盛岡に外国人観光客急増…魅力は“B面の隠れた名曲”日本人も知らない「大事な宝物」

スーパーJチャンネル

[2024/02/03 17:00]

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今なぜか、岩手県盛岡市に外国人観光客が急増しています。

必ずしも、定番の観光地とは言えない地方都市になぜ?世界が注目する、日本人も知らなかった魅力を追跡します。

■外国人観光客「大都会とは大違い」

軽妙な掛け声とともに食べる、盛岡名物「わんこそば」。今、盛岡の老舗そば店に外国人観光客が殺到しています。

「チャレンジするのは本当楽しいです」と話す、アメリカ人3人組も挑戦中ですが、男性は50杯でギブアップ!?

しかし、フタをしないと終わらせてくれないのです。

アメリカ人
「本当に楽しかったです」
マレーシア人家族

定番の観光スポット以外にも、若者に人気のコーヒー店では、マレーシア人家族がいました。

マレーシア人
「盛岡は好きよ。散歩していてキレイだし、あくせくしてないのがいいわ。東京のようなゴミゴミしている大都会とは大違いよ!」
オーストラリア人

早朝から始まる「朝市」では、オーストラリア人の姿もありました。

オーストラリア人
「朝早いのにイキイキして、活気があってとてもいいわ!」

多い日には3000人近く訪れる「盛岡神子田朝市」。地元で採れた農産物に加え、焼き鳥やクレープ。さらには、チーズケーキまであります。

郷土料理「ひっつみ」は、盛岡の朝市の味

中でも、連日大行列を作るのが、小麦粉を薄く伸ばした“すいとん”に油揚げやシイタケなどの具材を加えた郷土料理「ひっつみ」。寒い盛岡の朝市の味です。

オーストラリア人
「とてもおいしいわ。柔らかすぎず固すぎずバランスがいいわ」
スイス人カップル

こちらのスイス人カップルは、鴨だしソバとたこ焼きをパクリ。

スイス人
「普通の朝ごはんより、朝市の方が楽しいかなと思って」

東京からやってきたという彼の職業は…。

スイス人
「大学で研究をしてます。東京大学で」
「ミカン農家」の店に向かったスイス人カップル

スイス人カップルが「お土産探し」に訪れたのは、豊富な種類を取り揃えた「ミカン農家」のお店ですが…。

スイス人
「ドッチがドッチか分からなくて…」
店員
「じゃあ、1つずつ食べてみてください」

あれこれ日本語で説明するより、全部食べさせてくれます。

スイス人
「だんだん甘くなりますね」
店員
「やっぱり分かりますか」

2人が選んだのは、甘いミカン。これも外国人客を夢中にさせるオモテナシです。

■伝統的なモノづくり体験…「五百羅漢」に露天風呂も

盛岡市唯一の温泉郷「盛岡つなぎ温泉」

盛岡市唯一の温泉郷「盛岡つなぎ温泉」では、外国人観光客が6倍に増えた宿もあります。

アメリカ人の大学生グループ6人組

この日やってきたのは、アメリカ人の大学生グループ6人組です。

アメリカ人
「とても美しい。道すがらの一歩一歩も本当に美しかった」
「竹細工」に挑戦

まず、この温泉郷で彼らが向かったのは、盛岡の伝統的なモノづくり体験ができる「手づくり村」。プロの手ほどきを受け、オリジナル作品が作れるのです。

こちらの2人は「竹細工」に挑戦。

アメリカ人
「超楽しいね、やりがいがあるよ」

一方、こちらは「藍染め」体験。繊細な作品に仕上がりました。

アメリカ人
「(Q.難しかった?)全然、職人さんがちゃんと面倒見てくれたからね」

そして、かなりのクオリティーの竹細工も完成。花瓶や筆立てに使えます。

凧は墜落したが、一同大盛り上がり

こちらの男性は「凧(たこ)」を製作。伝統的なやり方で、テスト飛行です。凧は墜落してしまいますが、一同大盛り上がりです。

そして盛岡中心部に移動、最も楽しみにしていたのが…迫力満点、周囲の壁を仏像が埋め尽くす「五百羅漢」です。

五百羅漢

並んでいるのは悟りを開いた聖人たちですが、実にユーモラスな表情と仕草。中には、自分そっくりな像があるんだとか。

アメリカ人
「君を見つけたよ、絶対あれだよ。騒いで酔っぱらっているよ」
「あの像は探しモノをしているのかな?」

この感覚、なんと世界共通だったんですね。

アメリカ人
「信じられないくらい神秘的だよ。すごいね!」
露天風呂でリラックス

そして、一日の疲れを癒やしてくれるのが、露天風呂です。

アメリカ人
「長い一日だったけど、リラックスできるね」

■アメリカ人ライター…盛岡の魅力は“B面の隠れた名曲”

NYタイムズの記事を執筆 クレイグ・モドさん(43)

なぜ今、盛岡に外国人が殺到しているのか?

きっかけは去年、特集されたNYタイムズ紙「今年行くべき世界の52カ所で盛岡が2番目に選出されたのです。

推薦記事を書いたアメリカ人ライターは、その魅力を「レコード」に例えて絶賛しました。

盛岡の魅力は、“B面の隠れた名曲”
NYタイムズの記事を執筆 クレイグ・モドさん(43)
「盛岡を推薦した一つの理由は(盛岡は)2〜3日間あれば面白い冒険になる。勉強もできて歴史もあって、日本の特別さを味わえる所だと思う。(日本旅行)1回目はA面の京都、東京、金沢、広島で良いけど、実は一番おもしろい味のある独特な曲は“B面”に入っている」

盛岡の魅力、それは“B面の隠れた名曲”だそうです。

■こだわりの“オモテナシ”…自宅に招く理由は?

江戸風情残る「鉈屋町」

そんな盛岡のB面の魅力どこにあるのか?

広島在住のスイス人

舞台は、江戸風情残る「鉈屋町」。この日“あるお店”にスイス人女性が訪ねてきました。

広島在住 スイス人
「きのうから吉田さんの弟子になりました」
この家の住人・吉田真理子さん(76)

この家の住人、吉田さんです。

スイス人
「吉田さんが私を見て『外国人!』って」

この前日、街を散策中に吉田さんから声を掛けられ、意気投合したといいます。

手芸教室を開く、吉田さん

この場所で手芸教室を開く、吉田真理子さん(76)。外国人を見かけると次々声を掛け、手芸やこの街の歴史を教えているそうです。まずは、自作のカレンダーをプレゼントするオモテナシ。

吉田さん
「エブリデイ、リメンバーミー!(毎日私を思い出して)」
スイス人
「I can not forget you(忘れるのは難しい)」
吉田さんの自宅

さらに、吉田さんこだわりの“オモテナシ”があります。

案内した先は、隣接する自宅です。

スイス人
「ウワー。信じられない。大正時代?」
岡の町家伝統の「つるし雛(びな)」

明治時代に作られた、築150年の日本家屋。さらに、所狭しと飾られた盛岡の町家伝統の「つるし雛(びな)」。かつてこの地域では、各家庭のひな飾りを見て歩く風習もあったそうです。

スイス人
「日本の力でしょ、これは。盛岡の小さな町に、こんな宝物があるのが信じられない」
吉田さん「この街の魅力は『暮らしぶり』」

自宅に招くオモテナシには“ある理由”があります。

吉田さん
「この街の魅力は『暮らしぶり』。家に入らないと魅力は分からないんじゃない?」

街の良さを外から眺めるだけでなく、“暮らしぶり”も知ってほしい。街を愛し、宝を広めるためのオモテナシだったのです。

スイス人「泊まりたい!」
スイス人
「泊まりたい!ココに」

魅力は、しっかり伝わりました。

■50年近く愛される純喫茶…娘へ“バトン”

個人商店で引き継がれる「若い世代へのバトン」

“日々の暮らし”を丁寧に生きる盛岡の人々。中でも、アメリカ人ライターが注目したのが、個人商店で引き継がれる「若い世代へのバトン」でした。

クレイグ・モドさん
「次の世代にバトンを渡してることは“大事な宝物”」
純喫茶「クラムボン」

そんな象徴とも言えるお店があります。50年近く地元の常連から愛される純喫茶「クラムボン」。店主の高橋真菜さん(40)です。

高橋さん
「お客様が、すごく父のことを好きでいてくれて。『父の味を残したい』のが一番の理由」
先代のマスター父・正明さん

5年前、ガンで他界した先代のマスター父・正明さん。盛岡では知らない者がいないほどの存在だったそうです。

常連客
「(Q.マスターは、どんな方だった?)めっちゃいい人でしたね。温かくて包容力があって」

父・正明さんの遺志を継いだ娘・真菜さん。コロナ禍にも負けず、店を守ってきました。店内は、正明さんがいたころと、何も変えていません。

妻・美知子さん(74)
「店に来て働いてると、フッと夫のこと思い出すんですよ。『あ!お父さんいる』って思うんですよ」
正明さんが発病する前、家族旅行で撮影した映像

どうしても会いたくなった時、2人が繰り返し見る動画があります。

妻・美知子さん
「顔が見えない。あっ見えた!元気だわ」

正明さんが発病する前、家族旅行で撮影した映像でした。

家族思いだった、父・正明さん。そして、家族同然の愛情を注いだのが、この店でした。

常連客
常連客
「本当に息子も育てて頂いて。苦しい時にこちらの店に来て、そこで勉強してたんです。感謝していますからね。本当に心から。真菜さんのおかげで、また美味しいコーヒーを」

正明さんのバトンは、しっかり引き継がれていました。

クレイグ・モドさん
「街も家族になっている。(観光では)元気な健康的な命を持っている街を感じることもすてき。(盛岡は)世界的なモデルとなる、これから」
  • 盛岡名物「わんこそば」
  • マレーシア人家族
  • オーストラリア人
  • 郷土料理「ひっつみ」は、盛岡の朝市の味
  • スイス人カップル
  • 「ミカン農家」の店に向かったスイス人カップル
  • 盛岡市唯一の温泉郷「盛岡つなぎ温泉」
  • アメリカ人の大学生グループ6人組
  • 「竹細工」に挑戦
  • 凧は墜落したが、一同大盛り上がり
  • 五百羅漢
  • 露天風呂でリラックス
  • NYタイムズの記事を執筆 クレイグ・モドさん(43)
  • 盛岡の魅力は、“B面の隠れた名曲”
  • 江戸風情残る「鉈屋町」
  • 広島在住のスイス人
  • この家の住人・吉田真理子さん(76)
  • 手芸教室を開く、吉田さん
  • 吉田さんの自宅
  • 岡の町家伝統の「つるし雛(びな)」
  • 吉田さん「この街の魅力は『暮らしぶり』」
  • スイス人「泊まりたい!」
  • 個人商店で引き継がれる「若い世代へのバトン」
  • 純喫茶「クラムボン」
  • 先代のマスター父・正明さん
  • 正明さんが発病する前、家族旅行で撮影した映像
  • 常連客

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