カスハラ“女性運転手の涙”理不尽な実態 恐怖の現場「いずれさ僕が潰してあげる」
モーニングショー
[2024/05/22 15:53]
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客の迷惑行為を受けるカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」が今、様々な業種で問題となっています。
■カスハラ“エスカレート”退職する若手社員も
「ふざけた回答してんじゃねえぞオラ!殺すぞお前!おい録画(録音)しているんだったらな警察に行ってな、脅迫罪でもなんでもいいから言えや!ああん!?なめてんのかおら!」
これは実際に会計ソフト会社のカスタマーセンターに掛かってきた音声です。聞くに堪えないほどの罵詈(ばり)雑言で、対応は43分にも及んだといいます。
客から理不尽な迷惑行為を受けるカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」が今、社会問題となっています。
カスハラに悩まされている愛知県のタクシー会社では…。
夜の繁華街から乗り込んできた1人の男性客は、相当酔っているのか、目的地を言いません。
「どのあたりに行かれますか?お客様」
「おい、別にどこでもいいんだよ」
「行け行けお前がハゲ!ハゲ!お前が思う所に行け!2本目の信号を右!」
「はい2本目を右で。ありがとうございます」
「分かったか!?」
「ありがとうございます」
「分かったか!」
「分かりました。2本目を右です」
運転手に暴言や高圧的な態度をとる客。目的地に到着すると、運転手にお札を投げつけます。
「料金は、1670円です」
「これ俺が払うやつ?」
「そうですね」
「えっ誰が払うやつ?これ」
「これはお客様が払う分」
「どのお客様?」
「えっ?」
「どのお客様?」
「あの、今そこに座っていらっしゃるお客様です」
客の行為は、徐々にエスカレートしていきます。
「てめぇ」
「あっ…」
「おお、来い来い来い」
助手席を足で蹴り、さらに外に向かってつばを吐きます。運転手は警察に通報しますが、客は笑いながら運転手を蹴ります。
「すみません、お客さんがタクシーの中で暴れて…。あっ、おまけに蹴られました。今危ないです」
「ハッハッハッハッ」
「今、蹴られました。ああ、また2発蹴られました。3発蹴られました。ヤバイ早く来てください!危ないです。傷害です。傷害」
すると、恐怖を感じ、逃げる運転手を付け回すような嫌がらせも…。
「ちょっとおまえかわれ」
「あー早く来て!危ないです」
「ハッハッハッハッ」
客は最後には、運転手の顔につばをかけます。
「あっ、つばかけた」
こうしたカスハラを理由に、退職する若手社員も多いといいます。
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■女性運転手の涙「申し訳ありませんでした」■女性運転手の涙「申し訳ありませんでした」
ほかにも、女性運転手が1人の男性客を乗せて走行していると、「走行ルートが指示通りではない」と主張する客がいます。
「あんたどこ行こうとしているの?」
「すみません、私が聞き間違えました。申し訳ありません」
すると、持っていた財布をたたきつけます。
「何やっとるんだバカヤロー。何やっとるんだ」
乗車からおよそ5分後、目的地に到着すると、再び財布をたたきつけ、指示を出す客。持っていた荷物を置いたまま、一度降りていきます。
「ちょっと降りる、このまま左に曲がって止まっとけ。なぁ」
「聞こえんのか!」
「いや、聞こえています…」
指示通りタクシーを移動させ、待つこと約2分。再び戻ってくると…。
「バカヤロー!オラなあ」
「謝りましたよ」
「謝ってねえだろお前。バカヤロー!いい加減にしろ」
「謝ってなくないですよ」
「謝っとらへんがな、何が謝った?コラ!」
エスカレートする客を、別の男性が必死になだめています。
「申し訳ありませんでした」
「申し訳なかったら、そんな態度じゃねぇわ。もう(仕事)やめたらええが、はよ」
料金を支払い、客は降りていきましたが、ショックを受けたのか、女性運転手はハンカチで涙を拭います。それでも、客を見送りに外へと出ますが、しばらく涙は止まりませんでした。
つばめグループでは、3年前に運送約款の内容を変更しました。カスハラなどの行為をした客に対して継続乗車を断ることや、損害賠償もしくは慰謝料を請求する可能性もあるということです。
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■「いずれさ僕が潰してあげる」■「いずれさ僕が潰してあげる」
カスハラは、様々な業種に及んでいます。
「ミスは完全にこちらのミスで。(顧客から)ご指摘頂いた内容について、全部日中に対応して弁解をして説明をして納得して頂いたのに、その夜ショートメールで『君が言ったことはおかしいだろ』みたいな2カ月は続きましたね。毎晩夜中眠れないですよね」
弁当店では、酔った客が店員に向かって暴言や、現金を投げつける悪質な行為も。
「いいよ、呼べよ、警察を早く。客だろうが、コラ!」
身も心もリフレッシュするはずの温泉地でもカスハラの被害が起こっています。
チェックインのおよそ30分前、午後2時半ごろ。温泉旅館のロビーに設置された防犯カメラの映像です。
「車の中で待ってなきゃいけないの?」
「申し訳ありません、もう少々お待ちくださいませ。準備が整いましたらご案内させて頂きますので」
この旅館では、午後3時のチェックインより前に到着した際は車で待つように案内していますが、客が激怒しました。
「3時までは入れないんでしょ?冗談じゃないよ。旅館じゃないよ!申し訳ねえじゃねえよバカヤロー。謝るんだったら土下座。客に待て、客に待てってこと?」
旅館側に土下座を要求します。
「旅館は3時からです」
「だから、そんなものは」
なかなか怒りが収まらず、仕方なく専務が土下座に応じました。対応は30分にも及び、客は宿泊せず帰ることになりました。
最後に、こんな捨て台詞を残していきました。
「お客ってわがままなんだよ、そのわがままをどうやって聞いてくれるかっていうのが旅館業の一番の基本ですよ。それがもうこの旅館にはないということですよ。僕が潰してあげる。いずれさ僕が潰してあげる」
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■宿泊拒否も「カスハラ防止」温泉旅館の対策■宿泊拒否も「カスハラ防止」温泉旅館の対策
当時、客の対応にあたった湯守田中屋の田中佑治専務取締役は、次のように振り返ります。
「暴力的な言葉もかなりあって、私自身もちょっと恐怖を感じるくらい。(客が)『謝罪をするなら土下座じゃないか』。不快に思われる人(他の客)も中にはいらっしゃると思いましたので、最終的には私が土下座をしておわびした」
去年12月、旅館業法が改正され、迷惑客の宿泊を拒否できるようになったのを機に、湯守田中屋では新たな対策を採りました。
ホームページには、宿泊拒否できるケースとして、「土下座などの社会的相当性を欠く方法で謝罪を求めること」など、6つの具体例が明記されています。さらに、カスハラ対策のため、防犯カメラを5台以上に増やしたといいます。
「お客様に安心して、ごゆっくりして頂くというところが本命。カスタマーハラスメントがあることによって大切なスタッフが辞めてしまったりとか、そういったことが今後もないように、我々自身もしっかりと対応をとって、旅館業を継続していきたい」
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■スタッフの心の支え“会社の看板犬”■スタッフの心の支え“会社の看板犬”
従業員に対する暴言は、こんな所にも。都内の退職代行業者「モームリ」では、毎日のように暴言的な言葉を浴びせられるといいます。
「(Q.具体的にはどんな言葉がある?)『クソ女』と言われたり、『地獄に落ちろ』とか『呪ってやる』。気持ちを抑えながら(電話をする)というところもあるんですけれども、泣いた時もあります。『いや、こっちの方がモームリだよ』って言われる時はある」
そんなスタッフたちの心の支えは、“会社の看板犬”ボーダーコリーの「コリオ君」です。
「コミュニケーションはすごく大事にしていますし、ブラック企業から労働者を救うということを銘打ってやっているので、当社がブラックにならないように、ものすごく気を付けてやっていますね」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年5月22日放送分より)