千葉県市川市の強盗致傷事件で公開手配されていた21歳の男が、28日に逮捕されました。番組では首都圏で相次ぐ一連の強盗事件で、実行役が犯罪に手を染めるきっかけになった“闇バイト”のリクルーターに接触をしました。実行役を募集する巧妙な手口が見えてきました。
■“闇バイト”採用担当が語る巧妙手口
実際、今はどんな投稿が多いのでしょうか。
「例えば鉄板のワードとしてですね、高額日払いみたいなものがあるんですけど。『高額の案件多数』『ホワイト案件から幅広くご紹介できます』。これ非常に怪しいですね」
「高額」「即日即金」「ホワイト案件」。SNS上にあふれる闇バイトと思われる募集の数々。ジャーナリストの石原行雄氏がダイレクトメッセージを送ってみると、すぐに秘匿性の高いメッセージアプリへ誘導されました。
「シグナルというアプリ入れてご連絡お願いできますか?」
内容を詳しく聞くため電話での説明を求めると、個人情報を送ってからでないと、直接話すことはできないと電話を拒まれました。
「履歴書を受け取って、身分証明書を入手してからじゃないと、通話をしないというケースが増えているんですね。よりガードが固くなっている」
別の闇バイト募集のアカウントに接触してみました。
「送ってすぐ4秒で返事きてますね。開いてみると、いきなりテレグラムへ誘導された」
さらに、秘匿性の高いアプリにきたメッセージを開いた途端、着信がありました。
「もしもし」
「もしもし、お疲れ様です」
清水と名乗る男は、こちらの年齢や住んでいる場所を確認し…。
「スーツあります?」
「スーツ持ってます」
「ビジネスシューズも、ビジネスバックあります?」
「はい」
「仕事内容、NGないですよね?」
「どんな感じのお仕事がありそうでしょうか?」
「基本的には受け出しっていうやつ。一応うちらやっているのが、市役所かたって、電話をかけて『後期高齢者の方のお戻し金がございますよ』というお話をする」
医療費や税金の還付金が受け取れるなどと言って、キャッシュカードをだまし取る特殊詐欺の「受け子」と「出し子」。犯罪行為を提案してきました。手口についても…。
「Bluetoothのイヤホンを片耳ずっと通話状態にしていてもらうので。プレイヤーと呼ばれる人(指示役)から指示してもらうので、それを(指示役の話を)そのまま続けて言ってもらうだけ。基本的に一人暮らしのババアしか狙わない。そこは安心してください」
狙うのは一人暮らしの高齢女性で、指示役と通話状態のまま、指示された通りにすればよいだけだと説明します。
■報酬1回10万円も 応募者は「人生どうでもよくなった奴」
報酬についてはこう話します。
「他だったら5%が基本。うちのところは10%でやっている。1回やったら100万円くらい。そのまま10万円持っていってもらって、残りの金額をコインロッカーに入れたりっていう形」
だまし取った金額の10%が報酬になるといい、簡単に大金を手に入れることができると誘います。
「一つ心配なのは、ニュースで捕まる人がいるみたいな、そういうのっていかが?」
「それは多分、下手くそなところで“ばんかけ”されてそのままパクられるっていうのがほとんど」
「“ばんかけ”というのはなんでしょうか?」
「職務質問っていうんですけど。基本的にオドオドしてなく堂々としてれば、“ばんかけ”=職務質問食らうこともない。そこは大丈夫」
リクルーターは、捕まるリスクは少ないと主張します。
「実は私、テレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーという番組の取材の者。それで、いろいろ話を聞かせていただいている。さらに色々質問あるので、お話続けさせていただいて良いでしょうか?」
「ああ」
取材だと明かした後も、男は一切ひるむことなく話し続けます。
「応募してくる人っていうのは、いまだにたくさんいる?」
「借金まみれのやつとか、人生どうでもよくなった奴とかが来る」
「どういう感じの人が多い?」
「若い人多い。ギャンブルとか、そこら辺の奴らは最近多い。闇金からも追われたりとか、消費者金融から催促も止まらないとか。電気、水道、ガス全部止まって家賃も払えていない。そういうやつっていうのは、もう人生どうでもよくなってるやつらばかり」
闇バイトへ応募してくる人は、後を絶たないといいますが…。
「基本的には結構な頻度で捕まってますけど、募集する時はもちろん安心させないといけない。全然捕まってないってことを言いますね。もちろん」
■闇バイト採用担当 ひと月稼ぎ400万〜500万円
闇バイトのリクルーターを始めて5年。現在は東南アジアに住み、闇バイトの採用を担当しているといいます。
「月にどれぐらい稼いでいる?」
「サラリーマンの年収分ぐらいはある」
「月にですか?」
「はい」
ひと月あたりの稼ぎは、サラリーマンの平均年収に近い400万〜500万円ほどだといいます。
「年間5000万〜6000万円ぐらい?」
「そんなもんじゃないですかね。数えたことないんで分からない」
「東南アジアだと、日本で夜遊ぶよりもお金がかからないイメージ。それで豪遊するってことですかね」
「まあ、そうですね。あとはちょっと違う国に遊びに行ったり。アメリカ、いろんな所ですね」
アメリカやドバイなど海外で豪遊し、貯金はないといいます。
「現時点で自首するのが 一番(罪は)軽いと思う」
「その話をして(自首)やってる人いるんですか。多分いないですよね」
「ぜひ自首をしていただきたい」
「やらないですけどね」
悪びれる様子もなく、およそ45分間、通話。終わった後は…。
「メッセージ消されましたね」
「(Q.今までのメッセージや電話の内容が消えたということですか?)そうですね」
「実行役は必ず逮捕されるんですけれども、何らかの形で半ば嘘をついてでも、常に背中を押して自分たちの手駒にできれば、それでいいということ。秘匿性の高いアプリを使って、遠隔操作で指示を出す。その本人(応募者)がどこに住んでいて、どこで犯行するか、それはもう全くどうでもいいこと」
■容疑者は元地下アイドル 髪色変え逃走か
千葉県市川市で起きた強盗致傷事件を巡って、全国に指名手配されていた久保田陸斗容疑者(21)。28日午前、都内で身柄を拘束され、その後逮捕されました。
警察は、27日から久保田容疑者の顔写真や防犯カメラの画像、7枚を公開。犯行前後は金髪でしたが、29日に警察署を出る久保田容疑者の髪は黒に近い色に。髪色を変え、逃走していたとみられます。
学生時代の久保田容疑者を知る同級生はこう話します。
「中学高校ぐらいからなんかあか抜けたっていうか。ハンサムな感じになっているイメージはあった。個人的なあれですけど。なんかかっこいいなって思った」
最近の久保田容疑者を知る人によると、久保田容疑者は1年ほど前から地下アイドルとして活動し、その後マネージャーをしていたといいます。
「マネージャーってあんまり稼げる印象がないので、困っていそうだなとは思います」
久保田容疑者のファンだったという女性はこう話します。
「お金のことは結構、気にしてたと思います。他人(他のアイドル)の所に行くんだったら、戻ってきてお金を使ってほしいみたいなのは、言ってはないですけど、匂わせ、雰囲気的にちょっと醸し出してたかなっていうのはありました」
捜査関係者によると、地下アイドルとして活動していた時の関係者から警察に居場所の情報が寄せられて、確保に至ったということです。
「金出せ、金出せ。金出せないと殺すぞって、ぶったたかれたからボコボコです」
今月17日、市川市で女性に重傷を負わせ、軽自動車などを奪った疑いが持たれている久保田容疑者。今月15日に横浜市青葉区で起きた強盗殺人事件への関与もほのめかしているということです。
首都圏で相次ぐ連続強盗事件を受け、警察庁は今月に入り異例の呼び掛けを行いました。
「自分自身や家族への脅迫が理由であっても、強盗は凶悪な犯罪です。警察は相談を受けたあなたや、あなたのご家族を確実に保護します」
警察によるSNSなどを使った呼び掛けをしたところ、闇バイトに応募した少なくとも3人が警察に相談し、保護されました。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年10月29日放送分より)