資金パーティーによる収入は、派閥にとって大変重要な収入源となっています。
総務省が発表した2022年分の政治資金収支報告書によりますと、自民党6つの派閥の収入総額はおよそ12億円であり、そのうちパーティー収入がおよそ9億2300万と“8割弱”を占めていました。
■何が問題になっているの? その1 パーティー券収入を“収支報告書へ不記載”
パーティー券で得た収入は、同じ人・団体から20万円を超える支払いを受けた場合、名前・金額などを「政治資金収支報告書」に記載する義務があります。
しかし、自民党の5つの派閥は、2021年までの4年間で、約4000万円の収入を収支報告書に記載していない疑いがあるとして、大学教授から東京地検特捜部に刑事告発されています。
派閥に所属する複数の議員が、同じ団体へ“記載義務のない20万円以下”の販売を行い、その団体への販売額が20万円を超えているにも関わらず、収支報告書への記載がされなかったことなどが原因だとみられます。
■何が問題になっている? その2 議員側へキックバックした金額が“不記載”
販売ノルマ分を超えたパーティー券の収入を、所属議員側にキックバック(還流)し、収支報告書に記載していない疑いも発覚しました。
最大派閥の安倍派(清和政策研究会)では、ノルマを超えた分の収入については議員側にキックバックされていたとみられます。
その総額は、時効にかからない2018〜22年の5年間で“5億円以上”に上るとみられています。
ノルマを超えた収入や議員側への支出は派閥の収支報告書に記載されておらず、議員側の収支報告書にも記載がされていない疑いがあります。
内閣府副大臣を辞任した堀井学衆議院議員がANNの取材に応じ、安倍派から2022年までの5年間で収支報告書に記載していない1000万円を超えるキックバックを受けたことを認めています。「事務所の経費として使われた可能性がある」としています。
安倍派幹部の松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長、世耕弘成前参院幹事長側らも、それぞれ1000万円を超えるキックバックを記載していない疑いがあります。
また、安倍派は、キックバック分を記載していない帳簿を作成し、それを元に収支報告書を提出していたとみられています。しかし、関係者によりますと、「不記載の帳簿」のほかに、公にはしていない「キックバックを含めた収入総額を記した帳簿」もつけていたことが分かっています。
安倍派は、この“2つの帳簿”で資金を管理していたとみられます。
二階派(志帥会)にも、販売ノルマを超えた収入が5年間で“1億円以上”あるとみられ、それらを収支報告書に記載していない疑いがあります。
■パーティー収入ノルマ超過分のキックバック不記載は“組織的”? 20年前から…
安倍派は幹部6人を含む数十人の所属議員側に、記載のない収入をキックバックした疑いがあり、組織的に不正が行われていた可能性があります。
所属議員の秘書らは東京地検特捜部に対し「不記載は派閥からの指示だった」「政策活動費なので記載する必要がないと派閥から指示された」と説明しています。
また、安倍派の会計責任者はキックバックについて「記載しなければいけないことはわかっていた」と特捜部の聴取に説明しているということです。
さらに取材を続けていくと、安倍派での“不記載のキックバック”は、20年以上前から継続して行われていることが分かりました。
特捜部の任意の聴取に対して、安倍派の幹部5人は、キックバックについて「記載されていないことは知らなかった」などと関与を否定しているという事です。
■特捜部が派閥事務所と議員の個人事務所に家宅捜索、問題の実態解明へ
特捜部は、12月19日に安倍派と二階派の事務所を家宅捜索し、その後、安倍派の池田佳隆衆議院議員と大野泰正参議院議員の事務所も家宅捜索しています。
押収した資料から資金の流れなど調べを進めるとしています。
また、これまでに複数の議員から任意で事情を聴いていて、松野博一前官房長官、萩生田光一前政調会長、西村康稔前経産大臣、高木毅前国対委員長、世耕弘成前参院幹事長、塩谷立座長ら安倍派の幹部側にも任意の事情聴取を行っています。