教師の過酷残業と消える ”当たり前”

モーニングショー

[2024/03/28 13:56]

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教育現場の教師の長時間労働についてです。

■“卒業の定番”が廃止

神戸市内の公立小学校では、今年度から『卒業文集』を廃止しました。文集の作成にかかる時間の確保が難しいという理由です。
神戸市教育委員会の担当者は、「卒業文集の作成は、教員も子どもも負担が大きい。テーマ決めに、添削、ペンでの清書など、自分が教員時代は、国語の時間を10時間ぐらい使ったこともある」と話しています。

■他にも“学校の定番”廃止

新宿区立西新宿小学校では、宿題、通知表、頻繁に実施していた単元テストを原則廃止しました。教師の残業時間を削減する目的です。この小学校では、宿題の代わりに、興味を持った事柄を自ら調べる自主学習を推奨しています。
また、通知表や単元テストの代わりに、学校独自のテストを企業と作成して、年に数回実施して児童の学習の進みを確認するということです。

様々なものが“廃止”されることに賛否両論です。

30代の女性
「宿題が無いのはビックリ。卒業文集は見返さないが、製作する時間は大事なのでは」
40代男性
「宿題はあった方が良い。文集も思い出としてあった方がいい」
30代女性で育休中の教師
「通知表は母目線だと見たいが、教師目線だとすごく負担が大きい」

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■現役教師の勤務実態

■現役教師の勤務実態

こちらは、公立小学校の教師の2月のある1日のタイムスケジュールです。
朝7時30分に出勤し、夕方6時30分の帰宅まで、約11時間の勤務です。授業が終わった後に、学校行事の打ち合わせや、通知表の打ち込みなどがあります。
勤務時間中に完全な休憩はなく、自分の担任以外にも荒れる学級や欠員の補助にも入り、休日に6時間ほど出勤することもあるということです。

この先生は、「親の介護で休みたいが、他の先生が私のカバーをしなければならないので、休めない。いっぱいいっぱいの状態。耐えていけるか不安」と話しています。

名古屋大学大学院の内田教授は、『当たり前を考え直すべき』と指摘します。
「『子どものため』にさまざまな教育サービスが追加され、教員の勤務時間が増大した。“定時”の授業や休み時間で、子どもにじっくり向き合える環境にすべき」

■全国の小中学校で教師が不足

全国の小中学校で、教師が不足しています。教師1人以上不足する公立学校は、小学校で20.5%、中学校で25.4% です。

■採用試験の受験者 激減

採用試験の受験者も激減しています。2014年度には18万人近くいた受験者が、2023年度には12万人あまりと、10年で5万人以上減りました。
東京では、『定員割れ』寸前の状態です。2024年度の小学校教師の採用試験では、受験者2280人に対し、合格者2009人、倍率は1.1倍でした。

■子どもの学びにも影響

教師不足により、子どもの学びにも影響がでています。
高知県の中学校では、教師の補充ができず、2学期はその教科が実施できませんでした。埼玉県の中学校では、初任者を3年生の担任にせざるを得ず、進路指導が滞ったそうです。
愛知県の小学校では、担任がいなくなり、毎日先生が変わり、子ども達が落ち着かず、集中して学習できなかったといいます。

■教師不足解消の取り組み

名古屋市では、全ての市立中学と高校で、AIを使ったテストの採点システムを導入しました。 静岡県では、進学先を決める前に中学生と高校生を対象にしたセミナーを実施し、教職の魅力を発信しました。 東京都では、教員免許がなくても採用試験を受けられる『社会人選考』の年齢を、40歳から25歳に引き下げ、採用枠を拡大しました。

名古屋大学大学院の内田教授は、「もはや学校教育は崩壊している」と危機感を感じています。
「教師不足はかなり深刻。担任・教科担任が不在なのは、もはや学校教育が崩壊している。半世紀遅れの教育現場は、早急に長時間労働の是正と教師のメンタルケアを!」

「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年3月19日放送分より

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